災害救助法の一部を改正する法律案
参議院 厚生委員会
昭和25年法律第229号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
黒川武雄 厚生大臣 昭和25年7月20日ただいま議題となりました災害救助法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を説明いたします。
災害救助法第三十六條は、国庫負担に関する規定でありますが、これによりますと、都道府県が災害救助のために支弁した費用の合計額が、前年度の標準賦課率で算定した地租、家屋税、事業税、いわゆる三收益税の合計額の百分の五を超過したとき、その超過額に対して一定の率で国庫が負担することになつております。ところが三收益税は、数次にわたる標準賦課率の引上げ等のため、非常に増加を示しており、昭和二十一年度と昭和二十四年度とを比較しますと、五十八倍の増となつております。これに対して災害救助に要する費用は、物価騰貴を勘案して若干の改訂を行つたにもかかわらず、法制定当初に比較して、三倍の値上りになつているにすぎません。つまり法制定以後、都道府県の三收益税の増加率と応急救助の費用の増加率との間には、今日においては著しい不均衡を生じて来ておるのでございます。その結果よほどの大災害が発生しない限り、国庫の負担がないというきわめて不合理な事態を生ずるに至り、第三十六條の規定は、実質上制定当初の意味をまつたく喪失していると申しても過言ではないのでございます。災害は予見し得ない、しかも多額の財政支出を伴うので、都道府県の財政負担は、ただでさえ容易ならぬものがあり、また災害救助法では、非常災害時の罹災者の救助は、国の責任で行う建前になつていることからしても、事実上国庫負担が停止されている現状を早急に改める必要があると、かねがね痛感されていたのであります。たまたま今国会に提出されております地方税法案によりますと、従来の都道府県の税制が根本的に改変され、地租家屋税、事業税は、その課税主体その他すべてにわたり改正を加えられることになり、従つてこの三收益税を国庫負担算定の基礎にすることが不可能となりましたので、これにかわるものを新たに採用せざるを得なくなつたわけでございます。そこでこの機会に懸案の第三十六條の改正を行うこととし、第一には、国庫負担の基礎として、従来の三收益税合計額にかわるものとして、地方税法案に定める標準税率で算定した当該年度の都道府県の普通税收入見込額を求め、第二には、都道府県の支弁した救助費が、その額の百分の一を超過するときに国庫負担をなし得るように改め、昭和二十五年度より適用することといたしたのであります。すなわちこの改正案は、地方税法案により都道府県の税制が改まる機会に、国庫負担の基礎を新税制に合せるとともに、国庫負担についての前述の不合理を是正し、真に地方財政の実情に即した国庫負担をなし得るようにしたものでございます。この改正により都道府県の財政負担が著しく軽減される結果、都道府県の災害救助活動が、一層積極的に実施されるようになり、罹災者の救助の万全を期し得られることと確信いたす次第でございます。
何とぞよろしく御審議の上すみやかに可決せられるよう希望いたします。
第8回国会衆議院厚生委員会議録第2号1頁(昭和25年7月20日)〔黒川武雄厚生大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100801013)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。