地方自治法の一部を改正する法律案
衆議院 地方行政委員会
衆議院 地方行政委員会公聴会
昭和27年法律第306号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会・地方行政委員会公聴会
- S27.4.25趣旨説明地方行政委員会 3429
- S27.4.26質疑地方行政委員会 3580
- S27.4.28質疑地方行政委員会 3690
- S27.5.6逐条説明地方行政委員会 3736
- S27.5.7逐条説明地方行政委員会 38107
- S27.5.19公聴会地方行政委員会公聴会 1139
- S27.5.20質疑地方行政委員会 4896
- S27.5.21質疑地方行政委員会 49138
- S27.5.23質疑・参考人招致地方行政委員会 51136
- S27.5.24質疑地方行政委員会 5253
- S27.5.26質疑地方行政委員会 5358
- S27.5.27質疑地方行政委員会 5461
- S27.5.28質疑地方行政委員会 55190
- S27.5.29質疑地方行政委員会 5655
- S27.6.6修正案・修正案趣旨説明・質疑・討論・採決(修正)地方行政委員会 63103
- S27.6.7委員長報告・修正案・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)本会議 5196
- S27.7.31参議院回付案・参議院回付案同意本会議 70221
参議院地方行政委員会
- S27.5.14趣旨説明・逐条説明地方行政委員会 3158
- S27.5.23公聴会地方行政委員会 3838
- S27.5.24参考人招致地方行政委員会 3916
- S27.6.9衆議院修正部分趣旨説明・質疑地方行政委員会 47128
- S27.6.10質疑地方行政委員会 4865
- S27.6.11質疑地方行政委員会 49104
- S27.6.12質疑地方行政委員会 50118
- S27.6.13質疑地方行政委員会 5147
- S27.6.16参考人招致地方行政委員会 53111
- S27.6.17質疑地方行政委員会 54121
- S27.6.18質疑地方行政委員会 5569
- S27.6.19質疑地方行政委員会 5664
- S27.6.20質疑地方行政委員会 5716
- S27.7.7質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)地方行政委員会 59172
- S27.7.9委員長報告・修正案・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)本会議 6572
提案理由
岡野清豪 国務大臣 昭和27年4月25日ただいま本委員会に付託になりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な改正事項の概略を御説明申し上げます。
新憲法の精神に基き地方自治の本旨を実現するため、憲法とともに、地方自治が施行になりましてから、本年でちようど五箇年を迎えることとなりました。この間終戰後の悪條件が山積する中におきまして、地方自治確立の途上には幾多の障害が横たわつていたのでありますが、地方自治関係者の不断の努力と協調とによりまして、これらの障害はなお、今後の努力にまつべきものも少くないとはいえ、次第に解決に向つて参つておりますことは、近く国民待望の独立の日を迎えようとしております際、まことに御同慶にたえないところであります。私は、わが国民主化の基礎を確立し、独立を迎える上に果した地方自治関係者のこの五箇年にわたる努力の功績はきわめて大きいものがあると信じて疑わないものであります。しかしながら、わが国の民主主義は、まだようやくその基礎を確立したばかりであり、地方自治のよつて立つ基盤もいまだはなはだ脆弱であることは、率直にこれを認めざるを得ないところであります。政府は深くこれらの点にかんがみまして、この際地方自治法の一部を改正いたしまして地方公共団体の事務処理の自主性を可及的に保障することにより、地方自治の基盤をいよいよ確実にするとともに、独立後の国民負担を少しでも軽減するため、極力地方公共団体の組織及び運営の簡素化及び能率化に努め、もつて今後の新情勢に対処することとし、さらに地方自治法運用の実情に徴しまして、地方公共団体の組織及び運営を真に合理的ならしめて、地方自治運営の不合理、不経済等に名をかつて、地方自治に対する不信の声が台頭して参りますようなことをできるだけ避けるようにいたしたいと存ずるのであります。これが今回地方自治法の一部を改正する法律案を提案し、御審議をお願いするこことした理由の大要であります。
次に、改正法案の主要な事項につきまして、その概略を御説明申し上げたいと存じます、その第一点は、地方公共団体の自主的な事務処理を保障することにより、地方自治の強化をはかるとともに、その運営の合理化に資しようとした点であります。明治以来地方公共団体に委任される国の事務はおびただしい数に達しており、地方公共団体は、いわゆる委任事務の処理に追われて、その創意とくふうとにより、地方の実情に適合した自治行政を行うことができないという実情にあることは御承知の通りであります。終戰後地方自治の強化のため行政の各分野に目ざましい改革がなされたのでありますが、地方公共団体に対するいわゆる委任事務を整理して、地方公共団体が自主的にその事務を処理することができる範囲を拡大するという点につきましては、ほとんど見るべき改善がなされずして今日に至つたのであります。ここにおいて、地方行政調査委員会議は、さきに地方自治を確立するために行政事務を再配分することを勧告するとともに、機関委任の認められる事務の範囲は、地方自治法等において明記し、将来無制限に増されることのないようにすべきである、と述べ、地方公共団体の事務とされたものについては、その義務的処理を建前とするものは、極力これを限定しなければならない、と勧告したのであります。政府としても、近く地方制度調査会を設け、地方行政調査委員会議の勧告実現の具体的な方法その他地方制度の根本に関する事項について諮問する方針でありますが、その結論が得られますまでの間におきましても、地方公共団体に委任される国の事務は、いよいよ多きを加えて行く実情にありますので、この際地方公共団体及び地方公共団体の執行機関に処理を義務づけている事務並びに地方公共団体に設置を義務づけている行政機関及び職員等を、すべて別表として地方自治法中に掲げることとし、もつて地方公共団体の自主的な事務処理の確保に資するこことしたのであります。もとより今回別表に掲げました事務、行政機関及び職員等は、現在法律または政令によつて地方公共団体に義務づけられているものをすべてそのまま掲げたものでありまして、何らこれに整理の手を加えておりませんためおびただしい数に上つておりますので、ただちに地方公共団体の自主性の保障に役立つとは申せないかもわかりませんが、このような措置により、将来地方公共団体に処理を義務づける事務等を増加しようとする際には常に地方自治法の改正を伴うこととなりますので、その際国会におかれましても、十分各種の行政について地方自治の見地から御検討を願う機会もあることとなりましようし、政府としても地方行政簡素化の折柄、愼重にこれを抑制して参る方針でありますから、地方公共団体が義務的に処理しまたは設置しなければならない事務、行政機関及び職員等を現在以上に法令によつて増加して行くことは、かなり反省されるに至ることを期待しているわけであります。また、地方自治法の別表を一見することによつて、いかに多くの、また、特にその義務づけについて疑問のあるような種類の事務、行政機関及び職員等の処理または設置までが地方公共団体に義務づけられているかが明白となりますので、これを簡素合理化しようとする世論も喚起されまして、将来地方公共団体の事務の処理、行政機関及び職員等の設置について、その自主性を強化するとともに、その事務の配分を合理化する上に役立つであろうと信ずるものであります。一方、地方公共団体の側におきましても、地方自治法を見るだけで地方公共団体として義務的処理を負わされている事務及びその組織を系統的に把握できるごととなり、地方自治の現状に対する住民の認識を高める自治教育上の意義も決して少くないと考えられますし、さらに、地方公共団体の当局者に対しましては、今後ますます必要となつて参ります地方行政の総合的な運営について合理的な計画を立てる際にも、またはこれらの事務について検討する機会を與える上にも役立たしめることができるものと存ずるのであります。
また、地方公共団体または地方公共団体の機関に事務を委任しまたは経費を負担させるには、必ず法律またはこれに基く政令によらなければならないこととし、従来総理府令、法務府令、省令その他の政令以外の命令によつて委任しまたは負担させておりましたものにつきましては、この法律施行後一年以内に法律について必要な改正の措置をとらなければならないこととし、総理府令、法務府令、省令その他の政令以外の命令については法律に基く政令に改めなければならないことといたしまして、地方自治の保障をさらに厚くすることとしたのであります。
さらに、議員定数その他地方公共団体の組織につきましても、今回の改正法案におきましては、地方公共団体の組織及び運営の簡素化に努めつつ、制度としては、地方公共団体の組織及び運営に関しては地方公共団体の自主的に決定し得る建前を基本とすることに改め、その自主性の確保をはかることができるよう配慮を加えた次第であります。
次に、改正の第二点は、地方公共団体の組織及び運営の簡素化及び能率化をはかつた点であります。
地方公共団体の組織及び運営の簡素化及び能率化については、地方行政調査委員会議の勧告の次第もあり、政府は、昨秋以来行政簡素化本部を設けて検討を続けて来たのでありますが、今回は、おおむね、地方行政調査委員会議の勧告を中心とし、これに各方面の意見等をも参酌して、立案をいたしたものであります。
まず、地方公共団体の議会につきましては、第一に議員の定数の法定主義を改めて法律には議員定数決定の場合の基準のみを定めることとし、議員字数は、地方公共団体が條例で自主的に定めることができるようにするとともに、その決定の基準として法律に掲げる定数は、おおむね戰前の定数を参考として定めたのであります。次に、議会制度の合理化をはかる措置として定例会制度を通常会制度に改めることとするとともに、議員より臨時会招集の請求のあつた場合には都道府県にあつては三十日、市町村にあつては、二十日以内に必ずこれを招集しなければならないものとし、さらに議員全員の改選または長の更迭のあつた場合には、必ず臨時会を招集しなければならないものとしたのであります。
地方公共団体の執行機関につきましては、まず、都道府県の局部につきましては、現地必置の局が七、部が六で実際には六乃至十二の局部が設けられておりますのを、人口段階別に最低四部、最高八局部の基準を法定することに改め、都道府県知事は、條例で、局部の数を増減し、局部の名称または所掌事務を変更することができることとしたのであります。
次に、都道府県の副知事及び副出納長並びに市の助役の設置を任意制に改め、選挙管理委員は、都道府県及び五大市にあつては四人、その他の市及び町村にあつては、三人とし、四人の監査委員を置くことができる市は、政令で指定する市に限ることとしたのであります。
また、各種委員会の委員及び監査委員は、非常勤を建前とすることに改め、地方公共団体の長と、委員会との協力関係に関する規定を整備して、委員会の事務局または出先機関等の簡素化に資することとしたのであります。
次に、地方公共団体がその事務を共同処理し、もしくは他の地方公共団体に委託し、または行政機関もしくは職員等を共同設置することによつて、その組織及び運営の簡素化及び能率化をはかることができるようにするため、新たに、地方公共団体の協議会、地方公共団体の機関または職員の共同設置及び地方公共団体の事務の委託に関する手続その他の規定を設けることとしたのであります。
さらに、大都市における行政の簡素かつ能率的な処理をはかるため、区の組織につき所要の改革を行うこととし、特別市の行政区及び都の特別区の区長の公選制を廃止するほか、都については、さらに、特別区の性格、都区の間における事務の配分、都区の関係の調整の方法等に改正を加え、大都市における行政の統一的、かつ能率的な処理をできるだけ確保しようとしたのであります。すなわち、特別区の存する区域におきましては現行制度上は都も特別区もともに市としての事務を分割して処理することとなつており、その間の調整がなかなか困難であり、多くの事務について勢い二重機構、二重行政的な取扱いがなされているのでありますが、今回、これを改め、特別区はその実体に即するように、大都市の内部的部分団体としてその性格に変更を加え、都と特別区の一体的関係を明確にするとともに、特別区の区域内の都民に、身近かな事務は原則として特別区が処理することとし、実質的には、特別区の権能に属する事務を増加することといたしたのであります。しこうしてこれらの事務の合理的能率的処理をはかるためには、都及び特別区間並びに特別区相互間の事務処理の一体化をできるだけ確保することが必要でありますが、同時に特別区の性格にかんがみ、これらの要請とその自治権との間の調和をはかる必要がありますので、区長の公選制度を改めて都知事が特別区の議会の議員の選挙権を有する年齢満二十五年以上の者について特別区の議会の同意を得て選任するものと改めた次第であります。
第三は、地方公共団体の組織及び運営の合理化をはかる点であります。まず、市町村の規模の合理化につきましては、地方行政調査委員会議の勧告もあり、政府も、早くから勧奨しているところでありますが、これまでの実績にかんがみ、都道府県及び国の関係行政機関の協力がなければ、十分効果を上げることができませんので、このたび、都道府県知事に市町村の廃置分合または境界変更の計画を立てこれを関係市町村に勧告する権限を認めることとし、この勧告に基く市町村の廃置分合または境界変更につきましては、国の関係行政機関にこれを促進するため、必要な措置を講ずべき義務を課することとしたのであります。
次に、市町村の境界に関する争論その他地方公共団体相互の問または地方公共団体の機関相互の間における紛争を、なるべく当事者の互譲により円満かつ迅速に解決するため、地方行政調査委員会議の勧告に基いて、自治紛争調停委員を設けることとしたのでありますが、地方行政簡素化の趣旨から、自治紛争調停委員は、常置の制をとらず、事件ごとに任命する臨時の機関とすることといたしました。
最後に、地方公共団体が住民の福祉の増進に寄與するとともに、最少の経費で最大の効果を上げるようにする等、地方公共団体の組織及び運営の合理化をはかり、地方自治の内容をさらに質的にも向上するためには、地方公共団体の自主性をできるだけ尊重しつつ、国または都道府県がその有する技術、知識、経験等をもつてできるだけ協力して参る体制を確立する必要があると認められますので、地方行政調査委員会議の勧告に従い、主務大臣並びに都道府県知事及び都道府県の委員会等に技術的な助言、勧告、情報提供等非権力的な関與を認めることとし、国と地方公共団体との間の合理的な協力関係の確立をはかることとしたのであります。
以上がこの委員会に付託になりました地方自治法の一部を改正する法律案の提案理由及び改正の主要な事項の概要であります。
何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。これをもつて提案理由の説明といたします。
第13回国会衆議院地方行政委員会議録第34号35頁(昭和27年4月25日)〔岡野清豪国務大臣発言・発言番号24〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101301175)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。