就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律案
参議院 文教委員会
昭和31年法律第40号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
清瀬一郎 文部大臣 昭和31年2月9日今回政府から提出いたしました就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律案につきまして、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
現在小学校への就学率はほほ百パーセントに近い状態にありますが、実際の就学状況を見ますと、学校には在籍しながら、保護者の経済的困難により、就学上必要な教科用図書の購入にたえないため学校に通学できないとか、あるいはまたこれらについてPTA等の私的な援助を受けながら通学しているような児童が少くございません。
もとより国としては、このような困難家庭の児童に対しましては、その貧困度に応じて生活保護法による教育扶助の制度を通じて必要な経費を給与してはおりますが、なおこれによって就学上困難のある児童が残されているという実情でございます。特に教科用図書購入は、特定の時期にまとまった額の費用を要しまする関係から、困窮家庭におきましては相当の負担になっておるのでございます。
そもそも法令は、保護者に対してその保護する児童を小学校に就学させる義務を課しておるのでありますから、以上のように就学困難な事情にある児童に対しましては、義務教育の円滑な実施をはかるため、何らかの救済策を講ずる必要があるのでございます。学校教育法が、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童の保護者に対して、市町村が必要な援助を与えなければならないという規定をしておりますのも、この趣旨にほかならないのでございます。この際国も、市町村が教科用図書またはその購入費を就学困難な児童に給与いたしました場合は、予算の範囲内で、これに要する経費を市町村に補助することといたしたのであります。
もとより、就学困難な子女に対する教科用図書の給与に対する補助は、小学校に限らず、中学校にも及ぼすべきものと考えるのでございますが、さしあたりこれを小学校だけに限定して、国の補助制度を発足せしめるようにいたしたのでございます。
この法律案は以上の趣旨によりまして、国の補助の範囲、基準等について必要な事項を規定し、また付則におきましては、現在施行停止になっております「新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律」を廃止する等、所要の経過規定をいたしております。
以上この法律案を提出いたしました理由及び内容の概略を御説明申し上げました。何とぞ十分御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。
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第24回国会衆議院文教委員会議録第5号1頁(昭和31年2月9日)〔清瀬一郎文部大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
家庭の困窮による就学困難な児童のための教科用図書の給与に対して国が補助を行うことは、教育基本法の精神にかんがみ、極めて適切な措置であるが、昭和三十一年度におけるこれが経費は、僅かに小学校児童総数の約一・七%に対する補助金に相当する額に過ぎない。然るに現在、家庭の困窮による就学困難な準要保護児童及び生徒の数は、小学校及び中学校の児童生徒総数のそれぞれ約四%を占めている。政府は今後、これらの小学校の児童に対してのみならず、就学困難な中学校の生徒の全員をも救済し得るよう、法律的並びに予算的措置を講ずべきは勿論のこと、更に今回廃止となるべき「新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律」の精神に則り、将来適当な措置を講ずるよう努力すべきである。ただいま朗読の通り本法律案に付帯決議を行うことに御異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102401020)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。