連合国財産補償法案
参議院 大蔵委員会
昭和26年法律第264号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
提案理由
西川甚五郎 政府委員(大蔵政務次官) 昭和26年10月24日ただいま議題となりました連合国財産補償法案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は、連合国との平和條約第十五條の規定に基き、連合国または連合国人が開戰時に日本国内に有していた財産について、戦争の結果生じた損害の補償を行うために、必要な事項を規定するものであります。従来この種の補償は、平和條約上の義務とせられるのが例であり、イタリア、ブルガリア等の平和條約におきましても、これに関する詳細な規定が條約中に設けられているのでありますが、対日平和條約におきましては、條約の條項をなるべく簡潔ならしめて、その成立を促進する趣旨をもつて、條約中には補償の原則のみを規定し、その細目は日本の国内法によらしめる形がとられたわけであります。しかしながら、事柄そのものは條約の内容をなすべき性質を持つております関係上、連合国側と十分協議を遂げて法律案を作成したものでありまして、この法律案は、條約中にも引用されており、実質上は條約と一体をなすものと申すべきであります。
次に、この法律案の内容につき、おもな点を申し上げますと、まず第一は、條約第十五條の趣旨に沿つて補償の原則を定めたことであります。補償の原則としましては、連合国または連合国人が開戦時において本邦内に有していた財産について、戦争の結果損害が生じたときは、日本政府は、その損害を補償するものといたしております。すなわち、補償を受ける主体は、連合国または連合国人に限られ、補償の対象となる財産は、開戦時において、平和條約の規定により、日本国の主権が回復される地域にあつた財産に限定されることになつております。また補償される損害は、戦争行為に基因する損害、戦時特別措置に基因する損害など特定の原因に基く損害に限定されております。なお返還できる状態にある財産については、正当の事由なくして所定の期限までに返還の請求がなかつたときは、損害の補償はされないことにいたしました。
第二は、損害額の算定について規定、したことであります。損害額の算定方法につきましては、助産の種類ごとに規定を設けてありますが、原則としては、財産を開戦時の状態に回復するため必要な金額によることになつております。また連合国人がすでに利益を受けているような場合には、損害獺からこれに相当する金額を差引いて補償金額を定めることとし、日本側の負担が公正なものとなるように措置いたしてあります。
第三は、補償金の支拂い方法について規定したことであります。補償請求の手続及び期限といたしましては、請求権者が、その所属する国の政府を経て、平和條約の発効時から十八月以内に、日本国政府に対し、補償金麦拂い請求書を提出することを要するものとし、この期間内に提出がないときは、補償金の支拂い請求権を放棄したものとみなされることにいたしてあります。補償金の支拂いは、原則として円貨をもつてし、また一会計年度における支拂いの限度を百億円に限定する等、わが国の財政状態及び為替状態になるべく困難な影響を與えぬよう、配慮いたしてある次第であります。
最後に、日本国政府の決定した補償金額に対して、異議がある場合の解決方法としては、一定期間内に再審査の請求をすることを認め、これを審査するため連合国財産補償審査会を置くこととしておりますが、なお連合国との間に特別の協定がなされる場合には、その協定に定める手続によるべき旨の規定が設けられております。
以上申し上げましたように、この法律案は、対日平和條約に基き、かつ條約と一体をなす補償事項について、その実施方法を規定したものでありまして、わが国が平和條約上の義務を履行するために、ぜひとも必要なものであります。
第12回国会衆議院大蔵委員会議録第2号28頁(昭和26年10月24日)〔西川甚五郎政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101201005)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。