公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案
参議院 建設委員会
昭和26年法律第97号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
増田連也 国務大臣 昭和26年3月28日公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案について提案の趣旨と内容の概要を御説明申し上げます。
わが国は地勢及び気象等の関係から、古来有数の災害国でありますが、ことに戦時中の国土の荒廃等に基因いたしまして、終戦後災害が連年相次いで起り、その被害は驚くべき巨額に達しております。しかして公共土木施設の災害はその大半を占めておりますが、その復旧費は地方公共団体の負担に属しまする関係上、一面において地方の財政に過重な負担を課することとなり、地方財政を破綻に瀕せしめるおそれがありますのみならず、他面においてこれがため迅速にして適切な復旧事業の遂行を不可能ならしめ、災害を累増せしめる大きな原因となつておるのであります。御承知のごとく一昨年シヤウプ使節団の勧告の次第もありまして、昭和二十五年度は公共土木施設の災害復旧事業は、合理的な恒久的負担制度を確立するまでの暫行措置として、とりあえず全額国庫負担の特例を設けることになりました。その後地方行政調査委員会議において、シヤウプ勧告を基礎にして恒久的制度の調査審議に力をいたされておりましたが、昨年十月、国会及び政府に対しまして、これに関する勧告を提出されたのであります。政府におきましても、かねて窮迫した地方財政の現状と、激甚な災害の頻発とにかんがみまして、地方の財政能力に即して災害のすみやかな復旧をはかり得ますように、復旧費の国と地方との間における負担関係を合理的に調整することの緊要なるを痛感いたしまして、関係各省において、審議検討を重ねていたのでありますが、さらに勧告を受けましたので、その趣旨を尊重しながら、現在の国家財政の実情を勘案いたしまして、愼重検討を加えました結果、成案を得ましたので、ここに法律案として御審議を願うことにいたした次第であります。
以下法案の大要を申し上げますと、第一に本制度の対象とする災害復旧事業は、地方公共団体またはその機関の維持管理に属する河川、海岸、砂防設備、林地荒廃防止施設、道路、港湾及び漁港のうち、政令で定める公共土木施設の災害にかかるものでありまして、災害にかかつた施設を原形に復旧することを原則といたしますが、これが不可能な場合におきましては、当該施設が従前の効用を復旧するための施設をすることとし、かつ原形に復旧することが著しく困難、または不適当な場合には、これにかわるべき必要な施設をすること、すなわちいわゆる超過事業をあわせて行うことができるものとし、また一箇所の工事費は、二十五年度の特例通り十五万円以上とすることといたしました。
次に国庫負担率は、各地方公共団体の一箇年の災害復旧事業費の総額を当該年度の普通税の標準税収入見込み額と比べまして、その二分の一までは三分の二、その二倍までは四分の三、それ以上は全額と、逐次に負担率を増加して、個々の地方公共団体の財政力に適応して算定することといたしました。もつとも超過事業費については、一般の改良事業費に対する負担率と同率とするものであります。北海道につきましては、同地が現在なお開発途上にあり、従来災害復旧事業費については、八割補助をしておりました事情を勘案いたしまして、当分の間、暫定的に特例を設けることとし、五分の四に満たない場合には、五分の四とすることといたしました。なお昭和二十五年以前の災害による復旧事業費で、主務大臣の決定を受けたが、国庫負担金の未交付のものにつきましては、昭和二十五年度の標準税収入を基礎として、各年の災害復旧事業費の総額ごとに前述の同様の方法により負担率を定めまして、その残事業費の負担率とするものであります。地方行政調査委員会議は、この法律に規定した事業のほか、災害復旧事業費の支十年度の限定、予算計上方法及び特別会計の新設等に関しても、勧告いたしておるのでありますが、国家財政の現状からいたしまして、時期尚早と認めまして、今回は採用いたさないことといたしました。
以上申し述べましたように、この法律は、公共土木施設の災害復旧事業費について、地方公共団体の財政力に適応するように、国の負担率を定めまして、災害のすみやかな復旧をはかり、もつて公共の福祉を確保せんとするものでありまして、何とぞ十分御審議あらんことをお願いいたします。
第10回国会衆議院建設委員会議録第16号3頁(昭和26年3月28日)〔増田連也国務大臣発言・発言番号5〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101001129)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。