税理士法の一部を改正する法律案
参議院 大蔵委員会
昭和31年法律第165号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
- S31.3.23趣旨説明大蔵委員会 22135
- S31.5.10質疑大蔵委員会 3563
- S31.5.22質疑大蔵委員会 3850
- S31.5.25修正案・委員長報告・採決(修正)本会議 5523
- S31.5.25質疑・修正案・修正案趣旨説明・修正案撤回・採決(修正)・附帯決議大蔵委員会 39105
- S31.6.3附帯決議本会議 1
参議院大蔵委員会
- S31.3.27趣旨説明大蔵委員会 13126
- S31.5.28補足説明・衆議院修正部分趣旨説明大蔵委員会 2934
- S31.5.29質疑・採決大蔵委員会 30113
- S31.6.3委員長報告・採決本会議 60191
提案理由
山手滿男 政府委員(大蔵政務次官) 昭和31年3月23日ただいま議題となりました税理士法の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明を申し上げます。
この法律案は、税理士の業務運営の適正化をはかるため、税理士が所得税、法人税等の申告書を作成した場合に、税理士が申告書作成に関して計算し、または整理した事項等を記載をした書類を添付することができる制度を創設するとともに、今後五年間に限り、一定年数以上実務経験を有する計理士、税務職員等について、一般の税理士試験にかえて、特別な税理士試験によって税理士となる資格を与えることとする等のため所要の改正を行おうとするものであります。
以下改正案の内容につきまして簡単に御説明を申し上げます。
まず、税理士が所得税、法人税等の申告書を作成した場合に、その申告書作成に関し、計算し、整理し、または相談に応じた事項を記載をした書面を添付することができることとする制度を創設しようとしているのでございます。税理士が税務書類を作成する場合におきましては、単に納税者の作成した決算書に基いて申告書の作成のみの依頼を受ける場合もあり、また税理士が納税者の帳簿書類の内容に立ち入って課税標準となる金額を計算し、これにより税務書類を作成する場合もあり、その形態はいろいろと異なっておるのでありますが、この際税理士が関与した事項の範囲を明確にしてその責任を明らかにするため、税理士が所得税、法人税等の申告書を作成した場合には、申告書作成に関して計算し、整理し、または相談に応じた事項を記載した書面を申告書に添附することができることとするとともに、その申告書について更正または決定をする場合において、その更正または決定の基因となる事実がその添付書面により税理士が計算し、整理し、または相談に応じたものとされている意見であるときは、税理士に対して意見を述べる機会を与えることとし、これにより税務行政の円滑化に資するとともに、税理工業務の向上をはかることといたしているのであります。
なお、この制度により税理士に意見を述べる機会を与える措置の有無と更正決定の効力との関係につきましては、上述のような趣旨に顧み、更正決定の効力に影響を及ぼさないものと考えられるのでありますが、この際その旨を法文上明らかにすることとしているのであります。
次に、一定年数以上実務経験を有する計理士または税務職員等について、今後五カ年間に限り、一般の税理士試験のほかに特別な税理士試験を行うことにより、税理士となる資格を与えることとしようとしているのであります。現行の税理士法は昭和二十六年七月一日に施行されたものでありまして、同法の施行により、税理士となる資格は原則として試験制度により与えられることとなったのであります。ただ税理士法施行の際において、経過的措置として、同法施行の日から三月間はなお旧税務代理士法による税務代理士の許可の申請をすることができるものとし、これにより実務経験二年以上になる計理士は、その申請によって税務代理士の許可が与えられ、税務代理士は当然に税理士となる資格が与えられたのであります。また税理士法施行の際において、もっぱら十五年以上国税に関する行政事務に従事した者及び二十年以上地方税の賦課に関する事務に従事した者については、税理士試験委員の認定により、税理士となる資格が与えられたのであります。この際、当時においてこれらの税理士となる資格についての条件に該当しなかった計理士または税務職員であっても、すでに相当の年令に達し、実務経験により税理士となる資格があると認められる者について、実務を中心とした特別の税理士試験により税理士となる資格を与えることが適当と考えられますので、今後五年間に限り、特別な税理士試験の制度を設けることとしたのであります。特別な税理士試験を受けることができる者は、このような趣旨及び税理士法施行からすでに五年を経過していること等に顧み、計理士については十年以上実務経験を有する者とし、税務職員については二十年以上で、その従事した行政事務の内容により一定の年数以上の実務経験を有する者とすることとしておるのであります。
以上のほか、税務官公署の職員が税理士の代理している事項について、納税者にその日時場所を通知して調査する場合には、従来青色申告書を提出している場合に限り、税理士に対しても通知していたのでありますが、今回その範囲を拡大し、青色申告書以外の申告書を提出している場合についても通知することとする等、税理士法について所要の規定の整備をはかることといたしておるのであります。
以上この法律案につきまして、提案の理由と内容の概要を申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようにお願いを申し上げます。
第24回国会衆議院大蔵委員会議録第22号2頁(昭和31年3月23日)〔山手滿男政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
一税理士法施行の際、計理士及び税務職員に対して優遇措置がとられた経緯にかんがみ、特別試験の合格者を定めるに当っては、経験年数の参酌を重視せられるとともに過去の業績をも参考とせられたい。
二計理士が、その関与し、若しくは作成した企業の財務書類又は記帳し、若しくは整理した帳簿書類に基き当該企業が所得税又は法人税の申告書を作成した場合においては、当該計理士は、税務官公署の職員に対し、その関与し、若しくは作成した財務書類又は記帳し、若しくは整理した帳簿書類に関し、その質問に応え、又はその書類につき説明する限りにおいては税理士法に抵触するものでないとする現行の取扱については、今回の改正に伴い変更を生ぜざるよう政府において特に配慮せられたい。
三税理士会への強制加入制度は、税理士の品位並びに社会的地位の向上を図ることによって、納税者の権利を擁護し、税務行政の適正化を期待するのを本旨とするものであることにかんがみ、その運営が中正かつ民主的に行われるよう、政府並びに税理士会において格段の措置を講ぜられたい。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102401143)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。