情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案
参議院 法務委員会
令和7年法律第39号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院法務委員会
- R7.3.27趣旨説明・質疑本会議 1226
- R7.3.28趣旨説明法務委員会 67
- R7.4.1質疑法務委員会 7208
- R7.4.4参考人招致・参考人質疑法務委員会 8148
- R7.4.9質疑法務委員会 9286
- R7.4.16質疑法務委員会 10256
- R7.4.18修正案趣旨説明・質疑・討論・採決(修正)・附帯決議・修正案法務委員会 11179
- R7.4.18委員長報告・採決(修正)本会議 2227
参議院法務委員会
- R7.4.23趣旨説明・質疑本会議 1531
- R7.4.24趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明・質疑法務委員会 6284
- R7.5.8参考人招致・参考人質疑法務委員会 7101
- R7.5.13質疑法務委員会 8239
- R7.5.15質疑・討論・採決・附帯決議法務委員会 9228
- R7.5.16委員長報告・採決本会議 1961
提案理由
鈴木馨祐 法務大臣 令和7年3月27日情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
現行の刑事手続等において、関係書類は、紙媒体で作成、管理、発受されており、また、公判における手続等の多くは、裁判官や訴訟関係人等が公判廷等において対面する形で行われています。
こうした中、近年における情報通信技術の進展及び普及に伴い、刑事手続等においても、それらの技術を活用することにより、手続を円滑、迅速なものとするとともに、手続に関与する国民の負担を軽減することが喫緊の課題となっております。
また、情報通信技術の進展等は、社会に恩恵をもたらす一方で、それらの技術を悪用した新たな犯罪事象も生じさせており、現下の犯罪情勢に鑑みると、そのような犯罪事象に対し、刑事法として適切に対処できるようにすることも急務であります。
そこで、この法律案は、刑事手続等の円滑化、迅速化及びこれに関与する国民の負担軽減を図るとともに、情報通信技術の進展等に伴う犯罪事象に適切に対処することにより、安全、安心な社会を実現をするため、刑事訴訟法、刑法その他の法律を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
第一は、刑事手続等において取り扱う書類について、電磁的記録をもって作成、管理、発受することを可能にするための規定の整備であります。
すなわち、電磁的記録である証拠の閲覧、謄写の方法を定めるとともに、裁判所に対する申立て等について電子情報処理組織を使用する方法等によることや、令状について電磁的記録により発付、執行することを可能にするほか、裁判官の発する令状等に基づく強制処分である記録命令付差押えを廃止し、同様の強制処分としての電磁的記録提供命令を創設する等の措置を講ずるものであります。
第二は、刑事手続等において関係者が対面する形で行われる手続について、ビデオリンク方式の一層の活用を可能にするための規定の整備であります。
すなわち、勾留質問及び検察官による弁解録取について、被疑者等を刑事施設に在席させて同方式により行う場合の手続等を定めるとともに、公判期日における手続について、被告人や被害者参加人等を公判廷以外の場所に在席させて同方式により行うことを可能とするほか、同方式により証人尋問等を実施することができる範囲を拡充する等の措置を講ずるものであります。
第三は、情報通信技術の発展等に伴う犯罪事象に適切に対処するための規定の整備であります。
すなわち、行使の目的で電磁的記録文書等を偽造する行為等について、現行の文書偽造罪等と同様に処罰する規定を整備するとともに、暗号資産等の電子情報処理組織を用いて移転する新たな形態の財産について没収の裁判の執行及び没収保全の手続を整備するほか、犯罪捜査のための通信傍受の対象犯罪に財産上の利益を客体とする強盗罪、詐欺罪、恐喝罪を追加する等の措置を講ずるものであります。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
第217回国会衆議院会議録第12号2頁(令和7年3月27日)〔鈴木馨祐法務大臣発言・発言番号15〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一身体の拘束を受けている被疑者又は被告人にとって弁護人又は弁護人となろうとする者の援助を受ける権利が重要であることに鑑み、映像と音声の送受信によるいわゆるアクセスポイント方式によるオンライン接見についての環境整備を進めるとともに、その進捗状況に応じて法制化の必要性について検討を行うこと。併せて、現在実施されているテレビ電話を含む電話による外部交通制度・電話連絡制度に関しては、秘密の保持や、手続の円滑化、対象地域の拡大、映像と音声の送受信による方法への切換等の検討を進めること。
二ビデオリンク方式による証人尋問等については、証人等の負担軽減や手続の円滑化及び迅速化に資する一方で、法廷において対面で行われる尋問等に比して、証人の状況を詳しく観察できないなどの指摘があることを踏まえ、証人に対する反対尋問権が実質的に保障され、裁判所におけるビデオリンク方式の採用の判断が適切に行われるよう、本改正により追加される要件及びその趣旨について周知すること。
三電磁的記録提供命令制度の運用に当たっては、対象となる電磁的記録について、できる限り特定して令状の請求が行われるとともに、犯罪事実と関連性のない個人情報ができる限り収集されることのないように適切に令状審査が行われるよう、制度の内容及び趣旨について、関係者へ周知すること。また、収集された情報が個人の重要なプライバシー情報等を含み得ることに十分に留意し、定められた規定に基づく消去も含め、適正かつ厳重な管理を行うこと。
四電磁的記録提供命令をするに当たっては、必要に応じ、自己の意思に反して供述することを命ずるものではないこと及び当該命令に対して不服申立てができることを教示するなど適切に対処するよう周知すること。
五電磁的記録提供命令に係る秘密保持命令を発するに当たっては、必要な限度で期間を定めるとともに、その必要がなくなった場合には、捜査機関において、期間経過前であっても速やかにこれを取り消す運用とするよう関係者へ周知すること。
六検察官が弁護人に対して証拠書類等の閲覧・謄写の機会を付与するに当たっては、関係者のプライバシー等を保護しつつ、弁護人の利便性の向上を図る観点から、弁護人の要望を踏まえつつ、できる限り、オンラインによる電磁的記録の閲覧・謄写の方法によることを可能とするとともに、電磁的記録については複写による謄写の方法を認めるよう、留意すること。
七捜査機関が収集した証拠が改ざん・差替えや破棄等をされることなく適切に保管される措置を講じるよう努めること。
八オンライン等の方法による裁判所に対する申立て等については、弁護人による迅速かつ適切な弁護活動を不当に阻害することのないよう、留意すること。
九電磁的記録文書等偽造罪の適用に当たっては、虚偽の名義又は内容の電子データによる他人の権利・利益の侵害に対して厳格に対処できるようにするとともに、SNSへの投稿等が過度に広汎に罰せられることにより表現の自由が不当に抑制されることのないよう、留意すること。
十改正法の施行に必要となるシステムを構築するに当たっては、サイバー攻撃等により捜査・公判で用いられる個人情報の流出が生じることがないよう、厳格なセキュリティ水準を確保すること。また、ビデオリンク方式の利用における成り済ましや第三者による不当な介入、デジタル証拠の漏洩や改ざん防止のために必要な措置について不断に検討し、必要な対策を講じるとともに、システム障害時にも司法手続を継続できる体制の整備に努めること。併せて、システムの開発及び運用準備のスケジュールに無理が生じることのないよう検討を進めるとともに、制度の開始に先立って必要な検証・試験運用期間を設けること。また、司法関係者のデジタルリテラシーの向上のための研修等について検討を進めること。
十一今後における捜査・公判手続のデジタル化の更なる進展のため、デジタル化による刑事手続の一層の効率化について引き続き検討を行うとともに、刑事手続に関与する者の利便性を向上させる措置について検討を行い、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講じること。
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一身体の拘束を受けている被疑者又は被告人にとって弁護人又は弁護人となろうとする者の援助を受ける権利が重要であることに鑑み、映像と音声の送受信によるいわゆるアクセスポイント方式によるオンライン接見について必要性の高い地域からできる限り速やかに環境整備を進め、被疑者又は被告人が弁護人又は弁護人となろうとする者から援助を受けられるよう配意するとともに、本法施行後三年を目途にその進捗状況に応じて法制化の必要性について検討を行うほか、電磁的記録である書類の電磁的方法による授受について検討を行うこと。併せて、現在実施されているテレビ電話を含む電話による外部交通制度・電話連絡制度に関しては、一層の秘密の保持や、手続の円滑化、対象地域の拡大、映像と音声の送受信による方法への切換等の検討を進めること。
二検察官が行うビデオリンク方式による弁解録取は、被疑者が威圧され本人の意思に反する供述がされることのないように当該事件の捜査に従事する司法警察職員の影響を遮断して行われるよう配慮すること。また、ビデオリンク方式による勾留質問は、被疑者及び被告人が威圧により本人の意思に反する供述がされることのないように捜査機関の影響を遮断して行われるよう配慮すること。
三ビデオリンク方式による証人尋問等については、証人等の負担軽減や手続の円滑化及び迅速化に資する一方で、法廷において対面で行われる尋問等に比して、証人の状況を詳しく観察できないなどの指摘があることを踏まえ、証人に対する反対尋問権が実質的に保障され、裁判所におけるビデオリンク方式の採用の判断が適切に行われるよう、本改正により追加される要件及びその趣旨について周知すること。
四電磁的記録提供命令制度の運用に当たっては、対象となる電磁的記録について、犯罪事実との関連性の認められるものをできる限り具体的に特定して令状の請求が行われるとともに、犯罪事実と関連性のない個人情報ができる限り収集されることのないように厳格に令状審査が行われるよう、制度の内容及び趣旨について、関係者へ周知徹底すること。また、収集された情報が個人の重要なプライバシー情報や犯罪事実と関連性のない個人情報等を含み得ることに十分に留意し、定められた規定に基づく消去も含め、適正かつ厳重な管理を行うとともに、電磁的記録の特性に着目した個人情報保護を適切に行うための情報の保管及び管理の在り方を検討すること。
五電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させるに当たっては、必要に応じ、自己の意思に反して供述することを命ずるものではないこと及び当該命令に対して不服申立てができることを教示すること。また、誤解を与えるなどして憲法上保障された自己負罪拒否特権を実質的に侵害することとならないよう、適切に対処するよう周知すること。
六電磁的記録提供命令に係る秘密保持命令を発するに当たっては、必要な限度で期間を定めるとともに、その必要がなくなった場合には、捜査機関において、期間経過前であっても速やかにこれを取り消す運用とするよう関係者へ周知すること。
七電磁的記録提供命令又は電磁的記録媒体の押収が取り消されたときは、捜査機関において当該電磁的記録に含まれる情報が不適正に利用されることのないよう、特に留意すること。
八検察官が弁護人に対して証拠書類等の閲覧・謄写の機会を付与するに当たっては、関係者のプライバシー等を保護しつつ、弁護人の利便性の向上を図る観点から、弁護人の要望を踏まえつつ、できる限り、オンラインによる電磁的記録の閲覧・謄写の方法によることを可能とするとともに、電磁的記録については複写による謄写の方法を認めるよう、留意すること。
九捜査機関が収集した証拠が改ざん・差替えや破棄等をされることなく適切に保管される措置を講じるよう努めること。
十捜査機関が収集した証拠に犯罪事実と関連性のない個人情報等が含まれる場合においては、捜査機関において当該個人情報等が不適正に利用されることのないよう、特に留意すること。
十一オンライン等の方法による裁判所に対する申立て等については、弁護人による迅速かつ適切な弁護活動を不当に阻害することのないよう、留意すること。
十二電磁的記録文書等偽造罪の適用に当たっては、虚偽の名義又は内容の電子データによる他人の権利・利益の侵害に対して厳格に対処できるようにするとともに、SNSへの投稿等が過度に広汎に罰せられることにより表現の自由が不当に抑制されることのないよう、特に留意すること。
十三改正法の施行に必要となるシステムを構築するに当たっては、サイバー攻撃等により捜査・公判で用いられる個人情報の流出が生じることがないよう、厳格なセキュリティ水準を確保すること。また、ビデオリンク方式の利用における成り済ましや第三者による不当な介入、デジタル証拠の漏洩や改ざん防止のために必要な措置について不断に検討し、継続的な対策を講じるとともに、システム障害時にも司法手続を継続できる体制の整備に努めること。併せて、システムの開発及び運用準備のスケジュールに無理が生じることのないよう検討を進めるとともに、制度の開始に先立って必要な検証・試験運用期間を設けること。また、司法関係者のデジタルリテラシーの向上のための研修等について検討を進めること。
十四刑事手続のデジタル化を速やかに実現させるため、裁判所を始めとする関係機関に必要な人的・物的体制の整備及び予算の確保に引き続き努めること。
十五今後における捜査・公判手続のデジタル化の更なる進展のため、デジタル化による刑事手続の一層の効率化について引き続き検討を行うとともに、刑事手続に関与する者の利便性を向上させる措置について検討を行い、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講じること。
十六政府は、本法による改正後の刑事訴訟法その他の法律の規定の施行状況や施行後における情報通信技術の進展、捜査・公判の実情等を踏まえて、個人情報保護の必要性や被疑者及び被告人の防御権、犯罪被害者等の名誉・プライバシー等を重視しつつ、必要に応じて所要の措置を講ずるものとすること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=121701030)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。