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国会審議›第1回国会›閣法第17号
閣法第1回国会 第17号成立修正あり

民法の一部を改正する法律案

昭和22年法律第222号 民法の一部を改正する法律
提出昭和22年7月23日 内閣
付託参議院 司法委員会
衆議院 司法委員会
衆議院 司法委員会公聴会
成立
昭和22年法律第222号
審議会議 32回・発言 1,444(政府答弁等 513)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院司法委員会・司法委員会公聴会

  1. S22.7.28趣旨説明司法委員会 687
  2. S22.8.9質疑司法委員会 17170
  3. S22.8.11質疑司法委員会 1855
  4. S22.8.13質疑司法委員会 2049
  5. S22.8.14質疑司法委員会 2185
  6. S22.8.16質疑司法委員会 2230
  7. S22.8.18質疑司法委員会 2377
  8. S22.8.20公聴会司法委員会公聴会 160
  9. S22.8.21公聴会司法委員会公聴会 265
  10. S22.8.22質疑司法委員会 2496
  11. S22.9.16質疑司法委員会 3146
  12. S22.9.17質疑司法委員会 3271
  13. S22.9.18質疑司法委員会 3324
  14. S22.9.19質疑司法委員会 3440
  15. S22.10.8質疑司法委員会 46155
  16. S22.10.13質疑司法委員会 48102
  17. S22.10.27質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)司法委員会 5043
  18. S22.10.30委員長報告・修正案・修正案趣旨説明・採決(修正)本会議 5229
  19. S22.12.9参議院回付案・参議院回付案不同意・採決(再議決)本会議 75244

参議院司法委員会

  1. S22.7.30趣旨説明司法委員会 628
  2. S22.8.27質疑司法委員会 1866
  3. S22.8.28質疑司法委員会 1911
  4. S22.8.29質疑司法委員会 2042
  5. S22.9.18質疑司法委員会 2347
  6. S22.9.23質疑司法委員会 247
  7. S22.10.1質疑司法委員会 2632
  8. S22.10.2質疑司法委員会 2751
  9. S22.10.3質疑司法委員会 2849
  10. S22.10.4質疑司法委員会 2944
  11. S22.11.6質疑・討論・採決司法委員会 3991
  12. S22.11.19少数意見報告書・委員長報告本会議 5311
  13. S22.11.21少数意見報告・討論・修正案・修正案趣旨説明・採決(修正)本会議 5537

提案理由

佐藤藤佐 政府委員(司法次官) 昭和22年7月28日

 次に民法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。

 日本國憲法は、その第十三條及び第十四條で、すべて國民は個人として尊重せられ、法のもとに平等であつて、性別その他により經濟的または社會的關係において差別されないことを明らかにし、その第二十四條では、婚姻は兩性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならないこと、及び配偶者の選擇、財産権、相續、住居の選定、離婚竝びに婚姻及び家族に關するその他の事項に關しては、法律は個人の尊厳と兩性の本質的平等に立脚して制定されなければならないことを宣言しております。しかるに現行民法特にその親族編、相續編には、この新憲法の基本原則に牴觸する幾多の規定がありますので、これを改正する必要があります。政府はまずこの問題を臨時法制調査會及び司法法制審議會に諮問して、朝野各方面の権威者の討議をお願いし、その答申を基礎として、さらに慎重審議を重ねるとともに、所要の手續を進め、ここにこの第一囘國會に本改正法律案を提出する運びとなつた次第であります。以下改正案の内容について御説明します。

 改正案は、まずその劈頭に民事法全般に通ずる日本國憲法の大原則を明文をもつて規定し、その解釋運用の指針としました。すなわち第一條において、私権はすべて公共の福祉のために存すること、権利の行使及び業務の履行は、真義に従い誠實にこれをなすことを要することを規定し、續いて第一條の二に本法は個人の尊厳と兩性の本質的平等とを旨として解釋すべきことを規定したにであります。今囘の改正もこの基本原則に則つて行われたものでありますが、同時にその解釋についてもこの原則に従うことを要し、その結果今囘の改正ではまだ根本的改正の行われなかつた民法第一編ないし第三編の諸規定についても、その内容はこの二箇條の規定により相當の實質的變更があるものと考えるのであります。

 第二に今囘の改正により民法から戸主、家族その他家に關する規定を削除しました。現行民法のもとでは、戸主は家の統率者として家族に對し、居所指定権、婚姻及び縁組の同意権その他各種の権力を認められておりますが、これらはすでに述べました日本國憲法の基本原則と兩立しないため、新しい憲法のもとでは、これを認めることができません。そしてこれらの権力を否定すれば、もはや民法上の家の制度は、法律上はその存在の理由を失うのみならず、これを法の上に残すことは、かえつて戸主の権力を廢止する趣旨を不明瞭にするおそれがあります。よつてこの法律では戸主、家族その他家に關する規定はすべてこれを削除いたしました。これにより従來の民法において戸主が戸主たる資格に基いて家族の上に行使していた各種の権利は認められないことになります。その他家の存在を前提とする各種の制度すなわち繼親子、嫡母庶子、入夫婚姻、親族入籍、引取入籍、離籍、分家、廢家、廢絶家再興、一家創立、隱居、法定推定家督相續人、婿養子縁組、遺言養子及び家の氏に關する規定等もすべて民法典の上からこれを削除したのであります。

 なおここに御留意をお願いしたいことは、右のように、民法典の上からは家に關する規定を全部削除したのでありますが、これはわが國において現實に營まれている家庭を中心とする親族共同生活を否定する趣旨ではないことであります。私どもは現に親子、夫婦を中心とする家庭生活を營んでおり、この親子、夫婦間の法律關係は、従來から家族制度の中心をなしているのでありまして、今囘の改正もこの點は日本國憲法の基本原則に従い、より完全な合理的な制度に高めるための努力をいたしましたが、毫もこれを制限せんとするものではないのであります。

 第三に婚姻については、婚姻は兩性の合意のみに基いて成立すべきものとする基本原則に従い、まず成年者が婚姻をするについては父母等の同意を要しないものとし、未成年者の婚姻については、その保護のため父母の同意を要することにしてありますが、この場合も父母の一方の同意を得られない場合、または父母の知れない場所等に従來の制限を緩和してあります。さらに婚姻生活に體する外部の干渉を排除する等のため、未成年者は婚姻によつて成年に達したものとみなすと同時に、婚姻年齢は男女とも従來より引上げて、男は滿十八歳以上、女は滿十六歳以上に改めました。

 また婚姻生活の内部においても、兩性の平等を徹底するため、婚姻によつて夫婦が夫または妻のいずれの氏を稱するかは、婚姻の際夫婦の定めるところによることとし、妻の無能力の制度はこれを撤廢し、婚姻中は夫婦は同居しお互いに協力し扶助しなければならないものとし、婚姻より生ずる費用は夫婦間で分擔すべきものとし、その他妻の財産に對する夫の使用収益権、管理権の規定等、夫婦の法定財産制に關する従來の不公平な規定はこれを一掃しました。なを離婚原因に關する従來の複雑勝かつ不平等な規定を整理して、これを夫婦間に平等なものとするとともに、婚姻を經續しがたい重大な事由があるときも離婚を請求できることとし、同時に、裁判所は法律上の離婚原因がある場合でも、一切の事情を斟酌して、婚姻の經續を相當と認めるときは婚姻の請求を破棄することができることとしたのであります。なほ離婚に伴い、離婚した者の一方は相手方に對し財産の分與を求めることができるものとし、その額等について爭いがあるときは家事裁判所でこれを定めることといたしました。

 離婚に關連しまして、協議離婚が當事者特に妻の真意に基かないで届出でられることを防止するため、家事裁判所の確認をもつて離婚の要件としてはどうかという有力な意見がありましたので、政府としても十分な検討の結果、家事裁判所を各地方に多數設置し、容易にその確認をうけるような途が講ぜられるならば格別、財政上家事裁判所の開設箇所及びこれに配置できる家事裁判官の數が著しく制限される現状を前提にして考えるときは、莫大な數に上る離婚について、ことごとく右のような確認の手續を經ることは、協議離婚の届出を困難にし、ひいては健全な婚姻制度を維持する所以ではないと考え、右の意見をとらえなかつた次第であります。

 第四に親子關係につきましては、まず子の人格を尊重しこれを保護するため、庶子の名稱を廢止し、未成年者を養子とするには、家事裁判所の許可を要するものとしました。養子の婚姻原因についても、離婚の場合と同様、繼續縁組みをしがたい重大な事由があることを理由とする離縁の訴えを認めると同時に、法律上の離縁原因があつても、裁判所が一切の事情を斟酌して、縁組みの繼續を相當と認めるときは離縁の請求を破棄することができることにしました。子の氏は摘出の子は父母の氏、摘出でない子は母の氏を稱するのでありますが、父または母と氏を異にする場合には、子は、家事裁判所の許可を得て、その父または母の氏を稱する途も開きました。

 次に親権は未成年の子に對するものとし、成年の子に對する親権は、子の人格を尊重するためこれを認めないことにしました。また兩性の本質的平等を徹底するため、母の親権に對する制限はこれを撤廢し、父母の婚姻中は、親権は父母共同してこれを行うべきものとし、父母が離婚した後の親権者は、父母の協議で定め協議で定まらないときは家事裁判所がこれを定めることといたしました。親権を行う父母の一方が勝手に父母の共同名義で、ある行為をした場合に、第三者を保護する規定も別に設けてあります。なお親権者が再婚その他の事情で親権を行うのを不適當とする場合にため、親権を辭する途及び一旦辭した親権を囘復する途を開きました。

 第五は後見人及び親族會は従來家の制度の擁護と後見の監督とを重要な使命としていたのでありますが、制度の運用の實情をみますと、必ずしも十分にその機能を果してはおりませんので、家事裁判所の創設と同時に、後見監督の作用の一部はこれを家事裁判所に、他はこれを後見人監督に移すこととして、親族會を廢止することにいたしました。

 また後見監督人は、従來後見の必置機關となつていたのでありますが、實情に副わぬ点がありますので、改正案では、指定後見監督人がある場合のほかは、必要がある場合に家事裁判所がこれを選任することといたしました。

 第六に、扶養に關しましては、まず扶養義務を負う者の範圍を親族共同生活の現實に即せしめるため、直系血族及び兄弟姉妹のほか三親等内の親族にまで擴張するとともに、扶養義務者の順位、扶養の程度、方法等に關する現行法の煩雑な規定を整理し、家事裁判所で適宜にこれを定めることができるようにいたしました。

 第七に、相續に關しましては、すでに述べました理由で、戸主、家族その他家に關する規定を削除した以上、戸主権の承繼を本質とする家督相續の規定もまたこれを存置することのできないことは當然であります。これに伴い、改正案においては均分相續制度を採用し、大體は従來の遺産相續制度によりますが、兄弟姉妹をも相續人に加え、配偶者は常に相續人となるものとし、配偶者の相續分については、一定の割合を確保するため、特別の措置を講じ、これに關連して遺留分の定め方についても變若干の更を加えました。その數字の詳細は法案の當該條文に譲り、ここではこれを省略いたします。

 相續については右のような均分相續制をとりますが、これを系譜、祭具、墳墓等の承繼に適用することは不適當でありますから、この法律案では、これらのものは、祖先の祭祀を主宰する者がこれを承繼することといたしました。

 第八に、今囘の改正に伴い必要な經過規定を設けましたが、その中には、離婚に伴う財産分與の請求に關する規定のように、新憲法の精神を實現させるため、實質上新法の效力をある程度さかのぼらせたものもあります。

 最後に、本改正案では、親族、相續編の條文全部を口語對に書き改めました。本來、本改正案のように法律の一部改正の場合は、従來の法律の文體に従う慣例でありますが、親族及び相續に關する規定が、國民全部の日常生活を規律することに鑑み、その理解を容易にするため、この部分のみを口語化した次第であります。ただ従前の規定の意味を正確に實現するためには、十分の検討を加える必要があるにかかわらず、そのための時間の餘裕が少なかつたため、疑わしい場合は原文の表現を踏襲しましたので、その字句は必ずしも満足すべきものとはなりませんでしたが、これらは、將來適當な機會にこれを改めたいと思います。以上が本法律案の要点であります。

 次にただいま上程せられました昭和二十一年法律第十一號の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。

 終戰後滿洲から引揚げた人々の中には、わが國の高等試驗司法科試驗に合格した後滿洲國へ参り司法官となつた人々が若干あるのであります。この人人は、同國の司法官として相當年月の經驗を積んでいるのでありますが、何分外國の裁判官または檢察官であつたため、當然にわが國の裁判官または檢察官のみならず、辯護士の資格をも有しないので、歸國いたしましても、ただちに司法事務に従事することができず、精神的、經濟的に悩んでいる實情であります。この法案はこれらの人人に、わが國の辯護士たる資格を與えることによつて、その經驗を活用し、併せてこの人々を救濟しようとするものであります。

 立法の形式はすでに存する昭和二十一年法律第十一號の一部を改正する方法をとりました。この法律は朝鮮辯護士令によつて辯護士及び辯護士試補の資格を得り引揚者に辯護士審査委員會の選考を經て、辯護士または辯護士試補たる資格を與える辯護士法の特例であります。この法案の内容は、辯護士法第三條の試驗すなはち高等試驗司法科試驗にあつた引揚者で、先ほど申し上げました辯護士審査委員會の選考を經た者には、辯護士法第二條第一項第二號の規定にかかわらず、すなわち辯護士試補として一年六月以上の實務修習を了え、孝試を經ないにもかかわらず辯護士たる資格を附與しようとするものであります。この人々はすでにわが國の高等試驗司法科試驗に合格した後、さらに滿洲國においてわが國の従來の司法官試補の相當する學習法官として實務を修習し、裁判官または檢察官の職に就いていたものでありますので、この事實及び滿洲國の法律が、大體わが國の法律と同一系統のものであつたこと等を考えますと、法律的素養の点では、實質的にわが國の弁護士試補の修習を了えた者と同視して差支えないと思料するのであります。なお、弁護士審査委員會の選考を經ることといたしたのは、慎重を期し、人物、實務その他各方面よりの十分な審査を行い、資格附與に遺憾なきを期したためであります。何とぞ慎重御審議の上速やかに可決せられんことを希望いたす次第であります。

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第1回国会衆議院司法委員会議録第6号16頁(昭和22年7月28日)〔佐藤藤佐政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

立法資料のある条文

この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100101017)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。