中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
参議院 商工委員会
昭和40年法律第53号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
櫻内義雄 通商産業大臣 昭和40年2月23日ただいま提案になりました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
中小企業者に対する金融の円滑化をはかるため、政府といたしましては、政府関係金融機関等を通じて中小企業者向けの資金量の確保につとめる一方、中小企業信用保険公庫が行なう保険業務及び全国各地の信用保証協会が行なう保証業務を通じて中小企業者の信用補完を促進してきている次第であります。
しかしながら、中小企業者の中でもとりわけ小企業者につきましては、物的担保も乏しく、保証人を得ることも容易でないため、信用保証協会の保証を受けることが困難な状況にあることにかんがみまして、これらの小企業者について担保の提供及び保証人の保証を要しない保証を推進することによって、小企業者の信用補完に遺憾なきを期するため、中小企業信用保険制度に所要の改正を加える必要があるものと考えられるのであります。このような趣旨に基づきまして、今回、中小企業信用保険法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
第一は、小企業者を対象とする特別小口保険制度を創設するとともに、従来の小口保険を第一種保険に統合することであります。特別小口保険制度は、信用保証協会が行なう小企業者であつて一定の要件を備えているものについての無担保、無保証人による保証についての保険であり、小企業者一人についての保険限度は三十万円、事故発生の場合のてん補率は百分の八十であります。
第二は、小企業者の定義を改正して小規模の企業組合を追加することであります。
以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
わが国の産業構造を高度化し、産業の国際競争力を強化して国民経済の均衡ある成長発展を達成する上において、中小企業の経営の安定と近代化をはかることがきわめて重要であることは申すまでもないところでありますが、このためには中小企業の自己資本を充実して適正な資本構成の維持につとめることが何よりも要請されるところであります。しかし現状では、中小企業が自己資本の充実に必要な増資を行なうことはかなり困難な状況にあることにかんがみまして、政府といたしましては、昭和三十八年十一月、東京、名古屋、大阪に中小企業投資育成株式会社を設立して中小企業に対する投資等の事業を行なわせている次第であります。しかしながら、中小企業投資育成株式会社の発足後一年余の活動状況を見まするに、本会社設立の目的を充分達成するところまで至っていないと思われます。これにつきましては、最近の経済情勢が中小企業の増資を抑制する方向に働いた影響も大きかったと思われますが、さらに木会社制度上の制約が原因しているものと見られますので、これに所要の改善を加えてその機能を強化する必要があると考えるのであります。このような趣旨に基づきまして、今回、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
第一は、中小企業投資育成株式会社の営む事業に、転換社債の引き受け及び保有を追加することであります。木会社の投資実行の補助手段として転換社債を導入することによりまして、中小企業のうち、その経営状態または将来性の判断から株式投資の対象となり得る一歩手前にあるもの、特に資本金規模の比較的小さい企業に対する投資を活発化しようとするものであります。
第二は、投資先企業の自己資本の充実を促進するため特に必要がある場合には、必要な限度におきまして、その企業の増資後の資本の額が一億円をこえるときも、本会社が増資新株の再引き受けができるようにすることであります。これによりまして、投資先企業の株式の公開を円滑化し、その自己資本の充実を促進しようとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
第48回国会衆議院商工委員会議録第7号3頁(昭和40年2月23日)〔櫻内義雄通商産業大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、案文を朗読いたします。中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、本法施行に当り、次の諸点につき必要な措置を講ずべきである。
一特別小口保険の小企業者一人についての保険価額の限度額を五十万円程度に引上げるよう努めること。
二特別小口保険の対象となる小企業者の具備すべき要件を定めるにあたつては、所得税(法人の場合は法人税)及び事業税の納税に関する要件を厳格に過ぎないようにするとともに、こんごこれら諸税の免税点以下の所得者及び居住要件についても適切な配慮をするよう努めること。以上が案文でございます。理由を申し上げます。現行の小口保険は、一企業者の保険価額の限度額を三十万円とし、小企業者を対象としておるのでありますが、これらの対象となります小企業者につきましては、物的担保も乏しく、また保証人を得ることも容易でないため、信用保証協会の保証を受けることが困難な状況にあることは御承知のとおりであります。このような実情にかんがみ、今回の法律改正が行なわれ、無担保、無保証によります特別小口保険制度が創設されますと、物的担保に乏しく、また保証人を得られない状態の小企業者が、この制度によって金融がより一そう円滑になるわけであります。しかし、小企業者が特別小口保険の対象となり得る具備すべき要件につきましては、省令の定めるところによることとなっておるので、省令の要件を定めるにあたっては、小企業者の金融円滑化に支障とならないよう定むべきであるとの趣旨に基づきまして本決議案を提出した次第であります。決議案を事項別に具体的に申し上げますと、第一は、特別小口保険の一人当たり保険価額の限度額を引き上げることであります。改正案によりますと、三十万円を保険価額の限度額としておりますが、今日の小企業者の資金需要、かつ小企業者の設備資金の所要額等の実情を勘案し、少なくとも五十万円程度に引き上げるようつとめるべきであります。第二は、小企業者の具備すべき要件についてであります。特別小口保険の対象となる小企業者の具備すべき要件を省令で定めるにあたっては、所得税(法人の場合は法人税)及び事業税の納税完納証明書を過去三カ年間と定められますと、三カ年間があまりにきびしくなり、かえって小企業者の金融を阻害する結果ともなりかねないので、年限については一カ年と定めることが適当だと考えるのであります。また、小企業者の中には、経営内容はよいのでありますが、所得税等について税制上減税措置の施行に伴い、減税措置によって納税をしない者も多数いることになるわけでありますから、これらの小企業者には本制度を利用することができなくなる結果、この小企業者の信用補完の本制度の本旨に反することともなるので、今後この制度の推移に照らして、このような小企業者に対し、住民税の納税にて本制度の対象となり得るようつとめるべきであります。また、同一市町村に三カ年の居住要件につきましても小企業者の実情にかんがみ、年限を短縮するよう運用に弾力性を持った適切な配慮をすべきであります。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104801090)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。