在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案
参議院 外務委員会
昭和30年法律第42号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院外務委員会
参議院外務委員会
- S30.5.24趣旨説明・補足説明・質疑外務委員会 5105
- S30.6.14質疑外務委員会 10122
- S30.6.28討論・採決外務委員会 1438
- S30.6.29採決・委員長報告本会議 2977
提案理由
園田直 政府委員(外務政務次官) 昭和30年5月18日ただいま議題となりました日本国とイタリアとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件、日本国とメキシコ合衆国との間の文化協定の批准について承認を求めるの件及び日本国とタイとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件の三件につきまして一括提案理由を御説明いたします。
まず、わが国とイタリアとの間には、戦前昭和十四年三月に署名されました文化的協力に関する協定が存在していましたが、第二次大戦後両国間の文化交流が再び活発になるに従い、現実の状態に即した新たな文化協定を締結する要望が両国政府の間で漸次高まった結果、昭和二十八年一月から東京で具体的交渉を行なって参りましたところ、昨年五月に至って両国政府間で意見の一致を見るに至りました。よって、同年七月三十一日に岡崎前外務大臣と在京イタリア大使との間に、この文化協定の署名調印が行われたのであります。
第二に、メキシコ合衆国については、政府は昨年日仏文化協定及び日伊文化協定の締結交渉の進展とともに、メキシコとの間にも文化協定を締結する話し合いを進めたところ、先方においても同国がアジア諸国のうちで最初に結ぶ文化協定をぜひわが国との間に締結したいとの熱心な態度を示し、昨年九月より両国政府間で具体的折衝を行い、同十月末までに政府間で意見の一致を見るに至りました。よって、十月二十五日、メキシコ市において、当時中南米諸国を訪問旅行中の岡崎前外務大臣と先方の外務大臣との間でこの文化協定の署名調印が取り運ばれました。
第三に、タイとの関係につきましては、わが国とタイとの間には、昭和十七年十月に署名されました文化協定が存在しておりましたが、戦後タイとの文化交流は、仏、伊等と並んで最も活発なものがあり、かねてから新たな文化協定の締結の必要が痛感されていましたので、本年三月両国政府間で具体的交渉を開始しました結果、四月六日に東京において本大臣と来朝中のタイ外務大臣との間でこの協定の署名調印を了した次第であります。
これらの三協定は、いずれもほぼ同様な規定を内容とし、わが国とそれぞれの相手国との間に伝統的に存在しております密接な文化関係を今後も維持すると同時に、いよいよ緊密にすることを目的としております。これらの協定の実施により、相手国との文化交流を通じて両国民間の相互理解に一層深められ、ひいて両国間の政治的及び経済的友好関係の増進に資すべきことを信じて疑いません。また、これらの協定の効力発生により、わが国が戦後締結した文化協定は、昨年五月に署名された日仏文化協定を加えて、四協定となるわけでありますが、これによって日本文化の諸外国に対する紹介の機会が著しく増大されることが期待できることと存じます。
よって、ここに本件三協定の批准について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上本件につき、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
引続いて今議題となりました、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
外務省といたしましては、在外公館の昇格、新設及び廃止につきまして、目下次の方針を持っているのであります。
一、わが国とヴィエトナム、カンボジア、セイロン及びイランの各国との間におきまして、既設の公使館を相互に至急大使館に昇格せしめることにつきましては、本年二月彼我間の合意が成立し、わが公使館を至急大使館に昇格せしめる必要がありましたので、在外公館の種類の変更に関する政令(昭和三十年二月二十一日政令第十七号)をもって右の昇格を実現せしめたのでありますが、今般右の四大使館を法律上正式に大使館にしたいのであります。
二、在ラオス日本国公使館は、法律上は設置されていますが、実際には設置されていないのでありまして、今般先方から大使交換の申し出あり、わが方としても、ヴェトナム及びカンボジアの両国と大使を交換している関係もあり、アジア地域重視の見地からもこの際同公使館を昇格せしめて大使館としたいのであります。
三、最近スイスに各種の国際機関が設置せられ及び種々の国際会議が同国において開催される等、在スイス公使館の使命がますます重大となりつつある状況にかんがみまして、米、英、仏、白、伊、加が大使を置いている現状にならい、既設のわが公使館を昇格せしめて大使館としたいのであります。
四、在アフガニスタン日本国公使館は、法律上は設置されていますが、予算措置が伴なかったため及びかねてから先方が大使派遣を希望してきたものの、隣国イランには公使を派遣していた関係上同国との振り合いもあり、実際上の開設は現在まで見送ってきたのでありますが、今般在イラン公使館の大使館昇格も実現しましたので、この際同公使館を昇格せしめて大使館としたいのであります。
五、イスラエルとの外交関係開始につきましては、先方の熱心な要望にこたえ、昨夏在外公館増置令(昭和二十九年八月二十四日政令第二百四十三号)をもって在イスラエル日本国公使館(在トルコ大使兼轄)を設置したのでありますが、今般同公使館を法律上正式に設置したいのであります。
六、グアテマラ及びニカラグアとの国交回復に伴い、彼我の通商貿易関係の緊密化のためにも、また、国連、各種国際機関等においてわが国に対する支持を獲得するためにも、この際わが公使館(在メキシコ大使兼轄の予定)を新設したいのであります。
七、エチオピアとわが国との戦前からの親善友好関係にかんがみ、また通商貿易の拡大のためにも、この際わが公使館を新設したいのであります。
八、ベルリンの国際政治上における重要性にかんがみまして、わが総領事館を同地に新設したいのであります。
九、カサブランカは、西アフリカにおける重要都市でありますから、同地にわが領事館を新設して西アフリカにおけるわが貿易市場の拡大をはかりたいのであります。
十、在ラングーン日本国大使館は、昨年十二月一日に法律上の設置手続を完了し、同日から大使館としての職務を行なっているので、従来の在ラングーンのわが総領事館は廃止することとしたいのであります。以上でありますが、この方針を実際に実現するためには、法律上の措置を必要とし、これがためには、昭和二十七年法律第八十五号在外公館の名称及び位置を定める法律、昭和二十七年法律第九十三号在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律及び昭和二十九年法律第十一号外務省設置法等の一部を改正する法律、以上三つの法律の一部を改正する必要がありますので、今般右三法律の一部改正をうたった本法律案を今次の第二十二回特別国会に提出する次第であります。
以上が提案理由の説明でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あられんことをお願いいたします。
第22回国会衆議院外務委員会議録第7号5頁(昭和30年5月18日)〔園田直政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
御承知のように現在の日本におきましては、経済の自立を達成するということが最も大きな問題であります。従いまして日本の外交を運営するに当りましても、経済外交に重点を置くべきこともまた論を待たないところでございます。私どもはそういう見地から、日本の在外公館を設置するに当りましても、日本の経済外交をできるだけ活発に行うという見地から、在外公館の設置を考えるべきものと思うのであります。今回の政府の提案によりますと、日本の貿易の対象として最も重要な中近東あるいは中南米、こういう方面に公館が新設あるいは増設せられるわけでありまして、私どもはその点については賛成であります。しかしながら、たとえば公使館を作るような場合には、公使のほかに館員二人あるいは一人というふうなことでありまして、これでは政府の期待しますような経済外交が十分できるとは思われないのであります。やはり公館を置く以上は、その公館が能率的に、しかも十二分に活動ができねばなりません。どうも今の日本の在外公館を見ますと、広く、薄いのであります。館は多いのでありますが、人数が少い。私どもはやはり経済外交を活発にやるためには、重点主義によって、大事なところには相当たくさん人員を置いて、十分な活動ができるようにしなければならぬ。従って在外公館を置く以上は、今のような栄養不良のような公館を直して、もっと十分に働けるように人もふやし、それからまた先ほど大橋委員からお話がありましたような流動資金をふやすというふうに、その在外公館が十二分な活動ができるようにしなければならないと考えておるわけであります。そういうわけで、今回の政府の提案を見ますと、公館は新設されておりますが、そこへ行きます外務省の職員は、先ほど申しましたような館長のほかに一人あるいは二人というわけでありまして、これでは不十分と思います。私どもが外国を歩いて在外公館を見ておりますと、非常に上の人が多くて下が少い、手足が少いのであります。やはり在外公館が十二分な活動をするためには、上級者も必要でありますが、それを補佐する下級の人がもっと必要じゃないか。いろいろ経費の関係もありましょうが、在外公館が十二分な活動をするためには、やはり全体として総合的に職員が充実されるということが必要だと思いますが、今度の政府の提案を見ますと、上の方だけが多くて、それを補佐する職員が少いというふうに思うのであります。そういうわけで、私どもは今回の政府の提案によります在外公館の新設について賛成でありますが、さらに中近東あるいは中南米、そういうふうな日本の新しい貿易の市場におきましては、もっと日本の公館をふやしてもらいたいというふうに考えておるわけであります。それからもう一点政府に希望申し上げたいのは、先ほど大橋委員からも外務省の人事についてお話があったのでありますが、私どもの見るところから申しましても、どうも現在の外務省の人事を見ておりますと、外務省がほんとうに純外交的な立場から考えた人事が、いろいろ政治上の理由によって左右されているような印象を持つのであります。重光大臣はよく、日本は自主独立の外交をしなければならぬとおっしゃるのでありますが、私は日本が自主独立の外交をするためには、まず外務省が外務省の主体性を確立しなければならぬと思うのでありまして、特に外務省の人事について外務省が主体性を持たずに、よその部外の事情によって外務省の人事が左右されるというふうなことであっては、私は日本の自主独立の外交はできないと考えるわけでありまして、どうぞ一つ重光大臣におかれましても、日本は自主独立外交をするという見地から、外交の政策においても、また外交の人事の方においても、日本の外務省の主体性を確立してもらいたい。そこで初めて日本の自主独立の外交ができるのだと私は考えるのであります。そういう点から考えますと、もし私どもの誤解であれば幸いでありますが、どうも今の外務省の人事が部外の事情によって左右されているというふうな印象を受けますので、一つこの点はぜひ是正していただきたいと思うのであります。まず以上のような希望を申し上げまして、先ほど大橋委員から提案されました附帯決議には賛成をするものであります。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102201044)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。