農業改良資金助成法の一部を改正する法律案
衆議院 農林水産委員会
昭和39年法律第68号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
提案理由
丹羽雅次郎 政府委員(農林事務官(農地局長)) 昭和39年2月25日ただいま議題となりました農業改良資金助成法の一部を改正する法律案の提案の理由と主要な内容を御説明申し上げます。
農業改良資金制度は、昭和三十一年に創設されたものでありまして、国の助成により都道府県に置かれる特別会計の資金をもって農業者に無利子の貸し付けを行なう制度であり、従来、新しい農業技術の導入に必要な資金を貸し付け、農業経営の改善に多大の寄与をなしてきたのであります。
しかしながら、最近の農業をめぐる諸般の情勢にかんがみ、農業経営を技術面において改善するだけでなく、これとあわせて、広く農家生活の改善を促進し、農業者が健康で文化的な生活を営むことができるようにするための施策や農業経営の次代をになうべき優秀な農村青少年の育成確保をはかるための施策を強力に推進する必要が痛感されるに至っております。
すなわち、農家生活の改善につきましては、従来から生活改良普及員の普及活動等を通じて推進をはかってきたところでありますが、古い慣習に根ざした農家の生活内容、生活方式には、まだまだ改善の余地が大きく、改善意欲のある農家に対しても資金的裏づけが十分でない等の事情によって、依然として改善効果が十分にあがっているとはいえないような実情にあります。
また、農業後継者の育成確保につきましては、従来から各種研修教育施設の整備拡充、青少年活動の促進等の施策を講じてきたところでありますが、農村青少年の他産業への流出の原因は、単に他産業との所得格差や農村の生活環境のみに基因するものではなく、農業後継者たる青少年が、家族農業経営の中において、その意欲と能力を十分に伸ばす機会に恵まれていないことにも大きな原因があると思われるのであります。
以上のような観点から、農業改良資金制度を大幅に改正し、無利子の貸し付け金として、農家生活改善資金及び農業後継者育成資金を加えることとした次第であります。
これにより、農業改良資金の貸し付け対象となる農家生活改善資金とは、農家生活の改善を促進するための合理的な生活方式を導入するのに必要な資金であり、農業後継者育成資金とは、農業後継者たる農村青少年がみずから特定の農業部門の経営を行なう等の方法により、近代的な農業経営担当者として必要な農業の技術または経営方法を実地に習得するのに必要な資金であり、それぞれの具体的内容は政令をもって定めることとしております。
また、償還期間の最高は、従来三年でありましたが、新たな資金の種類の追加と技術導入資金にかかる技術の高度化の傾向にかんがみまして、これを最高五年に引き上げることといたしております。
以上のほか、農家生活改善資金と農業後継者育成資金について、その他の貸し付け条件、貸し付け要件等を定めております。
以上がこの法律案の提案の理由と主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
土地改良法は、土地改良事業の実施のための基本的な法律として昭和二十四年に制定されまして以来、数次の改正を経て今日に至っておりますが、この間、本法に基づきまして各種の土地改良事業が施行され、農業生産力の増進とわが国経済の発展に寄与してまいったのであります。
ところで、最近における農業とこれをめぐる社会経済的諸条件とには著しい変化が生じてきております。このような事態に対応して農業の発展と農業従事者の所得の向上をはかってまいりますためには、農業基本法に掲げられております諸施策を総合的かつ効率的に進めてまいらなければならないと考えられますが、特にこれらの施策のうち、農業生産の基盤の整備及び開発に関する事業につきましても、その一そうの適切かつ合理的な実施をはかり得るよう改善の措置を講ずることが必要であると思われます。したがいまして、この際、事業実施の状況に照らし、また、農業基本法の指向する新たな観点に立って土地改良制度の全般についてその改善合理化のための法制的措置を講ずる必要があると考えるのであります。このような趣旨から、政府は、さきの第四十三回国会及び第四十四回国会に土地改良法の一部を改正する法律案を提出したのでありますが、ともに審議未了となりましたので、今回趣旨及び内容を同じくする法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の主要な内容につきまして御説明いたします。
第一は、目的の規定を改正し、土地改良法の目的は、農業基本法に掲げられております政策目標の達成に資することにある旨を明定したことであります。
第二は、土地改良事業の拡充及び整備をはかったことであります。
まず、新たに草地の改良、開発、保全及び集団化に関する事業を土地改良事業に加えて、土地改良事業を農地及び草地を含んだ農川地を対象とする事業に拡大するとともに、従来の開田、開畑事業を農用地造成事業とし、この農川地造成事業の円滑な施行に資するため、未墾地の権利関係の調整のための関係権利者の協議及び都道府県知事のあっせんまたは調停に関する規定を整備いたしております。
次に、圃場条件の整備のために必要な事業を一体的に実施できるようにするため区画整理事業の範囲を拡充するとともに、これとあわせて農用地の集団化を促進するため換地計画の樹立方式及び換地処分の実施方法につきましても改善をはかることといたしております。
第三は、土地改良長期計画の制度を設けたことであります。土地改良事業は、その事業の性格から長期的見通しに基づいて行なわれることが必要であると考えられるのでありますが、特に農業生産の選択的拡大、農業の生産性の向上及び農業総生産の増大の見通し並びに農業経営の規模の拡大等農業構造の改善の方向に即して土地改良事業を計画的に実施するため、新たに土地改良長期計画の作成、改定及び実施に関し必要な規定を設けたのであります。
第四は、土地改良事業の施行方法及び費用の賦課徴収の方法に関する規定の整備であります。
まず、土地改良事業の総合的かつ効率的な実施をはかるため、二以上の土地改良事業をあわせて施行する場合における手続を整備いたしますとともに、国または都道府県が農民からの申請によらずみずから計画を定めて行なう土地改良事業の範囲を拡大し、国または都道府県の行なう土地改良事業計画の樹立の際における関係都道府県知事または関係市町村長との協議制度を採用する等、事業の円滑な実施に資するよう所要の規定の整備を行なうことといたしております。
次に、事業費の賦課徴収の方法につきましては、国営、都道府県営土地改良事業にかかる負担金は、都道府県が受益者またはこれにかえて土地改良区から徴収する従来の方式のほか、関係市町村から徴収し得る道を開いたのであります。
第五は、土地改良施設の維持管理に関する規定の整備であります。土地改良区等がかんがい排水施設等重要な土地改良施設の管理を行なう場合には、管理規程を定めることとするとともに、国営、都道府県営土地改良事業につきまして事業計画の樹立の際あらかじめ土地改良施設の管理者及び管理方法に関する基本的事項を定めることとして、事業完了後の土地改良施設の管理の適正化を期することといたしております。
第六は、土地改良区の管理及び組織に関する規定の整備であります。現在土地改良区は約一万三千の多きを数えておりますが、そのうちには、その存立の基礎が必ずしも十分ではない、いわゆる弱小土地改良区と称せられるものも散見されるのであります。そこで今後におきましては、一つの土地改良区で関連性の深い二以上の土地改良事業をあわせて施行することができることとするほか、土地改良区の設立の規制、役員の責任の強化、合併に関する規定の整備等所要の改正を行なうことといたしております。
以上のほか、国営、都道府県営土地改良事業にかかる換地処分に関する規定の新設、特定土地改良工事特別会計により国が行なう事業の拡充、国営干拓事業によって生じた、干拓地等の転用の場合における特別徴収金の徴収に関する規定の新設、土地改良財産の譲与に関する規定の整備、市町村及び農業協同組合等の行なう土地改良事業に関する規定の整備等所要の改正を行なうことといたしております。
以上がこの法律案を提案する理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
第46回国会衆議院農林水産委員会議録第11号34頁(昭和39年2月25日)〔丹羽雅次郎政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
案文を朗読いたします。農業改良資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、農山漁村の生活の近代化を促進するため、特に農山漁家に対する住宅資金については、住宅金融公庫の農山漁家向け貸付枠をさらに拡大するとともに、農家生活改善資金において住宅改良資金の貸付対象、貸付枠等を一層拡充する等積極的綜合的施策を講ずべきである。右決議する。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104601083)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。