TaiLexi AI日本の判例・法令
国会審議›第77回国会›閣法第49号
閣法第77回国会 第49号成立修正あり

農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案

昭和51年法律第30号 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律
提出昭和51年3月23日 内閣
付託参議院 農林水産委員会
衆議院 農林水産委員会
成立
昭和51年法律第30号
審議会議 6回・発言 661(政府答弁等 300)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院農林水産委員会

  1. S51.5.11趣旨説明・補足説明農林水産委員会 8132
  2. S51.5.12質疑農林水産委員会 9451
  3. S51.5.13質疑・採決・修正案趣旨説明・附帯決議・修正案農林水産委員会 10159
  4. S51.5.13採決・委員長報告・附帯決議本会議 1845

参議院農林水産委員会

  1. S51.5.18趣旨説明・補足説明・質疑・採決・修正案趣旨説明・附帯決議・修正案農林水産委員会 8432
  2. S51.5.19委員長報告・採決本会議 1246
  3. S51.6.11附帯決議本会議 1

提案理由

吉岡裕 政府委員(農林省農林経済局長) 昭和51年5月11日

農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。

 まず第一に、農作物共済の充実と合理化に資するための措置について御説明申し上げます。

 その一は、補償水準の引き上げに関するものであります。

 現行の農作物共済において、災害を受けた際に支払われる共済金の額は、一筆単位引受方式にあっては、各耕地ごとに、基準収穫量の三割以上の減収があった場合に、また昭和四十七年に導入されたいわゆる半相殺の農家単位引受方式にあっては、農家ごとに、被害のあった耕地の減収量の合計がその農家の総基準収穫量の二割を超える場合に、それぞれその超えた数量に単位当たり共済金額を乗じて算出することとなっております。この場合の単位当たり共済金額は、米麦の価格の九割を限度として主務大臣が定めた金額のうちから選択することとなっております。

 改正案では、この場合の単位当たり共済金額の限度を米麦の価格の十割まで引き上げることといたしました。この結果、全損の場合の実損てん補割合は、最高の単位当たり共済金額を選択した場合、一筆単位引受方式では七割、いわゆる半相殺の農家単位引受方式では八割、次に述べます新しい方式の農家単位引受方式では九割となり、従来に比し相当程度補てん内容を充実し得るものと考えております。

 その二は、引受方式の改善に関するものであります。

 現行の引受方式は、一筆単位引受方式といわゆる半相殺の農家単位引受方式であり、そのいずれかを組合等が選択することになっておりますが、災害を受けた農家の所得を合理的に補てんするという本制度の目的に照らし、大きな災害に対し経済効用を十分に発揮する共済金の支払い方式として、新たに、農家単位で増収分と減収分とを相殺するいわゆる全相殺の農家単位引受方式を導入することといたしました。すなわち、近年普及が進みつつあるカントリーエレベーター等の施設を利用する等により農家ごとの収穫量を適正に把握できる地域においては、組合等の申請に基づき、農林大臣が地域を指定し、農家ごとの総基準収穫量から総収穫量を差し引いて得た数量が総基準収穫量の一割を超える場合に共済金を支払うことといたしております。

 なお、農家経営の安定及び制度の効率化を図る見地から、農家単位引受方式がより多くの組合等に導入されるとともに、この方式による共済事業が円滑に実施できるよう、本方式を導入した組合等の地域内の収穫皆無耕地については、農家単位引受方式によっては共済金が支払われないような場合であっても、当分の間、その耕地ごとに共済金を支払うことといたしました。

 その三は、水稲病虫害に対する損害防止給付に関する特例の新設であります。

 現行の農作物共済は、災害発生に伴う農作物の収穫量の減少について共済金を支払う方式をとっております。しかしながら、近年における水稲の被害発生態様を見ますと、耕種技術の改良、風水害の減少により、その被害量は全体としてかなり減少しているものの、病虫害による損害は相対的に増大する傾向にあること等にかんがみ、従来から、本制度における病虫害防止機能を拡充強化すべきである旨の強い要請があったのであります。このため、今回、共同防除体制が整備された地域において、病虫害が異常に発生し、組合員等がその病害虫の防除を共同して行ったときば、当分の間、その防除に要した農薬費、動力燃料費につき一定の限度で共済金を支払うことといたしました。

 このほか、農作物共済につきましては、水稲に係る病虫害の事故除外、いわゆる全相殺の農家単位引受方式及び水稲病虫害損害防止給付を農林大臣の指定する地域で行うこととしたことに伴い、組合等の区域内にこれらの地域が存する場合には、それにより区分される危険の程度に応じて共済掛金率等を定めるとともに、保険関係及び再保険関係もこの区分ごとに成立することといたしました。

 第二に、蚕繭共済の充実に資するための措置について御説明申し上げます。

 その一は、共済事故の拡充に関するものであります。

 近年、東北地方等の豪雪地帯を中心に、冬季間に桑の樹皮等が野鼠による食害を受け、その結果、桑葉が減収するといった被害が発生しておりますので、新たに、共済事故として桑葉の獣害による減収を加えることといたしました。

 なお、この共済事故は、現行の共済責任期間の始期である桑の発芽期より前の冬期間に多く発生いたしますので、この共済事故を選択する地域においては、共済責任期間の始期を前年の桑の落葉期まで早めることといたしました。

 その二は、蚕期区分の導入に関するものであります。

 近年、養蚕施設の効率的利用、労力の平準化を図る等のため、多回育養蚕が普及し、かつ、それが定着している地域がございますが、そのような地域におきましては、その経営実態に即応して共済目的に蚕期区分を設け、その区分ごとに共済金の支払い額を決定することといたしました。

 その三は、補償水準の引き上げに関するものであります。

 現行の蚕繭共済における単位当たり共済金額は、繭の価格の六割を標準として主務大臣の定める金額のうちから選択することとされておりますが、他の農業共済事業との均衡を考慮して、これを繭の価格の七割まで引き上げて、補償の充実を図ることといたしました。

 第三に、家畜共済の改善に関する措置について御説明申し上げます。

 その一は、共済目的の拡大であります。現行の家畜共済では、牛、馬及び種豚が共済目的となっておりますが、食肉資源に占める肉豚の重要性が高まりつつあること、肉豚の飼養形態が零細副業から多頭飼育へ変化したこと等にかんがみ、今回、家畜共済の共済目的に肉豚を加えるとともに、その共済事故を死亡とすることといたしました。なお、肉豚につきましては、従来の乳牛の雌、肉用牛、一般馬及び種豚と同様に包括共済対象家畜とし、加入農家が飼養する肉豚はすべて家畜共済に付されることといたしておりますが、飼養頭数が多数に及ぶ上、その飼養期間も短期間であること等にかんがみ、飼養区分ごとに引き受けと損害評価を行うよう諸規定を設け、その適正かつ効率的な運営を期しております。

 その二は、共済掛金の国庫負担の改善であります。

 現行の家畜共済の共済掛金国庫負担は、牛は、包括共済の場合原則五分の二とし、特に、飼養規模が、乳牛の雌に関しては三頭以上四十九頭以下の者、肉用牛に関しては三十九頭以下の者に対して二分の一とし、主として自給飼料によらないで乳牛の雌を飼養する者に対して三分の一とし、また、個別共済の場合五分の二としており、種豚は、三分の一を国庫が負担しております。

 以上述べました現行の共済掛金の国庫負担方式は、昭和四十六年における制度改正により定められたものでありますが、畜産振興の重要性及び最近における畜産経営の実態にかんがみ、今回、共済掛金の国庫負担を牛については二分の一、種豚については五分の二に引き上げるとともに、肉豚についても三分の一の国庫負担を行うことにより、農家負担の軽減による加入の促進を図り、畜産経営の安定に寄与することとした次第であります。

 その三は、組合等の共済責任の拡充であります。

 現行の家畜共済では、末端の共済事業を行う組合等は特別の事由のある場合を除き、その総共済金額のすべてを農業共済組合連合会の保険に付し、連合会は、これを県ごとに取りまとめた上、そのうちの一定部分を保留して、残りの部分を政府の再保険に付することになっておりますが、組合の区域の広域化に伴い家畜共済についても一般的に共済責任の一部を組合等に保有させる条件が整ってきたこと等にかんがみ、改正法案では共済責任のうち原則としてその一割を組合等において保留して、その残りの部分を連合会の保険及び政府の再保険に付することといたしました。この結果、農家の負担する掛金の一部が組合等に保留され、組合等の責任ある業務執行が期待されるところであります。

 第四に、果樹共済の合理化に関する措置について御説明申し上げます。

 現行制度においては、気象上の原因による災害、病虫害等のすべての災害による果実の減収を共済事故とし、加入者が共済事故を選択することは認めないこととなっておりますが、最近における果樹栽培技術の向上、果樹経営の実態等にかんがみ、果樹の栽培条件が一定基準に達した農家につきましては、たとえば病虫害といったその経営から見て必要性の少ない事故を共済事故から除外する旨組合等に対し申し出をすることができることとし、これに伴う掛金率の低下により、加入の促進を図ることといたしました。

 第五に、農業共済基金の業務及び組織の整備強化に関する措置について御説明申し上げます。

 まず、農業共済基金の業務範囲の拡充に関するものであります。

 現行の農業共済基金の業務は、農業共済組合連合会または組合等が保険金または共済金の支払いに不足を生じたときに資金の貸し付けまたは債務の保証を行うことに限られておりますが、近年における災害発生態様の変化により会員等の事業収支が改善され、農業共済基金の資金事情が好転していること等にかんがみ、今回、新たに従来の業務に支障のない範囲内において、会員等が保険事業または共済事業を円滑に執行するために必要とする資金について貸し付けまたは債務の保証の業務ができることといたしました。

 また、農業共済基金の組織につきましてもその事業執行体制を強化するとともに、運営委員会の構成等についての規定を整備することといたしました。

 以上のほか、農業共済団体の組織及び運営に関する規定を整備することとし、前述の組合等の区域の一部における事業実施に関する規定のほか、農業共済団体の自主的判断により、特定の場合に役員及び総代の選挙を省略できること等事業運営の円滑な推進を図るための改正をあわせて行うことといたしました。

 最後に、この制度改正の実施時期でありますが、準備期間等を考慮いたしまして、原則として昭和五十二年度からといたしております。

 以上をもちまして提案理由の補足説明を終わります。

第77回国会衆議院農林水産委員会議録第8号3頁(昭和51年5月11日)〔吉岡裕政府委員発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 農林水産委員会昭和51年5月13日

政府は、最近における農業事情の変化等にかんがみ、長期的視野に立つて、制度の一層の拡充整備を図り、農業経営の安定と農業生産力の発展に資するよう左記事項の実現に努めるべきである。記

一農作物共済については、補償の経営安定効果を一層高めるため、農家単位引受方式の円滑な推進を図るよう努めるほか、災害の発生態様の変化及び農家の共済需要の動向を勘案して今後とも足切り水準の引下げ又は損害の程度に応じててん補する比例てん補方式等につき調査検討を行い、てん補内容の充実を図ること。

二水稲病虫害損害防止給付については、地域における防除の実態に即応するよう、その給付内容の充実に努めるとともに、その実施に当たつては、関係団体等との連絡、協調に特に留意すること。

三家畜共済については、馬及び肉豚等に係る共済掛金国庫負担等につき一層の改善に努めるとともに、実情に即した診療点数の改定、獣医師の待遇改善、損害防止事業の強化等を促進し、家畜診療所の経営安定を図ること。

四果樹共済については、加入の推進に一層努めるとともに、果樹栽培農家の経営安定に資するよう補償内容の充実、対象品目の拡大等に努めること。なお、最近における果実の需給動向にかんがみ、果実の生産及び価格対策の一層の充実強化を図ること。

五畑作物共済及び園芸施設共済については、可及的すみやかに本格実施への移行を図ること。

六野菜等の新種共済については、早急に調査等を行い、基礎資料の整備を進め、その早期制度化に努めること。

七役員の選挙等農業共済団体の運営に当たつては、民主的運営が損われぬよう、特段の指導を行うこと。

八農業共済団体の事務費に関しては、事業運営の複雑多様化に対応して、事務執行体制の整備、職員、共済連絡員等の待遇改善に資するよう、国庫負担の充実を図ること。

参議院 農林水産委員会昭和51年5月18日

農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、農業をめぐる諸条件の進展にかんがみ、農業生産の多様化、地域的分化等に対応して、本制度の損害補償機能の充実、事業の弾力的な運用につき一層の改善を加え、被災農家の再生産の確保、経営の安定に資するよう、特に左記事項を検討し、その達成を期すべきである。記

一農作物共済については、地域の災害発生の態様等をふまえ、農家単位引受方式の適切な推進、料率の適正な算定等を図り、被害の割合に応じててん補する比例てん補方式について調査検討を進め、補償内容の充実に資するとともに、水稲病虫害損害防止給付の給付内容の拡充、地域の防除体制の整備等を十分に配慮すること。

二蚕繭共済については、最近の多回飼育の普及等その実態に即し、基礎資料の整備を進め、春蚕をも含めた小蚕期区分制の導入を推進すること。

三家畜共済については、肉豚共済の実効ある運用に努め、家畜診療所の整備対策の強化、診療点数の改善等を促進するとともに、肉豚、馬等の共済掛金の国庫負担割合の改善、国庫負担対象限度額水準の適正な引上げに努めること。

四果樹共済については、実態に即した損害評価方法を整備し、園地単位補償方式、足切り水準の引下げ等その改善を検討し、農家の経営安定を図る見地に立ち、実損てん補の充実に努め、また農家の加入奨励についての助成・指導を十分に配慮にて、事業運用の実効を期すること。

五野菜、地域特産物等の新種共済の制度化につき、すみやかに調査検討を進め、さらに畑作及び園芸施設共済の本格実施を促進すること。

六農業共済組合の広域合併の進行等にかんがみ、組合等の民主的運営が期せられるよう指導すること。

七農業共済基金の業務資金の円滑な融資が行われるよう措置すること。

八農業共済団体の事務費の国庫負担金については、団体職員、共済連絡員評価員等の待遇改善に資するよう一層充実すること。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107701049)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。