義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律案
参議院 文教委員会
昭和37年法律第60号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院文教委員会
提案理由
荒木萬壽夫 文部大臣 昭和37年2月23日このたび政府から提出いたしました義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げます。
この法律案は、第一条で、義務教育諸学校において使用される教科用図書を無償とする方針を確立し、その措置に関して必要な事項は別途立法措置を講ずることとしているのであります。
教育の目標は、わが国土と民族と文化に対する愛情をつちかい、高い人格と識見を身につけて、国際的にも信頼と敬愛を受けるような国民を育成することにあると思います。世の親に共通する願いも、意識するといなとにかかわらず、このような教育を通じて、わが子が健全に成長し、祖国の繁栄と人類の福祉に貢献してくれるようになることにあると思うのであります。この親の願いにこたえる最も身近な問題の一つとして取り上げるところに、義務教育諸学校の教科書を無償とする意義があると信じます。
しかして、義務教育諸学校の教科書は、学校教育法の定めるところにより、主要な教材としてその使用を義務づけられているものであります。感じやすい学童の心に最も影響のあるこの教科書について、かつて各方面からいろいろの批判を受けましたことは御承知の通りでありますが、最近、新しい学習指導要領が作られるに及び、日本人としての自覚を持たせるに足る教科書が刊行されるようになりました。
このように教科書は改善されつつありますが、政府は、昭和二十六年以降、小学校一年に入学した児童に対し、あるいは義務教育無償の理想の実現への一つの試みとして、あるいはまた、国民としての自覚を深め、その前途を祝う目的をもって、一部の教科書を無償給与したことがございますが、間もなく廃止されたことは御承知の通りであります。今日では要保護、準要保護児童生徒合わせて百二十万人に対し、無償交付が行なわれております。そこで、このたび政府は、義務教育諸学校の教科書は無償とするとの方針を確立し、これを宣明することによって、日本国憲法第二十六条に掲げる義務教育無償の理想に向かって具体的に一歩を進めようとするものであります。このことは、同時に父兄負担の軽減として最も普遍的な効果を持ち、しかも、児童、生徒が将来の日本をになう国民的自覚を深めることにも大いに役立つものであると信じます。またこのことは、わが国の教育史上画期的なものであって、まさに後世に誇り得る教育施策の一つであると断言してはばかりません。(拍手)
しかしながら、義務教育諸学校の教科書を無償とする措置を行なうには、その実施の方法、手続、発行、供給のあり方等について、十分検討を加える必要があると考えられます。
政府は、とりあえず、明年四月小学校第一学年に入学する児童に対しての経費を、ただいま審議を願っておる三十七年度予算に計上いたしましたが、この実施の方法を含めて、調査審議を行なうため、文部大臣の諮問機関として、臨時義務教育教科用図書無償制度調査会を設置することとしたのであります。
無償の実施に必要な事項は、調査審議の結果を待って、別途立法措置を講ずることになります。調査会の存続期間は一カ年、委員は二十人以内とし、学識経験者及び関係行政機関のうちから、文部大臣がこれを任命することといたしました。諮問事項のうち、特に、昭和三十七年度の予算の執行及び昭和三十八年度の予算の作成に関係ある事項については、調査審議の結果を、おそくとも昭和三十七年十一月三十日までには答申いただくこととし、所要の立法措置及び次年度以降の準備に資することができるよう配慮しているのであります。
なお、この法律の施行期日は、本年四月一日からとし、また昭和三十七年度の予算の執行にかかる措置を実施するため必要な事項は、別途政令で定めることができることとして、万全の措置を講じました。
政府は、この法律案をわが国文教政策上の全国民的な重要課題として、御審議を願わんとしているのであります。
以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。(拍手)
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第40回国会衆議院会議録第15号4頁(昭和37年2月23日)〔荒木萬壽夫文部大臣発言・発言番号19〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104001102)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。