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最高裁第三小法廷判決棄却集刑51号529頁

最三小判 昭和26年8月9日

昭和26年(れ)第545号 賍物牙保、賍物運搬

裁判所
最高裁判所第三小法廷
裁判年月日
昭和26年8月9日 (1951-08-09)
事件番号
昭和26年(れ)第545号
事件名
賍物牙保、賍物運搬
裁判の種類・結果
判決 棄却
判例集等
集刑51号529頁
原審
大阪高等裁判所  昭和26年1月30日
分野
刑事
意見
裁判官全員一致個別意見なし

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人和島岩吉の上告趣意第一点について。

原判決判示第一の賍物牙保罪において被告人が賍物たるの情を知つていたとの点について、原審は検察事務官のAに対する聴取書の陳述記載を証拠としてこれを認定したのであるが、Aの原審公判廷における共同被告人としての供述はこれと異つていること、所論の通りである。

しかし共同被告人の公判廷における供述と所論の如き公判廷外における供述とが異る場合に、その何れを採用するかは一に裁判官の自由心証に委ねられているのであつて、公判廷の供述であるからといつて必ずこれを採用しなければならないという法則はないのであり(昭和二三年(れ)一四六号、同二四年二月九日大法廷判決参照)、また公判廷における供述を排して公判廷外における供述を信じて採つた場合に、その理由を示す必要がないことも、当裁判所の判例とするとおりである(昭和二三年(れ)一八一三号、同二四年四月一四日第一小法廷判決)から、原判決には何等違法の点はない。

次に論旨は、原判決判示第二乃至第四の各賍物罪を通じ被告人が賍物たるの情を知つていたとの点について、原審が司法警察官の被告人に対する第二回被疑者訊問調書のみによつてこれを認定したことを目して、憲法及び刑訴応急措置法に違反していると主張する。

しかし被告人の当該公判廷外における自白を証拠として犯罪事実を認定するには補強証拠を必要とするけれども、その犯罪構成事実の全部に亘つて一々これが裏付となる補強証拠を必要とするものではなく、要はその自白の真実性を保障するに足る他の証拠があれば足りるのであつて、殊に賍物罪において犯人が賍物たるの情を知つていたか、どうかというがごとき、いわゆる犯罪の主観的要件に属するものについては、その直接の証拠は当該公判廷外の被告人の自白のみであつても、その客観的構成要件たる事実について他に確証があつて、右被告人の自白の真実性が保障せられると認められる以上、それ等の各証拠を綜合して犯罪事実の全体を認定することは適法であること、夙に当裁判所が判例とするところである(昭和二四年(れ)八二九号、同二五年一一月二九日大法廷判決。昭和二三年(れ)一四二六号、同二四年一〇月五日大法廷判決参照)。しかして本件においては当該公判廷外の自白としては、前掲の被疑者訊問調書あり、客観的要件を証するものとして原判決挙示の各証拠が存するから、以上の証拠を綜合して犯罪事実を認定した原判決に所論のような違憲及び違法ありということはできない。論旨はいずれも理由がない。同第二点について。

論旨は刑訴四〇五条に定めた適法な上告理由とならない。なお記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。よつて刑訴施行法三条の二、刑訴法四〇八条に従い主文のとおり判決する。この判決は、裁判官全員一致の意見である。

昭和二六年八月九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長谷川太一郎

裁判官 井上登

裁判官 島保

裁判官 河村又介

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/68985/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
出典:国立国会図書館「次世代デジタルライブラリー」(https://lab.ndl.go.jp/dl/)のOCRテキストデータ(原資料:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1363905)。TaiLexi AIが編集・加工(OCRの誤りを含む場合があります)。原データ(OCRテキスト)はパブリック・ドメイン・マーク(PDM)付きで、自由に二次利用できます。個人の氏名・住所等はTaiLexi AIがアルファベット等に置き換えています。