鉱山保安法案
参議院 商工委員会
昭和24年法律第70号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
有田二郎 政府委員(商工政務次官) 昭和24年4月30日ただいま議題となりました鉱山保安法案につきまして、その提案理由を御説明いたします。
御承知のごとく、鉱業の保安に関する法制の歴史はきわめて古く、保安が生産の基礎となる鉱業の特殊事情に即應いたしまして、明治二十三年の鉱業條例以來、施設の保安、鉱夫の保護、鉱害の防止等に関し、これを法的に規制し、商工省において総合的かつ一元的に監督して参つたのであります。終戰以來、主として戦時中の濫掘による鉱業施設等の荒廃のため、鉱山の保安状況は悪化し、鉱業生産の確保向上のためには、保安條件の整備が焦眉の急とされているのであかますが、これを規制する現行法規には若干の不備もあり、監督機関も十分とは言えないので、政府といたしましては、鉱業保安関係法令の整備と、監督機関の充実並びに労働関係法規との調整について、鋭意検討を進めて來たのでありますが、ようやくその成案を得ましたので、ここに鉱業法、労働基準法とは別個の單行法として、鉱山保安法案を本國会に提出して御審議を仰ぐ次第であります。
この法案は第一條に明文を設けましたごとく、鉱業生産の特殊性にかんがみ、鉱山労働者の保護をはかるとともに、鉱物資源の合理的開発をはかるという、こつの目的をあわせ持つものであります。
この法案において特に政府の考慮いたしました事項の第一点は、鉱業の保安に関する鉱業権者及び保安技術職員その他の鉱山労働者の責任を、明確にするということであります。現行法令におきましては、責任関係が明確でない点もあつたのでありますが、この法案は、鉱業権者及び鉱山に働く労働者が、それぞれ鉱業の保安に関し法的責任を持つことを、明確に定めようといたしております。
第二点は、鉱業の保安が特殊の技術的事項であることにかんがみ、鉱山の現場機構を整備強化しようとしていることであります。すなわち保安管理者、保安監督員等の保安技術職員の制度を整備し、かつ、その資質の向上をはかりますほか、各鉱山に保安委員会の設置、実情に即する保安規程の作成を義務づけ、現場保安業務の最も円滑な運営を期しているのであります。
第三点は、鉱業の保安に関する監督機閥の整備と、そのきわめて民主的な運営をはかつていることであります。すなわちこの法案施行のため中央に鉱山保安局を設け、地方に鉱山保安監督部、炭鉱保安監督部を置いて、それぞれ商工局、石炭局に付置し、これらに鉱務監督官を配して、保安感得の強化をはかろうといたしておるのでありますが、これとともにその民主的な運営を確保いたしますため、中央地方にそれぞれ労資、学識経験者よりなる保安協議会存設け、重要事項について審議することといたしておるのであります。なおこの法案に基づき監督機関が操業に影響を及ぼすような命令等を発します際は、最も民主曲な公開による聽聞を行い、峯前に直接関係者の意見を聞く制度を創設しているのであります。今日鉱業の保安状況は必ずしも万全とは申せないのでありまして、この法案の施行により、万難を排して災害の絶滅を期し、鉱物資源の増産のため基礎條件を確保したいと思うのであります。
何とぞ慎重審議の上、可決せられんことを希望いたします。
第5回国会衆議院商工委員会議録第9号8頁(昭和24年4月30日)〔有田二郎政府委員発言・発言番号14〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100501138)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。