北方領土問題対策協会法案
参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会
昭和44年法律第34号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会
参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会
- S44.4.2趣旨説明・補足説明沖縄及び北方問題に関する特別委員会 5116
- S44.5.7質疑・参考人招致沖縄及び北方問題に関する特別委員会 7199
- S44.5.14質疑・採決・附帯決議沖縄及び北方問題に関する特別委員会 8145
- S44.5.16採決・委員長報告本会議 2446
- S44.8.5附帯決議本会議 1
提案理由
床次徳二 総理府総務長官 昭和44年3月25日ただいま議題となりました北方領土問題対策協会法案につきまして、提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島など北方領土は、わが国固有の領土であるにもかかわらず、第二次大戦終結後ソビエト社会主義共和国連邦に占領されて以来今日まで二十有余年の間、同国の占領下にあり、わが国が現実に施政権を行使し得ない状況にあります。このため、これらの地域の元居住者は、終戦に伴い全員引き揚げを余儀なくされ、墓参という限られた機会以外には、今日に至るまで帰島することはもちろんのこと、その周辺の漁場において漁業を営むことさえもできないという困難な状況に置かれているのであります。
政府は、この北方領土の引き渡しをあらゆる機会にソ連政府に対して要求しておりますが、同政府は、日ソ間の領土問題は一連の国際協定によって解決済みであるとの態度に終始しており、この問題の解決には相当の困難が予想されます。他方、このような国家的懸案事項ともいうべき北方領土問題は、国民世論を背景にして初めてその解決が可能となるのでありますが、これについての国民世論は、遺憾ながらまだ低調であります。したがって、この問題の解決を促進するためには、今後全国的な規模において国民世論の喚起をはかることが必要であり、そのために北方領土問題の全国的な啓蒙宣伝を行なう機関を設置することが緊要であります。このような趣旨から、昭和三十六年に制定された北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律により設立され、北海道札幌市にその事務所を置いている北方協会を発展的に解消して、新たに、北方領土問題対策協会を設立し、この団体を通じて全国的規模において、北方領土問題についての世論の高揚をはかり、あわせてこれら地域の旧漁業権者等に対する貸し付け等の援護を行ない、もって、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題の解決の促進に資するため、この法律案を提案した次第であります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、この法律案は、北方領土問題対策協会の設立の目的、協会の組織、協会の業務の範囲、協会の財務及び会計並びに協会の監督等、協会の設立に関し必要な事項を規定しております。
第二に、協会の業務としては、まず、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題について、定期刊行物その他の印刷物の発行、講演会、講習会、展本会等の開催その他必要な啓蒙宣伝を行ない、また、これらの諸問題について調査研究を行なうとともに、あわせて、北方協会が現在まで行なってきた北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の規定に基づく旧漁業権者等に対する必要な資金の貸し付け業務を行なうこととなっております。
第三に、北方領土問題対策協会の設立に伴い、北方協会は解散し、その業務は南方同胞援護会の北方地域に関する業務とともに新協会が引き継ぐこととなりますので、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律のほぼ全面的な改正を行なうとともに、南方同胞援護会法その他関係法律について所要の改正を行なうこととしております。北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の改正内容につきましては、その第一点としては、新協会は、改正前の同法律の規定に基づき旧北方協会が政府より交付された十億円を承継し、これを引き続き、北方地域旧漁業権者等に対する貸し付け業務を行なうための基金とすること、第二点は、新協会は、貸し付け業務にかかわる経理について、他の業務にかかわる経理と区分し、特別の勘定を設けて整理すること、第三点は、その他貸し付け業務に関し必要な規定の整備を行なうことであります。これらの規定により、今まで北方協会が行なってきた資金の貸し付け業務は、実質的な変更なしに円滑にこの協会が引き継ぐこととなります。また、北方地域に関する業務を南方同胞援護会の業務とした南方同胞援護会法附則の当該規定を削除することといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審査の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
第61回国会衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会議録第7号4頁(昭和44年3月25日)〔床次徳二総理府総務長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、その案文を朗読いたします。北方領土問題対策協会法案附帯決議(案)政府は、本法の施行に当り、次の事項に関し、特段の措置を講ずべきである。
一北方協会が従来行なつてきた北方地域旧漁業権者等に対する生業安定のための諸事業は、北方領土問題対策協会発足後においても、さらに一層拡充強化されるよう配慮すること。
二本法律案には、新協会に対する国の補助金交付の規定がないが、北方領土問題の啓もう宣伝等に関する経費は、全額国が負担のうえ積極的に活動できるようにすること。
三北方領土問題に関する内政上の諸問題については、積極的な解決をはかること。とくに関係地方公共団体等の協力を要するものについては、その経費の負担に関し、特別の配慮をすること。北方領土に関する問題は、沖繩の問題とともに、戦後の国家的懸案事項であることは周知のとおりであります。沖繩は、いまや国民注視のもとに、日米間最大の問題として、施政権返還に対処する諸種の具体的努力が行なわれつつあります。しかるに、北方領土問題対策については、今回政府が全国的規模において本格的に取り組む姿勢をとり、特殊法人を設立し、本法によって、従来北方協会並びに南方同胞援護会が実施してきた業務の一切を引き継ぐとともに、積極的にその業務を拡充強化する意図を示していることは、適当と認められるところであります。しかし、政府は、本法の施行にあたり、次の諸点について特に配慮を要望したいのであります。第一に、北方協会が従来行なってきた北方地域旧漁業権者等に対する生業安定のための諸事業につきましては、これまで資金の都合上、生活に必要な資金を優先し、対象者の所得について制限を加え、あるいは貸し付けの金額並びに期間等について抑制的措置を加えざるを得なかった等の事情が存したと聞くところであります。本協会が業務を行なうにあたっては、これらの諸制限を加えることなく、法対象者の受益範囲の拡大をはかり、漁業その他の事業の経営と生活の安定確保のためにさらに一そう拡充強化をはかり、その使命の達成に万全の努力を傾注されたいのであります。第二に、従来、南方同胞援護会が行なってきた業務並びに北方協会が行なってきた前項以外の業務に関しては、本協会がその一切の業務を承継することは当然の措置と認められる。しかし、広範かつ多角的な北方問題について、全国的な規模において積極的に国民世論の喚起をはかり、その解決を促進するためには、その啓豪宣伝並びに調査研究活動は飛躍的な充実強化を必要とするところであり、本協会のこれら事業に要する経費については、国が全面的かつ積極的に遺憾のないよう十分な措置を講ずべきである。また、本協会がその目的に協力する団体等に対し必要な助成を行なうことに関しても、政府は適切な配慮を行なうよう要望したい。さらに、協会の役員等は、協会の活動に重要な関係を持つところであるので、その構成については遺憾なきを期せられたい。第三に、北方領土問題に関する内政上の諸問題については、政府は常に積極的な解決をはかるよう努力されたい。従来、地方公共団体、漁業団体等が、漁船の拿捕問題、安全操業問題、墓参問題、抑留漁民の遺家族援護その他に関する措置並びに指導等につき相当の負担を行なってきている。これらのうち、第一及び第二の協会の業務の範囲に移行し得るものについては、当然その措置をとることが適当と考えられる。しかし、地方公共団体に対する交付税について十分な措置を講ずるとともに、北方地域の特殊性に関連して関係団体の協力を求めることが適当と認められる事項に関しては、十分な経済的援助を留意されたい。以上をもって附帯決議についての趣旨説明を終わります。
政府は、本法の施行に当り、次の事項に関し、特段の措置を講ずべきである。
一北方領土問題対策協会の業務運営に対しては、充分な予算措置を講ずること。とくに北方領土問題の啓もう宣伝等に要する経費は、全額国が負担するとともに、その他関係地方公共団体等の協力を要する諸事項については、その経費の負担に関し、特別の配慮をすること。
二北方地域の諸問題に関し、国内行政措置として実施可能なものについては、法令を統一整備して積極的にこれを進め、もつて関係住民の不安をできるだけ解消するように努めること。
三北方協会が従来行なっていた北方地域旧漁業権者等に対する生業安定のための諸事業は、北方領土問題対策協会発足後においても、さらに拡充強化されるよう配慮すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106101079)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。