主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人柴山圭二、同近藤彰子の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、所論引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。
所論にかんがみ職権をもつて判断するに、地方税法一一九条二項は同条一項所定の特別徴収義務者の義務を定めた規定であり、同法一二二条一項は右の義務に違反した特別徴収義務者を処罰する規定であるが、同条四項には、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して第一項又は第二項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、本条の罰金刑を科する。」と定められている。ここに「その行為者を罰する外」とあるのは、代表者・従業者等が法人又は人の業務に関し同条一項又は二項の違反行為に該当する行為をした場合には、同人らに当該規定による犯罪が成立し、同人らを処罰する趣旨と解すべきである(当裁判所昭和三三年(あ)第一五一二号同三四年六月四日第一小法廷決定・刑集一三巻六号八五一頁参照)。本件についてこれをみれば、被告人は、料理飲食等消費税の特別徴収義務者であつたA株式会社の代表取締役として、同会社の業務に関し、同税にかかる納入金を東京都に納入しなかつたのであるから、みずからは特別徴収義務者ではないけれども、同条一項の罪の行為者として同条四項及び一項により処罰されるというべきである。よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
昭和五五年一〇月三一日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 団藤重光
裁判官 藤崎萬里
裁判官 本山亨
裁判官 中村治朗
裁判官 谷口正孝
出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/51172/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。