雇用対策法案
参議院 社会労働委員会
昭和41年法律第132号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S41.4.22趣旨説明・質疑本会議 4426
- S41.4.27趣旨説明社会労働委員会 28183
- S41.5.10質疑社会労働委員会 32152
- S41.5.24質疑社会労働委員会 36101
- S41.5.31質疑社会労働委員会 40119
- S41.6.7質疑社会労働委員会 43175
- S41.6.21委員長報告・修正案・採決(修正)本会議 6647
- S41.6.21質疑・修正案・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)社会労働委員会 4889
参議院社会労働委員会
- S41.6.23趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明・質疑・議案(衆議院修正部分)社会労働委員会 22124
- S41.6.27委員長報告・採決本会議 35111
- S41.6.27附帯決議本会議 1
- S41.6.27質疑・附帯決議・採決社会労働委員会 24174
提案理由
小平久雄 労働大臣 昭和41年4月22日雇用対策法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
近年わが国の雇用失業情勢は、ときには停滞の時期もありましたが、全体としては、雇用の大幅な増加、失業の減少等かなりの改善が見られたところであります。
今後の情勢を概観いたしますと、本春を頂点として新規学校卒業者を中心とする若年労働力の急激な減少及びその学歴構成の変化、平均寿命の伸長による人口構成の高齢化の傾向に加え、技術革新の進展、生産工程の変化等に伴って、技能労働者等生産部門に従事する労働者の不足が一そう激化することとなる反面、中高年齢者等の再就職問題などが懸念されるところであります。したがいまして、このままでは、わが国経済の基調が人手不足へ移行する過程において、年齢、職種、産業等によって、労働力需給の不均衡が顕著になり、その結果、労働者が安定した職場でその能力を有効に発揮できるようにし、これを通じてその経済的社会的地位の向上をはかることに対して大きな障害となるものと考えられます。
このような事態に対処するため、今後の産業及び労働面における構造的変化等に伴う雇用に関する政策について昭和三十九年二月内閣総理大臣から雇用審議会に諮問したところ、同審議会におきまして二年近くにわたり慎重な審議が行なわれ、昨年末これに関しての答申をいただきました。労働省におきましても、かねてから今後の情勢に即応する雇用対策の方向について検討を加えてきていたところでありますが、この答申の趣旨を十分に体し、そこに述べられております「すべての労働者の能力が十分に発揮されて、経済の発展と労働者の福祉の向上を実現していくために」「職業能力、職種を中心とする近代的労働市場の形成」「労働力の適応性と流動性の向上」「技術者、技能者の養成と職業指導の充実」等必要な施策を総合的に展開することを内容とする雇用対策の大綱を取りまとめたのであります。
この大綱は、何ぶんにも、雇用対策に関する重要事項でありますので、重ねて雇用審議会にはかり、その御意見を全面的に取り入れて、成案を固め、ここに雇用対策法案として提案した次第であります。
次に、その内容の概略を御説明申し上げます。
第一に、この法律は、国が雇用に関しその政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働力の需給が質量両面にわたり均衡することを促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上をはかるとともに、国民経済の均衡ある発展と完全雇用の達成とに資することを目的とするものであります。なお、当然のことではありますが、この法律の運用にあたっては、労働者の職業選択の自由及び事業主の雇用の管理についての自主性を尊重しなければならないこととしているのであります。また、国はこの目的を達成するため、職業指導及び職業紹介の事業、技能に関する訓練及び検定の事業、労働者の福祉の増進に必要な施設、労働者の職業の転換、地域間の移動、職場への適応等を援助するために必要な措置、雇用形態の改善等を促進するために必要な施策その他労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な施策を充実すること、及びこれらの施策を総合的に講じなければならないこととしております。
さらに、これらの施策及びその関連施策を講ずるに際しましては、国民経済の健全な発展、それに即応する企業経営基盤の改善、国土の均衡ある開発等の諸施策と相まって、雇用機会の着実な増大及び地域間における就業機会の不均衡の是正をはかるとともに、労働者がその能力を有効に発揮することの妨げとなっている雇用慣行の是正を期するように配慮しなければならないことを明示しているのであります。
第二に、国は雇用対策基本計画を策定しなければならないこととし、その中で、雇用の動向を明らかにするとともに、さきに申し述べました労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な施策の基本となるべき事項を定めることとしておりますが、この場合に、職種、技能の程度その他労働力の質的側面を十分考慮しなければならず、かつ、特定の職種、中小規模の事業等に関して特別の配慮を加えることができることとしております。
また、その策定にあたっては、労働大臣が、広く関係行政機関の長と緊密な連携を保って案を作成し、雇用審議会の意見を聞き、かつ、都道府県知事の意見を求めた上閣議で決定しなければならないこととし、さらに、計画の策定または実施に関し、労働大臣が関係行政機関の長に対して、所要の要請をすることができることとして、必要な施策の総合的な実施及びその実効性を確保することといたしております。
第三に、労働者がその能力に適合する職業につくことができるようにし、また、企業がその必要とする人材の確保ができるようにするため、雇用に関する諸情報の提供とこれに基づく指導援助を充実することといたしております。このため、労働大臣は、労働力の需給の状況、求人、求職の条件その他必要な雇用情報を迅速かつ的確に収集、整理するとともに、今後の技術革新の進展や産業構造の変化等に即応して職業の現況及び動向、職業に関する適性、適応性の増大等職業に関する基礎的事項について調査研究をし、これらの雇用情報、調査研究の成果等を職業指導、職業紹介等を行なうに際して活用させるとともに、広く関係者が利用し得るよう配慮することといたしております。さらに、職業紹介機関は、これらの雇用情報、調査研究の成果等を提供して、求職者に対しては、その適性、能力、経験、技能の程度等にふさわしい職業を選択することができるよう、また、求人者に対しても、職務に適合する労働者を雇い入れることができるよう必要な指導、援助をすることといたしております。
第四に、国は、若年層の能力の開発向上及び中高年層の職業への適応性の増進をはかるため、職業訓練施設の整備、職業訓練の内容の充実及び方法の研究開発、職業訓練指導員の養成確保及び資質の向上等職業訓練を充実するための施策を積極的に講ずるものとし、また、公共の職業訓練機関が行なう職業訓練と産業界が行なう職業訓練とが相互に密接な関連のもとで行なわれ、有為な技能労働者の養成確保がなされるようはかるべきことを明らかにいたしております。また、技能を軽視しがちな雇用慣行を改善し、労働者の技能の向上と技能労働者の地位の向上をはかり、能力を中心とする労働市場の形成を促進するため、技術の進歩等の状況を考慮して技能評価のための適正な基準を設定し、これに準拠した技能検定制度を確立し、かつ、その拡充、普及をはかることといたしております。
第五に、産業構造の変化等の過程において生ずる職業転換を円滑にする等、労働者がその能力に適合する職業につくことを容易にし、及び促進するため、職業転換給付金制度を創設し、関係給付の充実をはかることといたしております。
これは、従来、特定の失業者に対して支給してきた就職指導手当、職業訓練諸手当、職場適応訓練費及び就職のための移転費について必要な充実をはかるほか、その支給対象を拡大するとともに、特定職種訓練受講奨励金、広域求職活動費、訓練受講のための移転費、帰省旅費を新たに加え、制度的に確立しようとするものであります。
第六に、中高年齢者または身体障害者の雇用を促進するため、国が、別に法律で定めるところにより、雇用率を定め、これが達成されるよう必要な施策を講ずるものとし、これと並んでこれらの者の適職を選定し公表するとともに、その就職の促進につとめ、また、事業主その他の関係者に対し、その雇い入れを容易にするための援助を行なうことといたしました。
雇用率に関しましては、現在、身体障害者については身体障害者雇用促進法に必要な規定を設け、その推進をはかってきているところでありますが、中高年齢者につきましても、事業主は、労働大臣が適職に応じて定める雇用率を達成するようその雇い入れにつとめなければならないこと、及び労働大臣が常時百人以上の労働者を使用する事業所であって中高年齢者の雇用に著しい困難を伴わないものに対し、雇用率の達成のために必要な要請ができることを職業安定法に規定するよう措置しているところであります。
第七に、労働大臣は、身体に障害のある者、新たに職業につこうとする者、中高年齢の失業者その他職業につくことについて特別の配慮を必要とする者に対して行なわれる職業紹介及び職業指導の実施に関し必要な基準を定めることができることとし、また、労働者募集に関し、過当な求人競争による弊害を除去するために労働大臣が募集時期について規制することができるようにする等職業安定法に若干の改正を加えているところであります。
第八に、建設業その他事業の実施が季節の制約を受ける業種の労働者が年間を通じて雇用されることを促進するため、事業主に対し、これに必要な設備の設置または整備に要する資金の貸し付けを行なう業務を雇用促進事業団の業務に追加することといたしております。
以上のほか、この法律案において、大量の雇用量の変動についての事業主の届け出義務等必要な規定を設け、また、その附則において関係法律について所要の整備をいたしております。
なお、この法律案の作成にあたって、雇用審議会のほか、中央職業安定審議会及び中央職業訓練審議会にはかり、その意見を十分尊重しているところでありますが、今後とも、この法律の施行上の重要事項につきましては、これらの関係審議会に意見を求めるとともに、その施策の実施にあたり関係行政機関とも緊密な連携を保ちつつ、今後の情勢に即応して積極的な雇用対策を展開し、すべての労働者がその有する能力を有効に発揮することができるよう万全を期する所存でおります。
以上が雇用対策法案の趣旨でございます。(拍手)
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雇用対策法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
第51回国会衆議院会議録第44号6頁(昭和41年4月22日)〔小平久雄労働大臣発言・発言番号17〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=105101136)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。