農地法の一部を改正する法律案
参議院 農林水産委員会
昭和45年法律第56号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
参議院農林水産委員会
- S45.3.18趣旨説明・質疑本会議 646
- S45.4.14趣旨説明・補足説明農林水産委員会 10160
- S45.4.23質疑農林水産委員会 12199
- S45.4.24質疑農林水産委員会 13126
- S45.4.28質疑農林水産委員会 14189
- S45.5.6質疑農林水産委員会 15148
- S45.5.7質疑・修正案趣旨説明・討論・附帯決議・採決・修正案農林水産委員会 16128
- S45.5.8委員長報告・討論・採決本会議 1573
- S45.5.13附帯決議本会議 1
提案理由
倉石忠雄 農林大臣 昭和45年3月10日農地法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
戦後の農地改革により自作農が創設され、これによってわが国の農業生産力は画期的な発展を遂げ、農業者の経済的社会的地位の向上をもたらしたのみならず、戦後における日本経済の復興と繁栄に寄与したことは申し上げるまでもありません。現行農地法は、このような農地改革の成果を維持するという使命をになってきたものであります。
しかしながら、わが国の農業の現状は、いまだ経営規模が零細であり、このため、生産性の向上をはかるにもおのずから限界があることを否定し得ません。したがいまして、農政の基本目標を実現するためには、農業を取り巻く諸情勢の進展に対応して、生産、価格、流通、構造に関する各般の施策を総合的に推進する必要がありますことはもちろんでありますが、とりわけ、農地がより生産性の高い経営によって効率的に利用されるようその流動化を促進し、農業構造の改善をはかることが肝要であります。政府といたしましては、このような観点から農地法の改正をいたすこととした次第であります。
なお、この法律案は、前国会に提出し、審議未了となりましたものと同じ内容のものでありまして、本国会に再度提出いたしたものであります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一は、以上述べました趣旨に基づき、農地法の目的に「土地の農業上の効率的な利用を図る」ことを追加することであります。
第二は、農地等の権利移動の制限の改正であります。近年における農業技術の進歩、兼業化の進行に照応して、上限面積の制限の廃止と下限面積制限の引き上げを行なうこととし、また、国が売り渡した農地につきましては、売り渡し後十年を経過したものは貸し付けることができることとし、さらに農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人が農地の権利を取得することができることとしております。
第三は、集団的生産組織の育成と土地の効率的利用に資するため、農業生産法人の要件を実情に即して緩和するとともに、農業協同組合が委託を受けて農業経営を行なう場合には、農地の権利の取得を認めることとしております。
第四は、小作地の所有制限についてでありますが、農業生産法人に貸し付けられている小作地、農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人に貸し付けられている小作地等につきましては、その所有制限をしないこととするほか、農業をやめて住所を他へ移した場合にも在村の場合と同じ面積まで小作地の所有を認めることとしております。
第五は、農地を貸しやすくするため農地等の賃貸借の規制を緩和することとし、合意により解約する場合及び十年以上の期間の定めのある契約等についてその更新をしない場合には許可を要しないこととしております。
また、小作料の統制につきましては、農業者の地位が向上し、雇用の機会が増大した現在では、戦前のような高率の小作料が発生する余地は一般的にはないものと判断されますので、これを廃止することとしております。しかし、現に存する小作地につきましては、十年をこえない範囲内においてなお小作料の統制を続けることといたしております。
第六は、草地利用権設定制度の新設であります。これは、飼料の生産基盤の拡大強化をはかるため、未利用の里山等について、市町村または農業協同組合が草地造成をする必要がある場合には、都道府県知事の裁定により草地利用権を設定することができる制度であります。
以上が農地法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
第63回国会衆議院会議録第8号1頁(昭和45年3月10日)〔倉石忠雄農林大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、本改正法の施行にあたって、農地制度の基本理念である自作農主義を崩すことなく土地の効率的利用が図られるよう左記各項に十分留意し運用の万全を期すべきである。記
一小作関係における規制の緩和によって農地取上げ等により耕作者が不利にならないよう十分に措置するとともに、小作料については、原則として全国の農業委員会がその標準額を設定するようにし、かつ、その設定にあたっては耕作者の経営の安定を図ることを旨として定めるようその算定基準を明示して指導すること。
二農地の権利取得の場合の許可基準の改正、小作地所有制限の緩和等によって転用期待の投機的な農地取得等が行なわれることのないよう指導すること。なお、農地等の権利移動に係る下限面積については、弾力的な運用が図られるよう特に考慮すること。
三農業委員会の権限強化に伴い、その組織内容を一層整備するとともに、農地転用をめぐる不正事件等の発生している現状にかんがみ、農地法の適正な運用が行なわれるようこれが研修、指導等を強化すること。
四農地等取得資金のワクの増大、限度の引上げ及び貸付条件の緩和を行なうとともに、農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人に対する財政上税制上の援助措置を実情に即して強力に実施するよう努めること。
五畜産振興のための草地利用権の設定に関しては、本制度が十分活用されるよう必要な措置を講ずること。なお、入会権者の権限については、十分に配慮して行なうこと。
六農用地以外の目的に開発利用されている地域およびその周辺の国有林野を採草放牧地等の共同利用に供する場合にあっては、農用地としての利用目的どおり効率的な土地利用の確保と国有財産として適正な管理処分が保持されるようその活用を図ること。
七米の生産調整に伴い水田転用の暫定措置が講ぜられたところであるが、農地法に基づく農地転用規制については、農業地域における優良農地を確保する見地から、農地の無秩序な潰廃が行なわれることのないよう適正な運用に努めること。
八農業生産基盤の整備、農業構造改善事業その他農業振興諸施策を地域の実情に即して総合的に実施するとともに、地価対策の確立、農外雇用条件の改善等につき万全の施策を講ずること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106301029)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。