公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律案
衆議院 建設委員会
昭和36年法律第109号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院建設委員会
- S36.2.23趣旨説明建設委員会 868
- S36.3.2逐条説明建設委員会 10148
- S36.3.9質疑建設委員会 1179
- S36.4.4質疑建設委員会 17115
- S36.4.6質疑建設委員会 1884
- S36.4.11参考資料説明・質疑建設委員会 1961
- S36.4.13質疑建設委員会 20195
- S36.4.18質疑・討論・附帯決議・採決建設委員会 21232
- S36.4.21附帯決議・委員長報告・採決本会議 2236
提案理由
中村梅吉 建設大臣・首都圏整備委員会委員長 昭和36年2月23日ただいま議題になりました公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
最近の市街地における自動車交通量の激増その他都市における人口、産業の集中等に伴いまして、街路等の都市公共施設の機能は著しく低下し、ために都市の健全な発展が阻害される傾向にありますことは、御承知の通りでありますが、これを打開して都市の健全な機能を維持増進するためには、都市計画に基づきまして、道路、広場その他の都市公共施設の整備を行なうことが緊急に必要とされているのであります。
このため政府といたしましては、都市における街路その他の都市公共施設の整備を鋭意推進いたして参ったのでありますが、遺憾ながら、これら街路等の都市公共施設の用地の取得は、関係権利者の生活再建の問題等にもからみ困難をきわめ、これが大きな隘路となっている現状であります。さらに一方、我が国におきましては、人口、産業の都市集中が顕著であるにもかかわらず、市街地における土地の合理的利用が十分に行なわれず、これがため無秩序な都市の膨張を助長し、その弊害は、都市計画上の各面にわたって顕著に現われつつある状況でありまして、これらの弊害を除去するための一つの方策として、旧来の市街地における建築物の高層化、不燃化を行ない。これらの地域における土地の合理的利用とあわせて都市不燃化をはかることが強く要請されておるところであります。
政府といたしましては、かかる現状を打開し、近代的都市としての健全な市街地を形成するために、種々その対策を研究して参ったのでありますが、公共施設の整備とこれに関連する市街地の改造とをあわせて施行する方策を樹立し、これが立法化を進め、ただいま議題になりました公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律案として提案する運びとなったものであります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。
まず第一に、この法律案の目的でありますが、この法律において市街地改造事業とは、街路等の公共施設の整備と公共施設の用に供せられる土地及びその附近地における建築物及び建築敷地の整備とに関する事業を内容とするものでありまして、その目的とするところは、市街地の改造を行なうことにより、街路等の公共施設の整備に必要な用地の合理的確保とあわせて、これら市街地における宅地の高度利用を都市計画として実現しようとするものであります。
第二に、市街地改造事業を施行すべき地区選定の要件といたしましては、まずその地区において公共施設の整備について都市計画が決定されており、かつ、都市計画上、高度地区または防火もしくは準防火地域が指定されており、土地の高度利用、不燃化が要請されている地区であることを必要といたしますが、さらにこれらの地区内に木造低層の建築物が密集しており、かつ、土地区画整理事業のみでは、土地の合理的利用の増進をはかることが困難である地区であること等が条件となっております。
第三に、市街地の改造に関する都市計画の内容の基準といたしましては、公共施設の整備に関しましては、既存の都市計画の内容に従い、建築物の整備に関しましては、公共施設の整備によって生ずる空間の有効利用と建築物の隣棟間隔を確保した健全な高度利用形態となり、建築敷地の整備に関しましては、建築物の健全な高度利用形態と適合した街区が形成されることが要件とされております。
第四に、市街地改造事業は、都市計画事業として施行することとし、その施行者は、公共施設の管理者となる建設大臣、都道府県知事、市町村長または地方公共団体としております。
第五に、市街地改造事業は、いわば市街地の体質改善をそのねらいとしておりますが、本事業によって施行者が整備した建築物及びその敷地は、地区内の関係権利者にこれを優先譲渡いたす等の制度を設けておりまして、その方法は、市街地改造事業の施行地区内に、土地、借地権または建築物を所有している者のうち新たに整備される建築物等を譲り受けることを希望する者に、その者が所有しておりました土地、借地権または建築物の補償金にかえまして新たな建築物等を譲り渡すこととし、従前の借家人には、その希望に基づきまして新たな建築物について賃借権を与えることといたしております。
第六は、希望者に新たな建築物等を譲り渡し、または、賃貸しする管理処分計画についてでありますが、この管理処分計画は、建設大臣の認可を受けて定めることといたしております。また、管理処分計画の作成の基準は、災害を防止し、衛生を向上し、その他居住条件を改善するとともに、建築物等の合理的利用をはかることを基本原則とし、関係者の従前の権利関係その他利用状況を勘案いたしまして不均衡のないよう定めることといたしております。なお、この管理処分計画の作成にあたりましては、あらかじめ、関係権利者の縦覧に供し、関係権利者が意見書を提出できることとし、管理処分計画全般について審査委員の同意を得ることを条件とすることといたしております。
また、新たな建築物等の給付に伴い、従前の土地、借地権または建築物について抵当権等の担保物権を有する者の権利との調整をはかるための規定を整備し、その他関係権利者の権利を保護するための調整の規定を設けております。
第七に、この市街地改造事業に要する費用につきましては、そのうち、街路等の公共施設、建築物その他の施設の整備に要する費用につきまして、他の法令にその費用の一部を国等が負担または補助することについての特別の規定があるときは、それらの規定によることといたしております。
最後に、この市街地改造事業によって整備される建築物等を譲り受ける者に対する税法上の特典を定め、関係者の利益をはかるための規定を整備いたしており、また、首都高速道路公団が、委託に基づきまして、市街地改造事業を施行することができることとし、首都高速道路の円滑な建設が促進されるよう規定を整備いたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
第38回国会参議院建設委員会会議録第8号1頁(昭和36年2月23日)〔中村梅吉建設大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当って次の各項について十分な配慮をなすべきである。(一) 管理処分計画において、関係権利者相互間に不均衡を生じないようにし、権利者の保護に努めること。(二) 零細な居住者で、新建築施設について権利を取得することのできない者の救済に関して、特段の措置を講ずること。(三) 施設建築物の共用部分の維持管理に関して、紛争を生じないよう十分に指導すること。(四) 事業施行区域内の住民に対しては、本法の趣旨の周知徹底を図るよう努めること。右決議する
政府は、本法施行に当って、次の各項について十分な配慮をなすべきである。(一) 管理処分計画において、関係権利者相互間に不均衡を生じないようにし、権利者の保護に努めること。(二) 零細な居住者で、新建築施設について権利を取得することのできない者の救済に関して、特段の措置を講ずること。(三) 施設建築物の共用部分の維持管理に関して、紛争を生じないよう十分に指導すること。(四) 事業施行区域内の住民に対しては、本法の趣旨の周知徹底を図るよう努めること。右決議する。
本法の施行に当り政府及び事業施行者は事業施行区域内の居住者の権利と福祉を損傷しないよう万全の措置を講ずると共に、特に左の点に留意し、所期の目的達成に遺憾なきを期すべきである。1 本法の対象地区は概ね商業地域なる点にかんがみ、事業施行区域内で営業している者に対する権利の保護と営業の補償に万全を期し、地域の特殊性について充全の配慮をなし、特に狭小なる面積でもって営業している者に対する権利の救済に特段の措置を講ずること。2 審査委員の選任にあたっては、施行者は、事業施行区域内の関係権利者の意志を尊重し、公正を期すること。3 将来積極的な財政措置を講じて、早急に市街地の再開発を行なうよう、最大の努力を払うこと。右決議する。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103801059)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。