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参法第7回国会 第3号成立

精神衛生法案

昭和25年法律第123号 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
提出昭和25年3月31日 中山寿彦、外14名
付託衆議院 厚生委員会
参議院 厚生委員会
成立
昭和25年法律第123号
審議会議 7回・発言 187(政府答弁等 22)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院厚生委員会

  1. S25.4.5趣旨説明厚生委員会 226
  2. S25.4.7逐条説明・質疑厚生委員会 2386
  3. S25.4.8質疑厚生委員会 2434
  4. S25.4.14討論・採決厚生委員会 277
  5. S25.4.15委員長報告・討論・採決本会議 3758

参議院厚生委員会

  1. S25.4.5趣旨説明・質疑・採決厚生委員会 2587
  2. S25.4.7委員長報告・採決本会議 40111

提案理由

中山壽彦 議員(発議者) 昭和25年4月5日

提案理由の御説明を申し上げます。

 現在精神衛生に関する法律といたしましては、精神病者監護法と精神病院法の二つがございます。精神病者監護法は明治三十三年の制定にかかるものであり、また精神病院法は大正六年につくられたものであります。前者につきましては制定されましてから五十一年間、後者につきましては制定後三十三年間、その間いまだ一回も改正を見ずして今日に至つているのであります。当時の精神病者の推定数は十万ないし二十万と言われておりましたが、今日においてはその数六十四万人に及び、なお今回の法案で精神障害者として対象といたしました精神薄弱者及び精神病質者を加えますと、実に三百二四万人ないし四百万人の多きに及ぶことになるのであります。かく精神衛生の面における治療及び保護対象が増加いたし、また精神医学もその間に急速の進歩をいたして来たにもかかわらず、これを規律する法律はいまだに明治年間の衣を着たままであります。

 精神病者監護法はもつぱら精神病者の不法監禁を防止することを主たる内容とするものでありまして、題名は監護法でありますが、実質は精神病者の監置法ともいうべきものであります。すなわち精神病者を監置できる者を保護義務者に限つたことがそのねらいでありましていわゆる座敷牢の制度を特定の者について合法化したものとも言えるのであります。しかし座敷牢制度の制限だけでは精神病者は救われないことも明らかであり、それから十七年後に制定された精神病院法は、精神病院を府県に設置し、犯罪傾向のある精神病者、身寄りのない精神病者をまず収容することにいたしたのであります。

 この二つの法律によつてまかなわれて来た精神衛生行政の現状を見まするに、現在全国における公立及びこれに代用される精神病院のベット数は二万床を持つにすぎません。欧米における施設は人口二百人ないし五百今に対して一つの率でベットを整備いたしております。わが国の現状は人口四千人に対して一つの率でありますから、これを国際水準に比べますと、いまだその十分の一を満たすにすぎないのであります。このペット数の不足から、現在病院に収容することができず、座敷牢にある者の数は二千六百七十一人に達しておる実情であります。健全な社会の発展のためには、身体に対する衛生と並んで、精神衛生が不可欠であることは申すまでもございません。それは車の両輪ともいうべきものでございます。

 ここに提案しようといたしまする精神衛生法案は、この立遅れ、取残されて来た精神衛生行政の車を一刻も早く前進させまして、心身ともに健康なバランスのとれた国民社会が達成されることを願つたものであります。

 法案の大要について申し上げますと、第一に、この法案は、いやしくも正常な社会生活を破壊する危険のある精神障害者全般をその対象としてつかむことといたしました。従来の狭義の精神病者だけでなく、精神薄弱者及び精神病質者をも加えたのであります。第二に、従来の座敷牢による私宅監置の制度を廃止して、長期にわたつて自由を拘束する必要のある精神障害者は、精神病院または精神病室に収容することを原則といたしました。これがために精神病院の設置を都道府県の責任とし、また入院を要する者で経済的能力のない者については、都道府県において入院措置を講ずることとし、国家はこれらの費用の二分の一を補助することといたしました。

 第三に、医療及び保護の必要な精神障害者については、警察官、検察官、刑務所その他の矯正保護施設の長のように、職務上精神障害者を取扱うことの多い者には通報義務を負わせるほか、一般人はたれでも知事に医療保護の申請ができることにして、その医療保護が必要であるにかかわらず与えられざる者なきを期して、国民のすべて協力する態勢をつくりたいと考えたのであります。

 第四に、人権蹂躙の措置を防止するため、精神病院への収容にあたつては、真の病気域外の理由が介入しないように注意いたしました。すなわち精神衛生鑑定医の制度を新たに設け、その二人以上の鑑定の一致あることを病院収容の条件といたしたのであります。

 第五に、自宅において療養する精神障害者に対して巡回指導の方法を講ずるほか、精神衛生相談所を設けまして、誤つた療養による弊害を防止するとともに、さらに進んで精神衛生に関する知識の普及に一般の努力を払うことといたしました。

 第六に、精神衛生行政の推進と一層の改善をはかるため、精神衛生審議会を厚生省の付属機関として設置し、関係行政庁及び専門家の協力によつてこの法律の施行の万全を期することといたしました。

 以上が精神衛生法案に盛られた内容の大要でございます。何とぞ慎重御書議の上御可決あらんことをお願いいたします。

第7回国会衆議院厚生委員会議録第22号5頁(昭和25年4月5日)〔中山壽彦議員発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100703003)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。