民法の一部を改正する法律案
参議院 法務委員会
昭和46年法律第99号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
植木庚子郎 国務大臣 昭和46年3月10日次に、民法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
この法律案は、民法の一部を改正して、新たに根抵当に関する規定を設けようとするものであります。御承知のとおり、根抵当は、継続的な取引から生ずる多数の債権を一定の金額の限度まで担保するため、あらかじめ不動産の上に設定される特殊な抵当権でありまして、古くから判例によってその有効性を認められ、各種の経済取引において広く利用されているものでありますが、民法に明文の規定が置かれておりませんために、その法律関係については不明確な点が多く、利用上も種々の支障を生じております。そこで、この法律案は、民法に根抵当に関する規定を新設して、根抵当に関する法律関係を明確にするとともに、関係者間の利害を調整する等の措置を講じ、もって根抵当取引の円滑化及び合理化をはかろうとするものであります。
次に、この法律案の要点を申し上げます。
第一に、根抵当権は、設定行為をもって定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を担保する抵当権であるとして、その意義を明確にするとともに、特別の規定のない限り、抵当権に関する一般規定が適用されることといたしております。
第二に、根抵当権によって担保される債権の範囲については、従来、一定の契約から生ずる債権に限るとする説、無制限にこれを定め得るとする説など、多数の説に分かれておりましたが、この法律案においては、原則として、一定の種類の取引から生ずる債権を担保することとし、必要に応じてこれを変更することを認めることといたしております。
第三に、根抵当権により担保される金額の限度、すなわち極度額については、従来、元木極度額及び債権極度額の二通りの定め方がありましたが、この法律案においては、法律関係の簡明をはかる趣旨から、後者の債権極度額の定め方に統一することといたしております。
第四に、根抵当権の処分については、従来から問題とされておりました順位の譲渡、放棄等の処分を禁止するとともに、他方において、根抵当権に特有の譲渡の制度を認め、また、抵当権一般に通ずる制度として、順位の変更の規定を新設して、利用の便宜をはかることといたしております。
第五に、根抵当権設定者等の保護をはかるため、一定の要件のもとに、元本債権の確定の請求を認め、また、元本債権の確定後の根抵当権については、極度額の減額の請求、極度額に相当する金額の払い渡しを条件とする根抵当権の消滅の請求を認めることといたしております。
その他、共同根抵当、元本債権の確定の原因及び時期、根抵当取引の当事者の一方につき相続または法人の合併があった場合の法律関係などについても、所要の規定を設けて、これを明確にするとともに、関係者の利害の調整をはかることといたしております。
最後に、必要な経過規定を設けるとともに、関係法律の所要の改正を加えることといたしております。
以上がこの法律案の要点であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
第65回国会衆議院法務委員会議録第10号1頁(昭和46年3月10日)〔植木庚子郎国務大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106501083)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。