公害紛争処理法案
参議院 公害対策特別委員会
昭和45年法律第108号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院産業公害対策特別委員会
- S45.3.20趣旨説明・質疑産業公害対策特別委員会 5161
- S45.4.1質疑産業公害対策特別委員会 657
- S45.4.3質疑産業公害対策特別委員会 7126
- S45.4.8質疑産業公害対策特別委員会 8291
- S45.4.9質疑産業公害対策特別委員会 9130
- S45.4.10質疑産業公害対策特別委員会 1087
- S45.4.15質疑・修正案・附帯決議・修正案趣旨説明・採決(修正)産業公害対策特別委員会 1196
- S45.4.17委員長報告・修正案・採決(修正)・附帯決議本会議 2078
参議院公害対策特別委員会
- S45.4.17趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明公害対策特別委員会 5127
- S45.4.24質疑公害対策特別委員会 6170
- S45.5.6質疑公害対策特別委員会 7212
- S45.5.8質疑・採決・附帯決議公害対策特別委員会 8185
- S45.5.12附帯決議・委員長報告・採決本会議 1682
提案理由
山中貞則 総理府総務長官 昭和45年3月20日ただいま議題となりました公害紛争処理法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
公害問題は、申すまでもなく、現在緊急な解決を必要とする国民的課題でありますので、政府といたしましては、従来から公害対策基本法の精神にのっとり各般の公害対策を講じているところであります。
公害対策におきましては、何よりも公害の発生を未然に防止する措置を講ずることが肝要でありますが、同時に、公害が発生した場合に備えて、公害紛争処理制度を整備することが必要であります。
公害による被害は、単に財産的なものにとどまらず、人の生命、健康に及び、しかも、当事者が多数にわたり、かつ、加害と被害との因果関係の究明も困難である等、公害特有の問題があり、これらが公害にかかわる紛争の迅速、円滑な解決を困難ならしめているのが実情であります。
公害にかかわる紛争を処理する行政上の制度として、現在、水質の汚濁、大気の汚染等につきまして和解の仲介制度がありますが、調停、仲裁を行ない得ない等、不備な点が多く、また現行の司法制度をもってしては、必ずしも簡易迅速な解決をはかるのに十分でないうらみがあります。
このような公害紛争処理制度の現状にかんがみ、また公害にかかわる紛争について必要な措置を講ずべきことを定めた公害対策基本法の精神にのっとり、紛争の迅速かつ適正な解決をはかるため、公害紛争処理制度を整備すること等を目的として、ここに第六十一回国会の衆議院における修正を織り込んで、公害紛争処理法案をあらためて提案することといたした次第であります。
次に、この法律案のおもな内容についてその概要を御説明申し上げます。
第一に、公害にかかわる紛争を処理するための専門的な機構を中央及び地方に置くこととしたことであります。中央に置かれる中央公害審査委員会においては、現に人の健康または生活環境に公害にかかわる著しい被害が生じ、かつ、当該被害が相当多数の者に及び、又は及ぶおそれのある紛争、広域的な見地から解決する必要がある公害にかかわる紛争、被害地及び加害地が二以上の都道府県の区域にわたる公害にかかわる紛争について調停及び仲裁を行なうこととしております。また、地方に置かれる都道府県公害審査会等においては、これらの紛争以外の紛争について和解の仲介、調停及び仲裁を行なうこととしておりますが、さらに被害地及び加害地が二以上の都道府県の区域にわたる公害にかかわる紛争については、関係都道府県が事件ごとに共同して連合審査会を設け、これを処理することができることとしております。
第二に、これらの機構においては、人格が高潔で識見の高い者のうちから、委員長、委員または審査委員候補者が任命または委嘱され、これらの者のうちから、事件ごとに指名された仲介委員、調停委員または仲裁委員が、それぞれ所定の手続に従い、和解の仲介、調停または仲裁にあたることとしております。なお、調停の場合には、当事者に対し出頭要求を、また一定の場合に文書、物件の提出要求ないし立ち入り検査を行ない得ることとしております。仲裁の場合にも、同様の権限を与えております。さらに、中央公害審査委員会には、特に、専門の事項を調査させるため、専門調査員を置くことができることとしております。
第三に、これらの機構については、具体的な紛争の処理を通じて得られた公害防止の施策の改善についての意見を、中央においては内閣総理大臣等に対し、地方の公害審査会においては都道府県知事に対して申し述べることができることとしております。
以上のほか、公害問題は、地域住民に密着した問題でありますので、地方公共団体は、公害に関する苦情について適切な処理につとめるものとし、公害に関する苦情について住民の相談に応ずる公害苦情相談員の制度を設けることとしております。
なお、防衛施設にかかわる障害に関する事項につきましては、その原因となる行為の特殊性及びすでに政府がこれに関し各種の措置を講じていること等にかんがみ、この法律案において別に法律で定めるところによることとした次第であります。
以上が、この法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
————◇—————
第63回国会衆議院産業公害対策特別委員会議録第5号5頁(昭和45年3月20日)〔山中貞則総理府総務長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、案文を朗読いたします。公害紛争処理法案に対する附帯決議(案)政府は、本法の施行にあたり、累積する公害紛争の処理に充分な実効を挙げるため、次の事項について積極的に対処し、公害紛争処理制度の整備充実に万全を期すべきである。
一今回の紛争処理制度においては、和解の仲介、調停、仲裁を採用しているが、公害紛争が多くの場合公害発生源の明定、因果関係の究明等に複雑困難な公害固有の特殊性の存することを配慮し、今後裁定制度の採用等と国家行政組織法第三条機関への移行を前向きに検討し、速かに結論を出すよう努めること。
二本法から所謂基地公害を除外することについては、相当議論の存したところであり、今後本法との関連において既存の防衛施設周辺の整備等に関する法律等をも含め真剣に再検討し、所謂基地公害の防止等の対策に遺憾なきを期すること。
三公害紛争処理に関する議事は、非公開を旨としているが、公害の社会性等からみてこれが運用に適切な配慮を加えること。
四公害苦情相談員の制度を実効あらしめるため、その機構、権限等についてさらに検討すること。
五公害紛争処理の円滑公正な実施を図るため、中央、地方を通ずる機構、人員の整備、予算充実等について充分配慮すること。
政府は、本法の施行にあたり、累積する公害紛争の処理に充分な実効を挙げるため、次の事項について積極的に対処し、公害紛争処理制度の整備充実に万全を期すべきである。
一公害発生源の明定、因果関係立証の困難性、被害者の立場の特殊性等公害紛争に固有の問題があることを考慮し、今後裁定制度の採用等を国家行政組織法第三条機関への移行を含めて、検討し、速やかに結論を出すよう努めること。
二本法から除外されているいわゆる基地公害については、今後本法との関連において既存の防衛施設周辺の整備等に関する法律等をも含め真剣に再検討し、いわゆる基地公害の防止等の対策に遺憾なきを期すること。
三公害紛争処理に関する議事は、非公開を旨としているが、公害の社会性等からみてこれが運用に適切な配慮を加えること。
四中央委員会及び審査会等の委員の選衡については、その果す機能にかんがみ、被害住民等当事者の信頼を得られるよう配慮すること。
五公害苦情相談員の制度を実効あらしめるため、その機構、権限等についてさらに検討すること。
六公害紛争処理の円滑公正な実施を図るため、中央、地方を通じて、機構、人員の整備、予算充実等について充分配慮すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106301018)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。