新住宅市街地開発法案
衆議院 建設委員会
昭和38年法律第134号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
河野一郎 建設大臣・首都圏整備委員会委員長 昭和38年5月17日ただいま議題になりました新住宅市街地開発法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
すでに御承知のとおり、近時都市における住宅川地の需要はきわめて著しく、これに対処するため、政府といたしましては、日本住宅公団及び地方公共団体等による宅地造成事業の促進をはかり、宅地の大量供給につとめてきたわけでありますが、遺憾ながら、現在の旺盛な宅地需要を満たすに至らず、需給関係はいよいよ悪化する現状にあります。
このような最近の住宅川地の入手難と、これがもたらす社会的影響の重大さを考え合わせますとき、この際、新たな見地から、住宅用地の確保について抜本的な対策を講ずる必要が痛感されるのであります。
もとより、これは宅地制度全般に関連する問題であり、また、私権の保護との調整を要するものでありますが、政府といたしましては、慎重にこれらの問題点について検討を重ねました結果、まず最も緊急と考えられる住宅地開発の事業について、一定の条件のもとに先買い制度及び収用制度を認めることにより、その施行の円滑化をはかることとし、ここに新住宅市街地開発法案として提出することといたした次第であります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。
まず第一に、人口の集中の著しい市街地の周辺の一定の区域について新住宅市街地開発事業を施行すべきことを都市計画として決定、これを都市計画事業として実施することができるものとし、原則として地方公共団体及び日本住宅公団がこれを施行することといたしております。
第二に、この事業における用地取得の円滑な遂行をはかるため、次の措置を講ずることといたしております。
その一として、土地建物等の先買い制度を設けました。すなわち、この事業の施行区域内の土地建物等の所有者は、これらを有償で譲渡しようとするときは、あらかじめ、施行者に届け出なければならないものとし、施行者は届け出があった日から三十日以内にその所有者に通知をすることにより、他に優先して買い受けることができることといたしました。
その二として、施行者は、必要がある場合には、区域内の土地またはその上にある権利を収用することができることといたしました。
その三として、農地転用の特例を設けました。すなわち、この事業の施行区域内に農地等が含まれるときは、あらかじめ、建設大臣は農林大臣に協議するものとし、協議がととのった区域内の農地等を施行者が事業の用に供するときは、その転用等について農地法による許可を受けることを要しないことといたしました。
第三に、この事業により造成される宅地は、原則として公募により、公正な方法で処分するものとし、自己の居住していた宅地を事業用地として提供した者等に対しては特に優先譲渡の措置を講ずることといたしております。
第四に、この事業により造成される宅地の処分後の適正な利用の確保をはかるとともに、転売等による不当な利益の収受を抑制するため、譲り受け人に二年以内に所定の建築物を建築すべき義務を課するとともに、十年間他に転売する等の行為は都道府県知事の承認を受けなければならないこととし、これに違反した場合には買い戻すことができるものとする等、これらの規制の実効を確保するため所要の規定を整備いたしております。
以上かこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
第43回国会衆議院建設委員会議録第15号8頁(昭和38年5月17日)〔河野一郎建設大臣発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104301153)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。