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最高裁第三小法廷判決棄却集民156号417頁収録判例内の被引用 1

最三小判 平成元年3月28日

昭和62年(オ)第839号 離婚等請求事件

裁判所
最高裁判所第三小法廷
裁判年月日
平成元年3月28日 (1989-03-28)
事件番号
昭和62年(オ)第839号
事件名
離婚等請求事件
裁判の種類・結果
判決 棄却
判例集等
集民156号417頁
原審
東京高等裁判所 昭和60年(ネ)第2175号 昭和62年3月9日
分野
民事
意見
裁判官全員一致個別意見なし

判示事項

有責配偶者からの離婚請求が認容することができないとされた事例

裁判要旨

有責配偶者である夫からされた離婚請求において、事実審の口頭弁論終結時、夫六〇歳、妻五七歳であり、婚姻以来二六年余同居して二男二女を儲けた後夫が他の女性と同棲するため妻と別居して八年余になるなど判示の事情のあるときは、夫婦の別居期間が双方の年齢及び同居期間と対比して相当の長期間に及ぶということができず、右離婚請求を認容することができない。

参照法条

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人竹久保好勝、同大南修平の上告理由一について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。

同二について

原審が適法に確定した事実関係は、次のとおりである。

(1) 上告人(大正一五年五月生)と被上告人(昭和三年一月生)は、昭和二七、八年ころから同棲関係に入り、同三〇年四月五日婚姻の届出をし、同年三月二一日に長女Dを、同三三年一二月一四日に次女Eを、同三九年九月一八日に長男Fを、同四一年一一月二七日に次男Gをもうけた。

(2) 上告人が昭和四〇年ころ小田原市役所に採用されたため、一家は同四一年ころ東京都内から同市に転居して、借家で居住するに至つたが、上告人は、かねて被上告人の家事の処理が不潔であり、経済観念に乏しく無駄な買い物が多く、それらを忠告しても改めようとしないことを厭わしく思い、同四四年ころ、表向きは右借家が手狭であることを理由に、内心は被上告人との共同生活からの逃避を兼ねて、付近にアパートの一室を借り、同所で寝泊まりをするようになり、その頃から両者間の性交渉が途絶えた。

(3) しかし、上告人は、昭和四九年ころ、勤務先の部下であつた女性とその夫が居宅を新築したことから、同人ら所有の旧居宅を借り受け、妻子とともに同所に転居し、被上告人との共同生活に復帰した。もつとも、上告人は、間もなく庭にプレハブの小屋を建て、自分はそこで寝泊まりをするようになつた。

(4) 右女性は昭和五一年に夫と離婚したが、その後同女と上告人は性関係を結ぶようになつた。そして、同五三年には、上告人は、同女への接近と被上告人からの逃避を兼ねて、前記新築の同女方の一間を賃借し、同所で生活するようになつたが、同五六年以降上告人と同女との関係が深まり、同棲関係と見うる状態になつた。ところで、民法七七〇条一項五号所定の事由による離婚請求がその事由につき専ら又は主として責任のある一方の当事者(以下「有責配偶者」という。)からされた場合であつても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもつて許されないとすることはできないというべきである(最高裁昭和六一年(オ)第二六〇号同六二年九月二日大法廷判決・民集四一巻六号一四二三頁)。

前記事実関係のもとにおいては、上告人と被上告人との婚姻については同号所定の事由があり、上告人は有責配偶者というべきであるが、上告人と被上告人との別居期間は、原審の口頭弁論終結時(昭和六一年八月一八日)まで八年余であり、双方の年齢や同居期間を考慮すると、別居期間が相当の長期間に及んでいるものということはできず、その他本件離婚請求を認容すべき特段の事情も見当たらないから、本訴請求は、有責配偶者からの請求として、これを棄却すべきものである。以上と同旨に帰する原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、原審の専権に属する事実の認定を非難するか、又は右と異なる見解に立つて原判決の違法をいうものにすぎず、採用することができない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 伊藤正己

裁判官 安岡滿彦

裁判官 坂上嘉天

裁判官 貞家克己

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/62373/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。