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地裁請求棄却

札幌地判 平成17年7月4日

平成12年(行ウ)第30号 国民年金不支給処分取消等

裁判所
札幌地方裁判所民事第1部
裁判年月日
平成17年7月4日 (2005-07-04)
事件番号
平成12年(行ウ)第30号
事件名
国民年金不支給処分取消等
裁判の種類・結果
 請求棄却
判例集等
—
分野
行政
この事件の審級
  1. 第一審札幌地判平成17・7・4(請求棄却)
  2. 控訴審札幌高判平成19・3・30(棄却)

主文

1 原告らの請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第1 原告らの請求

1 第1事件

北海道知事が,平成10年6月5日に原告Aに対してした障害基礎年金を支給しない旨の決定を取り消す。

2 第2事件

(1) 北海道知事が,平成10年12月18日に原告Bに対してした障害基礎年金を支給しない旨の決定を取り消す。

(2) 北海道知事が,平成10年12月28日に原告Cに対してした障害基礎年金を支給しない旨の決定を取り消す。

(3) 北海道知事が,平成11年2月1日に原告Dに対してした障害基礎年金を支給しない旨の決定を取り消す。

(4) 被告国は,原告B,原告C及び原告Dに対し,各2000万円及びこれに対する平成13年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3 第3事件

被告は,原告Aに対し,2000万円及びこれに対する成15年5月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要・その1(基本的事実等)

本件は,大学在学中に疾病・受傷によって障害を負った原告らが,北海道知事に対して障害基礎年金の支給裁定を求めたところ,北海道知事から,原告らは,支給要件を認定すべき日において国民年金に任意加入しておらず,被保険者に当たらないとして,障害基礎年金を支給しない旨の決定を受けたため,機関委任事務制度の廃止により障害基礎年金の裁定に関する権限者となった被告社会保険庁長官に対し,学生を国民年金の強制適用の対象から除外した国民年金法の規定が憲法に違反する等と主張して,上記各不支給決定の取消しを求めるとともに,被告国に対し,適切な立法措置を講ずることを怠った違法があるとして,国家賠償法1条1項に基づき,各2000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成13年7月14日(原告Aについては,平成15年5月15日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

1 本件で前提となる国民年金法の規定

(1) 制定時の国民年金法(以下,原則として昭和60年改正までの同法を「昭和34年法」という。)

国民年金法は,昭和34年法律第141号として制定され,これによって国民年金制度が創設されたが,制定時における被保険者や障害年金に関する定めは次のとおりであった(なお,昭和57年法律第66号による同法改正前は,「障害」及び「障害認定日」について,それぞれ「廃疾」及び「廃疾認定日」との語句が用いられているが,以下,同改正前についても「障害」及び「障害認定日」との語句を用いることとする。)。

ア 被保険者

20歳以上60歳未満の国民は,原則として,法律上当然に国民年金の被保険者となる(以下,このことを「強制適用」という。)こととされたが(昭和34年法7条1項),例外として,①被用者年金各法の被保険者又は組合員やその他の年金の受給権者(同条2項1ないし5号),②既存の公的年金制度適用者の配偶者(同6号),③学校教育法41条に規定する高等学校等,同法52条に規定する大学等及び同法70条の2に規定する専科大学等の学生で,定時制課程にある者や通信教育を受け,夜間の学部等に在学する学生を除くもの(同7号。以下,強制適用から除外された学生を,単に「学生」という。)は,強制適用の対象外とされた。

イ 任意加入制度

国民年金法の強制適用の対象外とされた者の中でも,被用者年金各法の適用を受けず,また,これらの法律に基づく年金給付(遺族給付を除く。)の受給権者でもない者については,本人の希望により,都道府県知事の承認を受けて被保険者となることが認められていた(昭和34年法附則6条1項,以下「任意加入」という)。

学生は,この規定により,国民年金に任意に加入することができた。

ウ 保険料の免除

国民年金の被保険者は保険料を納付する義務を負い,また世帯主はその世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負うとされていた(昭和34年法88条)が,国民年金の障害年金又は母子福祉年金の受給権者,生活保護法による生活扶助を受けている者等は当然に,所得がない者等はその申請に基づいて都道府県知事が決定することによって,保険料の免除を受けることができるものとされていた(同法90条)。

ただし,申請に基づく免除の場合,世帯主又は配偶者が保険料を納付することが著しく困難でないときは,免除は認められず,また,任意加入した学生については,保険料の免除規定は適用されないものとされていた。

エ 障害年金及び障害福祉年金の支給要件

(ア) 障害年金の支給

初診日(疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日)において国民年金の被保険者であった者,又はかつて被保険者であった者で初診日において65歳未満の者が一定の障害の状態にあるときは,一定の保険料を拠出していたことを条件として,障害年金が支給されるものとされていた(昭和34年法30条)。

(イ) 障害福祉年金の支給

初診日において国民年金の被保険者であった者,又はかつて被保険者であった者で初診日において65歳未満の者が一定の障害の状態にあるときは,前記(ア)所定の要件を備えていない場合であっても,一定の要件の下に障害福祉年金が支給されるものとされていた(同法56条)。

また,疾病にかかり,又は負傷し,その初診日において20歳未満であった者が,障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日において,障害認定日が20歳に達した日の後であるときはその障害認定日において,1級相当の障害の状態にあるときにも,障害福祉年金が支給されることとされていた(同法57条)。

(2) 昭和60年法律第34号(以下「昭和60年改正法」という。)による改正後の国民年金法(以下「昭和60年法」という。)の規定

昭和60年改正法による改正は,各種年金制度を統合し,全国民共通の基礎年金制度を創設することを主眼とした改正であり,そのうち,本件に関係する改正部分は次のとおりである。

ア 被保険者

被保険者は,次の(ア)ないし(ウ)のいずれかに該当する者とされ,国民年金法の強制適用を受ける被保険者の範囲が拡大された(昭和60年法7条)。

(ア) 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって次号及び第3号のいずれにも該当しない者。ただし,次のいずれかに該当する者を除く(同条1項1号)。

a 学校教育法41条に規定する高等学校の生徒,同法52条に規定する大学の学生その他の生徒又は学生であって政令で定めるもの(同号イ)

b 被用者年金各法に基づく老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができる者(同号ロ)

(イ) 被用者年金各法の被保険者又は組合員(同項2号)

(ウ) 第2号被保険者の配偶者であって主として第2号被保険者の収入によって生計を維持するもの(同項3号)

上記(ア)aのとおり,昭和60年法では,学生等を国民年金法の強制適用の対象とはしないこととされ,「国民年金制度における学生の取扱いについては,学生の保険料負担能力等を考慮して,今後検討が加えられ,必要な措置が講ぜられるものとする。」とされた(昭和60年法附則4条1項)。

イ 任意加入制度

学生等は,従前と同様に,都道府県知事に申し出て,国民年金に任意加入することができるものとされた(同附則5条1項)。

ウ 保険料の免除

学生等が国民年金に任意加入した場合,従前と同様に,保険料の免除規定は適用されないものとされた。

エ 障害基礎年金の支給要件

昭和34年法により定められていた障害年金は,その名称が「障害基礎年金」となり,後記する現行国民年金法30条とほぼ同じ要件で支給されることとなった。

また,障害福祉年金は廃止され,代わりに,20歳未満の間にかかった疾病等によって障害の状態となった者に対しても,障害基礎年金を支給する旨の規定(昭和60年法30条の4。規定の内容は後記する現行国民年金法の規定と同様である。)が設けられ,従前障害福祉年金の支給を受けていた者に対しても,障害基礎年金の支給対象となる程度の障害を負っていれば,障害基礎年金を支給することとされた(昭和60年法附則25条)。

(3) 平成元年法律第86号による改正後の国民年金法(以下「平成元年法」という。)の規定

平成元年法律第86号による改正によって,学生等についても国民年金法が強制適用されることとなった。その改正内容は,次のとおりである。

ア 被保険者

昭和60年法7条1項1号イ,ロが削除され,その結果,学生等についても国民年金が強制適用されることとなった。

イ 保険料の免除

学生等に国民年金法が強制適用されることとなった結果,学生等も保険料納付義務を負うこととなり,所得がない場合等一定の場合に都道府県知事に申請して保険料の免除を受けることができるものとされた(平成元年法90条本文)。ただし,世帯主又は配偶者に納付するについて著しい困難がないと認められるときは,保険料は免除されないものとされており(同条ただし書),したがって,学生等の親に保険料を納付する能力がある場合には,保険料納付義務は免除されなかった。

ウ 障害基礎年金の支給要件

昭和60年法及び後記する法の規定と同様である。

エ 施行日

平成元年法は,平成3年4月1日から施行された。

(4) 平成12年法律第18号による改正後の国民年金法(以下「平成12年法」という。)の規定

保険料の免除につき,90条の3が新設され,学生等は,当該学生等に所得がない場合等に該当すれば,社会保険庁長官に申請して保険料の免除を受けることができることとなった(以下「学生納付特例制度」という。)

(5) 現行国民年金法(以下「現行法」という。)の規定

以上の改正を経て,現行法は,以下のとおりとなった。

ア 被保険者

現行法7条1項は,国民年金の被保険者として,①1号において,日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって次号及び3号のいずれにも該当しないもの(第1号被保険者),②2号において,被用者年金各法の被保険者,組合員又は加入者(第2号被保険者),③3号において,第2号被保険者の配偶者であって主として第2号被保険者の収入により生計を維持するもの(第2号被保険者である者を除く。)のうち20歳以上60歳未満のもの(第3号被保険者)とそれぞれ定めている。

すなわち,日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者は,そのすべてが国民年金の被保険者となる。

イ 保険料の免除

被保険者は,保険料を納付すべき義務を負う(現行法88条1項)が,一定の事由がある場合(大学生の場合,当該学生自身の前年の所得が政令で定める額以下であるとき等)に該当すれば,社会保険庁長官に申請して保険料の免除を受けることができる(現行法90条の3第1項)。

ウ 障害基礎年金の支給要件

(ア) 初診日において,20歳以上の者の場合(現行法30条1項)

a 疾病にかかり,又は負傷し,その初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内に傷病が治った場合においては,その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)とし,以下「障害認定日」という。)において,その傷病により同条2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき。

b 初診日において,被保険者であること,又は,被保険者であった者であって,日本国内に住所を有し,かつ,60歳以上65歳未満であること。

c ただし,a及びbの要件を満たした場合であっても,当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり,かつ,当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たない場合には支給しない。

(イ) 初診日において,20歳未満の者の場合(現行法30条の4)疾病にかかり,又は負傷し,障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日において,障害認定日が20歳に達した日後であるときはその障害認定日において,障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき

(長文のため、ここでは本文の冒頭のみを掲載しています。全文はこのページの表示後に読み込まれます。原本は原本PDFをご覧ください。)

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/8570/detail4/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。