著作権法案
衆議院 文教委員会
衆議院 文教委員会著作権法案審査小委員会
昭和45年法律第48号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院文教委員会・文教委員会著作権法案審査小委員会
提案理由
坂田道太 文部大臣 昭和45年3月11日今回政府から提出いたしました著作権法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法案は、明治三十二年に制定された著作権法の全部を改正するものであります。現行法は、制定以来数回の改正を経て現在に至っておりますが、その基本的な体系は、制定当時のままであり、今日の複写、録音等の複製手段並びに出版、放送等の伝達手段の目ざましい発達、普及に照らし、著作者の権利の保護に欠け、あるいは著作権の制限規定が実情に適しないなど、不備な点が種々指摘されるに至っております。
一方、著作権の国際的保護条約であるベルヌ条約は、第二次大戦後昭和二十三年にブラッセルで、また昭和四十二年七月にストックホルムで改正されており、また、昭和三十六年には、実演家、レコード製作者及び放送事業者の国際的保護を目的としたいわゆる隣接権条約が成立いたしました。このような国際的事情を背景に、欧州諸国においては戦後次々に国内法の全面改正を行ない、近代的な著作権制度が整備されるに至っております。しかるに、わが国の現行制度は、昭和三年にローマで改正されたベルヌ条約の基準にとどまり、国際的にも立ちおくれたものといわざるを得ないのであります。
このような事情にかんがみ、政府は、現行制度を抜本的に改善する方針のもとに、昭和三十七年文部省に著作権制度審議会を設け、制度改正についての諮問をいたしましたが、同審議会は、四年間にわたる慎重審議の結果、昭和四十一年四月に答申を行なったのであります。政府は、この答申に基づきこのたびの成案を得たのでありますが、この間試案を公表して権利者、使用者その他関係者の意見の聴取を行なう等慎重を期してまいりました。
なお、昭和三十七年以降の改正作業中に保護期間の経過により、その権利が消滅する著作権者を救済するため、四回にわたり保護期間の暫定延長の措置が講ぜられましたことは、御承知のとおりであります。
以上の経過によって明らかでありますように、この法案の趣旨とするところは、最近における著作権保護の国際的水準にのっとり、著作者等の権利の保護を厚くするとともに、著作物等の公正な利用に留意して著作権等について妥当な制限規定を整備し、もって文化の発展に寄与することであります。
すなわち、著作者の権利の保護を厚くするため、その権利を著作者人格権と著作権に大別してそれぞれの内容を明定いたしました。特に、従来からの懸案であったレコードを用いた音楽等の放送、有線放送及び演奏について著作権を認めることといたしましたが、レコードによる演奏については、わが国におけるレコード使用の実情にかんがみ、当分の間、政令で定める営利事業において行なわれるものに限って、権利を認めるよう経過措置を講じております。また、著作権の原則的保護期間について、現行の著作者の死後三十八年までを国際的水準である死後五十年までに延長することといたしました。
次に、著作権の制限規定につきましては、今日の複写、録音等の複製手段の発達普及を考慮して、私的使用、図書館等における複製、教育目的のための使用、その他特に必要と認められる場合について著作権を制限し、著作物の公正な利用が確保されるよう措置いたしました反面、利用の要件を厳密にし、また、教科用図書に利用する場合等には公正な補償金を支払うべきものとするなど、著作権の権利を害しないように配意をいたしました。
さらに、俳優、歌手等の実演家、レコード製作者および放送事業者を保護するため、著作隣接権制度を創設することといたしました。すなわち、これらの者には、著作物の伝達を行なうものとして、著作権に準じた権利を認めることが必要かつ適切と考えられますので、昭和三十六年の隣接権条約の定めるところを参考としつつ、わが国の実情に適した保護を行なうこととするものであります。
その他、裁定による著作物利用の制度、著作物の登録制度、著作権に関する紛争処理のためのあっせんの制度等について定め、また著作権等の侵害に対する罰則を整備する等、現行制度の全面的改善をはかっているのであります。
なお、若干の関係法律について、この法律の施施に伴い必要となる整理等の措置を講ずることといたしております。
以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
第63回国会衆議院文教委員会議録第5号30頁(昭和45年3月11日)〔坂田道太文部大臣発言・発言番号161〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、著作権法の重要性にかんがみ、次の点について、特に留意すべきである。
一著作権法は、著作者等の権利の保護を第一義的な目的とすることにかんがみ、今後の法の運用に十分配慮するとともに、その趣旨において著作物利用の公正な慣行が育成されるよう、著作権思想の普及等についてなお一層努力すべきである。
二今日の著作物利用手段の開発は、いよいよ急速なものがあり、すでに早急に検討すべきいくつかの新たな課題が予想されるところである。よつて、今回改正される著作権制度についても、時宜を失することなく、著作権審議会における検討を経て、このような課題に対処しうる措置をさらに講ずるよう配慮すべきである。
三今後の新しい課題の検討にあたっては、時代の進展に伴う変化に即応して、写真の著作権および著作隣接権の保護期間、映画の著作権の帰属、レコードによる音楽の演奏権の及ぶ範囲、応用美術の保護等についても積極的に検討を加えるべきである。
四本法の実施にあたっては、著作権者と利用者との間に十分な協議が行なわれ、円滑に運用されるよう配慮すべきである。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106301039)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。