水防法の一部を改正する法律案
参議院 建設委員会
昭和30年法律第61号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
竹山祐太郎 建設大臣 昭和30年6月7日ただいま議題となりました水防法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を説明させていただきます。
本案につきましては、前々から建設委員会の力強い御支援をいただいた経過も持っておりまして、できるだけすみやかにこの水防法の改正をいたすようにという御要求を受けておったわけでありますが、財務当局との折衝等のために若干おくれまして、ようやくこの程度のところで提案をいたすことに相なった次第でありますので、おくれました点をお許していただきたいと思います。
わが国が毎年災害により甚大な被害を受けておりますことは、御承知の通りでありまして、これが対策の一つとして、第五回国会におきまして、水防制度を整備するため水防法が制定されたのでありますが、今回さらに水防活動の強化をはかるため、洪水予報、災害補償、報賞、費用分担、費用の補助等の規定を整備することといたしたのであります。
これが本改正案を提案した理由でありますが、次にその主要な点について御説明申し上げます。
第一点は、洪水予報の規定を整備することであります。現在、利根川、淀川等の重要河川につきましては、建設省及び中央気象台が協力して、水位、流量を示して洪水予報を行なっているのでありますが、この際、これを水防活動の一環として水防法に規定し、建設大臣及び中央気象台が共同の責任において的確かつ迅速な予報を行い、水防態勢の強化に資することといたしたのであります。
第二点は、洪水または高潮により、国民経済上重大な損害を生ずるおそれのある河川、海岸または湖沼については建設大臣が、それ以外の河川、海岸または湖沼で洪水または高潮によって相当な損害を生ずるおそれがあるものについては都道府県知事が、水防活動を行う必要がある旨を警告する水防警報を行うことといたし、水防機関の出動及び準備に指針を与え、水防の一そうの強化、効率化をはかることといたしたのであります。
第三点は、水防団長または水防団員が公務により死傷した場合における損害の補償につきましては、現在制度的に確立しておらず、わずかに扶助という形で水防管理団体の措置にまかせられているのでありますが、これを公務災害補償制度に改めることによって、かかる犠牲者に対する補償を確保し、水防団長または水防団員が後顧の憂いなく水防活動に専念し得るようにいたしたのであります。
なお、一般住民が水防に従事したことにより死傷した場合に対する補償につきましても、これに準じて所要の規定の整備をいたしました。
第四点は、挺進水防に従事することによって著しい功労があった者に対し、建設大臣が報賞を行うことができることとし、その功労に報いる道を開いたことであります。
水防は、もとより自治団体の郷土愛の発露に基く行動ではありますが、その影響するところ、ただに当該自治団体の利益にとどまらず、国の施設を保全し、広く公共の安全を保持する上に至大の貢献をなすものであり、国としても、その功労に報いることは当然のことと存ずる次第であります。
第五点は、水防管理団体の水防によって著しく利益を受ける市町村が、当該水防に要する費用の一部を負担する義務があることを法定いたしたことであります。水防に要する費用は、単に水防を行なった水防管理団体だけが負担すべきものではなく、従って、著しく利益を受ける市町村は、応分の負担をなすべきことを明らかにすることといたし、より広範な規模の水防活動がなされ、かつ近隣市町村の相互協力の精神が発揚されることを期待するものであります。
第六点は、現在予算措置のみでなされている国庫補助を法定することによって、国の水防に対する責任と関心とを明らかにし、水防施設の整備促進をはかることといたしたのであります。
なお、付則におきまして、気象業務法を改正し、建設大臣及び中央気象台が行う洪水予報について、気象業務の制度上の根拠を明確にするとともに、建設省設置法及び北海道開発法を改正し、洪水予報及び水防警報に関する建設省及び北海道開発庁の権限及び所掌事務について所要の規定を整備いたしたのであります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその概要でありますが、どうぞ慎重御審議の上、すみやかに御議決あらんことをお願いいたします。
第22回国会衆議院建設委員会議録第17号5頁(昭和30年6月7日)〔竹山祐太郎建設大臣発言・発言番号29〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102201126)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。