酒税法等の一部を改正する法律案
参議院 大蔵委員会
昭和24年法律第43号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
提案理由
田口政五郎 政府委員(大藏政務次官) 昭和24年4月20日ただいま議題となりました酒税法等の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
政府は、本年度予算の編成にあたりましては、経済再建のための財政需要の増大に対應して、極力租税收入を確保するため、さしあたりおおむね現行の税制をそのまま踏襲することとしたのであります。すなわち、税制全般にわたる改正及び國民租税負担の合理化につきましては、追つて根本的に再檢討することといたしまして、今回は酒税、取引高税等につきまして当面必要と認められる若干の改正を行うことといたしました。なお、新たに揮発油税を創設して、歳入増加の一助とした次第であります。
次に各税に関する改正の大要について申し上げます。まず所得税につきましては、さきに昭和二十四年の所得税の申告及び納付について、さしあたりその第一期を六月といたしたのでありますが、今回第二期十月、第三期翌年一月の三期とし、それぞれ年税額の三分の一ずつを納付することといたしたのであります。
次に法人税でありますが、法人の増資拂込みによる資金調達を容易ならしめることが、経済再建の急務である現在特に緊要である実情にかんがみまして、法人が額面超過金を積み立てた場合におきましては、当分の間その全額を益金に算入しないこととし、これに対する課税を行わないことといたしました。なお法人が法令または法令に基く命令により、その所有する土地その他の固定資産を買收もしくは收用され、または他に讓渡せしめられた場合について、現在株式について認められている課税上の特例に準じ、超過所得に対する法人税を課税しないことといたしました。
次に酒税でありますが、酒類は御承知の通り現在配給酒と特別價格酒とにわかれ、特別價格酒に対しましては高い税率を適用しているのでありますが、今回その配給の方法を変更し、家庭用の配給はこれを廃止して、労務者及び農村等に対し最小限度の配給を行うにとどめて、極力その数量を圧縮し、残りは全部自由販賣することといたしました。しかしてその價格は、配給酒は現在の配給價格程度、自由販賣酒は、原則として現在の特別價格酒と配給酒の價格の中間程度となるように、税率を定めることといたしたのであります。しかしなら消費の性質に應じて負担の公平を期はるため、清酒に特級酒を、合成清酒に一級酒を設け、清酒特級酒については一級酒等とともにその價格を、ある程度高位に定めることとし、一升びん詰の小賣價格を清酒特級酒千百五十円程度、清酒一級酒九百二十円程度に定めました。その反面しようちゆう等のいわば大衆的な酒類につきましては、その消費の性質及び密造対策の見地等から、できる限り低い價格とすることとし、しようちゆうは現行特價酒七百八十七円、配給酒三百六十五円であるのを四百五十円程度になるようにいたしました。なお、最近における酒類密造の激増にかんがみ、密造酒類の所持犯、密造未遂について処罰規定を設ける等、罰則の整備強化を行うことといたしました。
清涼飲料税につきましては、サイダー、ラムネ等は、昨年七月相当大幅の税率の引上げを行つたのでありますが、その後の課税の状況を見まするに、税率が高過ぎるため生産を阻害しているきらいがありますので、今回第二種サイダーの税率を一石について現行九千五百円を八千円に引下げ、その他の清凉飲料についても同程度の税率の引下げを行うことといたしました。
次に砂糖消費税につきましては、國内で消費される砂糖の大部分が輸入にまつているのでありますが、それが連合國の好意によつて輸入される食糧である等の事情によりまして、輸入砂糖に対しては、非課税とし、これに伴い必要な規定の整備を行うた次第であります。
次に物品税につきましては、乘用小型自動車、自動自轉車等若干の物品を、新規に第一種の物品として課税することとした反面、第一種の物品中照明器具、カバン、トランク、こうり、乳母車類、運動具等について税負担を合理的なものとするため、税率を一段階引下げることとしたのであります。なお緑茶につきましても消費の性質及び課税の実情に顧み、從來の從價課税を從量課税に改め、税負担を若干軽減することとしたのであります。
次に取引高税でありますが、本税の根本的檢討につきましては、さきに申し述べました通りこれを將來に讓り、今回は特に納付方法について大幅な改正を行い、世上最も非難の多かつた印紙納税の制度を廃止するとともに、非課税範囲を拡張し、また一定額以下の零細な取引高についてはこれを非課税といたしました。
まづ、印紙納税の制度は納税者にとつて相当煩雜であり、取引を阻害する場合が多いこと等の理由により、非難が多かつたのでありまして、政府は実施の状況等にもかんがみ、この際印紙納税制度を廃止し、現金による毎月の申告納税の制度に改め、もつて印紙納税に伴う種々の手数及び帳簿の記載関係等を、簡略にすることとしたのであります。税率も軽くかつ計算方法も比較的簡單でありますので、申告納税制度によつて相当の成績を收め得るものと、期待いたしておるのであります。
次に現行非課税範囲との権衡、及び非課税にすることが財政收入に及ぼす影響等を考慮しつつ、非課税制度を若干拡張することとしたのであります。まず、徴税上の手数を省略し、かつ経済力の弱小な零細な営業者に対しては課税しない趣旨から、免税点の制度を設け、一箇月の取引金額が三万円未満の営業者に対しては、取引高税を課さないこととしたのであります。また新たに理容業、簡易旅館業、配給される加工水産物、主要食糧及び蔬菜植物の種苗等の取引等を、非課税とすることとしたのであります。
以上申し述べましたほか、今回改正しようとする主要な点について申しますれば、納税を容易かつ確実ならしめるため、新たに納税準備預金の制度を設け、その利子に対して所得税を免除することといたしました。最近の徴税の実情等から考えまして、租税の納付を容易ならしめることに資するよう、この制度を極力奬勵して参りたいと存じます。なかんずく申告納税の所得税につき、この制度の活用をはかり、もつて円滑なる納税に努めたいと考えている次第であります。
次に揮発油税法について、その大要を申し上げます。さきにも申し述べました通り、政府は新たに揮発油税を創設して、財政需要に應ぜしめることといたしたのであります。すなわち最近における揮発油の需給及び價格の状況等に顧みまして、政府といたしましては、揮発油に相当の租税力があると認め、小賣價格の從價十割の税率により課税することといたしたのであります。
揮発油税の内容につき主たる点を申し上げますと、本税は他の間説税と同樣、製造場または保税地域から揮発油を引取る都度、引取人から徴收することといたしました。その他輸出品に対する免税規定、精製等のため他の製造場へ移出する場合に未納税引取の規定、その他取締り上必要な規定は、おおむね、他の間接税の例にならつておるのであります。
以上各法律案につきその大要を申し上げたのでありますが、今回は原則として現行税制をすえ置くことといたしました結果、昭和二十四年度の租税及び印紙收入の総額は、五千百四十六億円餘に上り、総歳入中租税の占める地位は七三%となり、前年度に比し相当増加しておるのであり、この巨額な租税收入を本年度において確保いたしますためには、もとより多大の努力を必要とすると考えるのでありますが、これを確保することは、経済再建の基礎をなす財政收支の均衝をはかり、インフレを收束するために不可欠の要請でありますから、この際全國民が租税の完納につき、一段の努力をいたされたいのであります。政府といたしましても、すみやかに徴税事務の運営を刷新改善し、できる限り適正な課税を行うことに全力を傾注する所存でありまして、納税者各位の協力と相まつて、租税の徴收効率の向上が実現されることを、期待してやまない次第であります。今ひるがえつて、わが國現在の税制を檢討いたしますと、國民の中央及び地方を通ずる租税負担はすでに相当重く、かつ租税制度そのものについても、現在の経済情勢の推移に充分適應しないきらいがあるのであります。先にも申し上げました通り、今回はさしあたり現行税制を原則として、そのまけ踏襲したのでありますが、近い將來なるべくすみやかな機会に税制全般について根本的檢討を加え、ぜひとも税制の合理化をはかり、國民の負担を適正ならしめたいと考えているのであります。
何とぞ御審議の上すみやかに賛成せられるよう、切望してやまない次第であります。
第5回国会衆議院大蔵委員会議録第17号8頁(昭和24年4月20日)〔田口政五郎政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100501059)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。