建築基準法案
衆議院 建設委員会
昭和25年法律第201号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
鈴木仙八 政府委員(建設政務次官) 昭和25年4月27日建築基準法案の提案理由及び要旨を御説明申上げたいと存じます。
本法案につきましては、政府といたしましては三月一日閣議決定を見て以来速やかに国会に提案すべく努力して参つたのでありますが、いろいろの関係上観遷延し今日に至りましたことを何とぞ御了承お願いいたしたいと存じます。
戦争以来、我が国の建築はその量の増加にのみ力が注がれまして、質の改善が閑却せられ勝ちでありましたことは周知の通りでありまして、保安上、衛生上好ましくない建築物が建築せられ、毎年火災その他の災害による建築物の損耗は極めて大なるものがあります。かかる建築物の災害を未然に防止し、国民の健康及び財産を保護するためには、建築物の質の或る程度の水準を確保しなければならないと考えられます。現在建築物の質の規制に関する法律といたしましては、市街地建築物法がありますが、この法律は制定以来満三十年を経過しておりまして、その間若干の小改正を経てはおりますが、今日においては、その形式及び内容共に不備な点が多く、新憲法の精神に鑑みて改正を必要とするものであり、且つ我が国建築の質的改善による災害の防止、国民生活水準の向上には十分に寄与し得ない憾みがあります。而して幸い最近において建築資材の需給も円滑となつて来ましたので、臨時建築制限規則による建築統制を廃止して、建築物の質的改善を積極的に推進できる機運にもなりましたので、この際市街地建築物法を廃止し、改めて新たな構想により建築物に関する基本法を制定する必要があると考えまして本法律案を提出する次第であります。
次に本法案の要点につきまして御説明いたします。
第一に、現在の市街地建築物法は、保安、衛生又は都市計画上必要な建築の制限を主な内容としておりますが、その具体的な制限内容を殆んど命令に委任しておりますので、これを改めまして、国民の権利義務に関する重要事項はすべて法律で具体的且つ詳細に規定することといたしました。
第二に、地方自治を促進する見地からいたしまして、地方公共団体において條例で地方の実情に即してこの法律に規定する建築の制限を強化し、又は緩和できるようにすると共に、この法律の執行は地方公共団体の責任と、特に能力のある限り市町村にその責任と権限を与え都道府県は能力のない市町村についてのみこれを有することにいたしました。
第三に、建築物がこの法律に定める最低基準に適合することを確保する手続については、従来のような都道府県知事の認可制度を廃止いたしまして、建築行政に関する専門的な知識経験を有する市町村又は都道府県の建築主事の確認を以て足ること、且つその処理期間を法定いたしまして、事務処理の責任を明らかにし、手続の簡易迅速化を図りました。
第四に、この法律を執行する手続の適正民主化を図るために、重要事項については公開による聴聞の制度を設けると共に、市町村及び都道府県に民主的な構成を有する建築審査会を設置して、建築主事の処分に対する異議申立ての処理、その他この法律の施行に関する重要事項について諮問すべきものといたしました。尚住民の創意を尊重して、住宅地としての環境の維持又は商業の利便の増進を図る等、建築物の利用を増進し且つ土地の環境を改善するために建築協定の制度を設け、自主的に建築に関する基準を設け得ることにいたしました。
第五に、建築物の質に関する実体的の規定につきましては、現行の市街地建築物法令の施行の経験に鑑み、全般的に改善を加えましたが特に最近の火災その他の災害頻発の状況に鑑みまして、防火及び防災に関する規定を極力整備いたしました。以上で建築基準法案の主な要点につきまして御説明申上げました。本法案の実施が我が国建築文化の向上に寄与するところ大なるものがあることに鑑み、何とぞ十分に御審議の上速かに御可決下さいますよう御願いいたす次第であります。
第7回国会参議院建設委員会会議録第21号1頁(昭和25年4月27日)〔鈴木仙八政府委員発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100701188)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。