農業委員会法案
衆議院 農林委員会
昭和26年法律第88号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院農林委員会
衆議院農林委員会
- S26.2.26趣旨説明農林委員会 1123
- S26.2.27質疑農林委員会 1274
- S26.2.28質疑農林委員会 1339
- S26.3.2質疑農林委員会 14103
- S26.3.3質疑農林委員会 1516
- S26.3.8質疑農林委員会 1898
- S26.3.13質疑農林委員会 2047
- S26.3.17修正案・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)農林委員会 2364
- S26.3.20修正案・委員長報告・討論・採決(修正)本会議 2232
提案理由
島村軍次 政府委員(農林政務次官) 昭和26年2月23日只今予備付託になりました農業委員会法案につきまして、その提案の理由を簡單に説明申し上げます。
終戰後我が国の農村の民主化と、農業生産力発展の障碍を除去いたしますために、画期的な農地改革が実施されまして、三百万戸を超える自作農家の創設が行われ、その事業もほぼ完成をみたのでありますが、真にこの事業の成果を確保するためには、わが国の農業生産力の発展及び農業経営の合理化を促進し、農民の地位の向上を図りますことが不可欠であると考えられるのであります。このことは、單に農民のためばかりでなく、国家百年のため、緊急の計と存ぜられるのでありまして、そのため政府はいろいろの方策を講じて参つたのでありますが、何と申しましても、我が国の農業の前途に横たわつている多くの問題を解決いたしますためには、先ず以つて農民の積極的な意欲と主体性を持つた活動と協力がなければ、到底望み得ないと固く信ずるのであります。従来の農業施策の実施の上におきまして、最も欠けておつたものは、制度上農民の自主性が重視されていなかつた点ではなかつたかと思うのであります。
この欠陥を補いますには、従来土から行われていた農業政策を下からの農業政策に切り替えることが根本問題であろうと考えるのであります。勿論、地方における農業施策の主体といたしまして、都道府県、市町村という自治体があるわけでありまして、今後とも農業の指導助成の担当者であることに変りはないのでありますが、施策の実効を充分に収めるためには、それが農民の意欲なり、希望と一致するものでなくてはならないのであります。そこで現在のような困難な事情の下にある日本農業に将来にわたつて繁栄をもたらすためには、どうしても、農民の声をして直接都道府県なり、市町村なりの行う農業政行の上に反映させるための民主的な組織が必要であろうと考えるのであります。
従来農民代表機関といたしまして農地関係については農地委員会、食糧供出及びこれに伴う農業計画関係については農業調整委員会が法制上の機関として設置され、農業技術改良関係については別に行政措置によつて農業改良委員会が置かれているのでありまして、それぞれ民主的な農民代表機関として、積極的な活動を行い、その成果も極めて大きいものがあつたのでありますが、時の経過と共に所掌事務の性質なり分量が相当変つて来ておりまするし、その範囲がそれぞれ限定され、相互に関連をもちませんため、全体としてこれに再検討を加え農業経営全体のための総合的な農民代表機関としての実を挙げ得るよう組織の簡素化を図り、且つ機能の上に総合性を與え、真に民主的に農民全体のめの組織とし、再組織することが切実に望まれるわけであります。これが本法律案を提案いたしました根本的な趣旨であります。以下本法律案の主要な内容について概略御説明申上げます。
先づ第一に本法律案は、農業委員会に関する組織法であるということであります。即ち農業委員会は、耕作の業務を営む農民が、民主主義の原則に従つて組織し、運営する農民の代表機関でありまして、農村における自作暦、小作層の意見が公平に代表され得るように原則として階層選挙によるものとし、選挙権、被選挙権を市町村に住所を有する成年農民に平等に與え、且つ選挙農民によるリコール制度を設けたのであります。
第二に、農業委員会は、農業全般に関する事項をその所掌事務といたしておることであります。即ち 農業委員会は、執行機関として、自作農の創設維持、農地等の利用関係の調整、土地の改良、交換分合に関する事務及び小作調停関する勧解等を処理するほか、諮問機関として、土地の開発、改良保全その他土地の生産條件の整備、農業技術の改良、その他農業生産に関する事項、農畜産物の加工流通に関する事項、その他農業振興のため必要な項についての総合計画の樹立及びその実施について、地方公共団体の長に建議したり、諮問に応じたりするのであります。なお主食の統制との関係におきましては、別途提案を予定しておりまする食糧の政府買入数量の指示に関する法律案によりて食糧管理手続の整備を行い、農業委員会を供出割当に関する諮問機関とする方針であります。
第三に、農業委員会は、農民の民主的な代表機関でありますので、その自主性を尊重いたしますため、行政庁の監督は、極力排除いたしましたことであります。ただ、農業委員会が執行機関として、処理する自作農創設維持及び農地関係の調整に関する事項につきましては、事の性質上全然その自治に放任するわけには参りませんので、この事項に限つて行政庁の監督権限を留保いたしているのであります。
第四に、農業委員会に要する経費は、原則として、これを国の負担といたしたことであります。農業委員会が、地方公共団体の機関であり、従いまして、委員なり、書記も身分的に地方公務員であることは、言うまでもないのであります。又その所掌事務につきましても、先に申上げました通り、団の事務と考えられるものばかりでなく、地方公共団体の事務と考えられるものもその所掌事務といたしているのでありますが、政府といたしまして、川行政事務及び財源の再配分について、まだ方針が確定いたしておりませんので、従来の農業委員会や、農業調整委員会の例によりまして、農業委員会に要する経費は、原則として、国の負担といたしたのであります。
以上が本法律案の内容の概略でありますが、何卒愼重御審議の上、速かに御賛同を御られますよう切望する次第であります。
第10回国会参議院農林委員会会議録第10号1頁(昭和26年2月23日)〔島村軍次政府委員発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101001043)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。