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国会審議›第94回国会›閣法第64号
閣法第94回国会 第64号成立

食糧管理法の一部を改正する法律案

昭和56年法律第81号 食糧管理法の一部を改正する法律
提出昭和56年4月2日 内閣
付託衆議院 農林水産委員会
参議院 農林水産委員会
成立
昭和56年法律第81号
審議会議 14回・発言 2,214(政府答弁等 959)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院農林水産委員会

  1. S56.4.23趣旨説明・質疑本会議 2152
  2. S56.4.28趣旨説明・補足説明・質疑農林水産委員会 12198
  3. S56.5.6質疑農林水産委員会 13342
  4. S56.5.7参考人招致農林水産委員会 14175
  5. S56.5.12質疑農林水産委員会 15268
  6. S56.5.13質疑・討論・採決・附帯決議農林水産委員会 16306
  7. S56.5.15委員長報告・討論・採決・附帯決議本会議 2563

参議院農林水産委員会

  1. S56.5.15趣旨説明・質疑本会議 1898
  2. S56.5.26趣旨説明農林水産委員会 12196
  3. S56.5.28質疑農林水産委員会 13410
  4. S56.6.2質疑農林水産委員会 14271
  5. S56.6.3参考人招致農林水産委員会 1580
  6. S56.6.4質疑・討論・採決・附帯決議農林水産委員会 16329
  7. S56.6.5附帯決議・委員長報告・採決本会議 2343

提案理由

亀岡高夫 農林水産大臣 昭和56年4月23日

農業、林業及び漁業の各昭和五十五年度年次報告並びに昭和五十六年度において講じようとするそれぞれの施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、農業について申し上げます。

 農業基本法制定以降のわが国農業の動向を見ますと、農業は、増大する食糧需要に対応して生産を伸長させ、生産性を高めつつ国民の基本食糧の大部分を供給するという役割りを果たすなど、国民経済の発展と国民生活の向上に寄与してまいりました。

 しかし、農業生産は、畜産物、野菜、果実等が大きく増加しましたが、麦、大豆は減退し、米は供給過剰状態が続いております。また、農業の製造業に対する比較生産性は大幅な是正には至っておりません。他方、農家の生活水準については、農家の一人当たり家計費は、勤労者世帯のそれを上回っておりますが、これは、主として兼業所得の増加によるものであります。農業構造の面では、中小家畜、施設園芸等では経営規模の拡大が進みましたが、稲作等では農地価格の上昇などから経営規模の拡大が停滞的に推移してまいりました。

 最近の農業をめぐる情勢を見ますと、穀物などの国際需給は、昨年の世界的な異常気象の影響等により逼迫に向かい、穀物の在庫率は近年になく低い水準にあり、また、長期的にも楽観できない状況にあります。

 食糧消費につきましては、経済の安定成長下において、国民の実質所得の伸びの低下等に伴い食糧消費支出の伸びの鈍化が見られます。また、わが国の食生活は、米、魚、野菜を中心に畜産物等を組み合わせた日本型食生活が形成されつつあり、平均的に見た国民の栄養水準はバランスのとれたものとなっておりますが、脂肪分の多い食品が高いテンポで増加を続けるならば、栄養の偏りが問題となるおそれもあります。

 農業生産につきましては、畜産、園芸等が順調に伸びておりますが、五十五年には記録的な冷害により米を中心に大きい被害が発生いたしました。

 農産物の需給は、米の過剰が続き、牛乳、ミカン等多くの農産物も需給緩和傾向が続いており、農産物の生産者価格は低迷しております。

 こうした中で、農家経済を見ますと、五十四年度の農業所得は前年度を下回りましたが、農外所得の伸びなどにより農家総所得は前年度を上回っております。また、五十五年には、冷害の影響により農業所得は前年をさらに下回って推移しておりますが、農業共済金の早期支払い、農外所得の増加等により農家総所得はなお増加しております。

 水田利用再編対策は、五十四、五十五年度とも目標を上回って実施され、麦、大豆、飼料作物等の作付が大幅に増加しておりますが、今後とも転作等の一層の推進と定着化を図ることが必要となっております。

 農業構造の面では、借地による農地流動化の兆しが見られ、基幹男子農業専従者のいる農家を中心に規模拡大など、経営の発展を図る動きが見られます。

 このような農業の動向の中で、農政の当面する重要な課題は、

 第一に、農業生産の再編成等を通じ、総合的な食糧自給力の維持強化を図ること、

 第二に、農産物価格及び農業生産資材価格の安定を図るとともに、流通加工の合理化を進めること、

 第三に、農地の流動化等農業構造の改善を一層推進するとともに、農村の計画的整備を図ることであります。

 このような最近の農業の動向を踏まえ、五十六年度の施策としては、食糧の総合的な自給力の維持強化を図ることを基本として、地域の実態に即した構造政策の推進、需要の動向に即応した農業生産の振興、農業生産基盤の整備、住みよい農村の建設と農業者の福祉の向上、農産物の価格安定、流通加工の合理化と消費者対策の充実、農業技術の開発と普及事業の拡充、備蓄対策の推進、国際協力の推進等、各般の施策を進めることとしております。

 第二に、林業について申し上げます。

 まず、木材需要は、五十四年には増加したものの、五十五年には住宅建設の著しい不振から減少が見込まれております。一方、供給は、外材のシェアが七割近くを占め、その内容については製材品輸入の増加が目立っております。

 次に、木材価格は、五十四年から五十五年にかけて大幅な上昇と下落を示しましたが、五十五年の価格の下落、取引量の縮小は木材流通加工部門に深刻な不況をもたらしております。

 林業生産活動につきましては、五十四年には、丸太生産量は増加しましたが、造林は依然として減少を続けております。また、五十五年末から五十六年初めにかけて、東北、北陸地方を中心に大規模な雪害が発生し、その早期の復旧が課題になっております。

 さらに、現在不況に見舞われている木材流通加工部門につきましては、木材需給両面のさまざまな変化に対応し、住宅部門との連携、間伐材の有効活用等により、合理化、近代化の方向を見出していくことが必要となっております。

 このような状況のもとで、今後の重要課題は、

 第一に、間伐の促進等、森林資源の整備と国土

 保全対策の充実を図ること、

 第二に、木材の需給及び価格の安定と国産材供給体制の整備を図ること、

 第三に、活力ある山村の育成と林業の担い手対策の充実整備を図ること

であります。

 以上のような最近の林業の動向を踏まえ、五十六年度におきましては、林業生産の増進、林業構造の改善、林産物需給の安定及び流通加工の合理化、林業の担い手対策の強化、国有林野事業の経営改善等、各般の施策を推進することといたしております。

 さらに、雪害につきましては、先般、いわゆる激甚災害法の一部改正をいただき、森林災害復旧事業が制度化されたところであり、その適切な運用により森林被害の早急な復旧を図る所存であります。

 第三に、漁業について申し上げます。

 最近におけるわが国漁業をめぐる情勢は、海洋新秩序の形成が進む中で、水産物需要の停滞、燃油価格の高騰など、きわめて厳しいものがあります。

 水産物の生産量は、一千万トンの水準を維持しておりますものの、今後、その安定的供給を確保していくためには、わが国沿岸域での生産振興と、きめ細かい漁業外交が必要となっております。

 水産物の需要は、経済の安定成長への移行の中で、食生活の変化などによりその伸びは鈍化し、今後は消費者の嗜好に合った水産物を安定した価格で供給していくことが重要となっております。

 一方、漁業経営は、燃油高騰の影響の浸透により厳しい環境に直面しております。

 このような状況のもとで、今後の重要課題は、

 第一に、わが国周辺漁業の振興、きめ細かい漁業外交の展開等と流通加工の合理化を進めること、

 第二に、漁業経営の合理化を図るとともに、生産構造の再編について取り組むこと、

 第三に、豊かな漁村づくりと漁業従事者の福祉の向上を図ること

であります。

 以上のような最近の漁業の動向を踏まえ、昭和五十六年度におきましては、わが国周辺水域における漁業の振興、水産業経営対策の充実、漁業生産基盤の整備と豊かな漁村の建設、海洋水産資源の開発と海外漁場の確保、水産物の流通加工、価格、消費対策等の充実、漁業従事者の養成確保と福祉の向上、漁場環境保全対策等、各般の施策を進めることとしております。

 以上をもちまして、農業、林業及び漁業の各年次報告並びに講じようとする施策の概要の説明を終わります。

 続いて、食糧管理法の一部を改正する法律案の趣旨説明を申し上げます。

 食糧管理法は、昭和十七年に制定されて以来、戦中戦後を通じ、そのときどきの食糧事情等の変化に対応しつつ、国民食糧の確保と国民経済の安定に重要な役割りを果たしてまいりました。このような基本的役割りは、中長期的には楽観を許さない食糧事情を考慮すれば、今後ともなお重要な意義を有するものと考えられます。

 しかしながら、食糧管理法は、食糧の絶対的不足時を念頭に置いて制定されているため、厳格な配給制度に見られるように、消費者需要の多様化等、現下の種々の経済環境の変化に弾力的に対応しがたい側面を有するとともに、規制内容と経済実態の乖離が生じ、法律の条項が遵守されがたいという問題も生じております。

 したがって、政府が、国民の必要とする米穀を自主流通米も含めて管理するという現行制度の基本は維持しつつ、需要動向や流通実態に即応し、過剰、不足いかなる需給事情の変動にも的確に対応し得るよう管理制度の内容を改正する必要があります。これにより、稲作農業の安定を図りつつ、国民の必要とする主食たる米穀を安定的に供給するという食糧管理制度の基本的役割りを、今後とも政府が責任を持って全うすることが可能になるものと考えております。

 以上の理由により、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主な内容につき、御説明申し上げます。

 第一は、通常時における厳格な配給制度の廃止及び緊急時における配給の実施等のための規定の整備であります。

 現行制度における消費者までの配給割り当て及びこれを基礎とした配給計画並びにこれらを担保するための購入券規制を内容とする厳格な配給統制につきましては、通常の需給事情のもとでは存続させる意義が認められず、また、国民一般にとって遵守しがたい規制となっておりますので、これを廃止することとしております。

 しかしながら、需給が逼迫するなどにより米穀の安定供給に著しい障害が生ずるような事態においては、現行制度のような公平配分の考え方に基づく配給統制の仕組みを発動し得ることとし、このための所要の規定を設けることとしております。

 第二は、需給調整その他の法目的遂行のための米穀の管理に関する基本計画の樹立及び消費者に対する米穀の供給計画の策定であります。

 厳格な配給統制を廃止した状況のもとで国民に対する米穀の安定供給を実現していくためには、政府が生産者と消費者との間に立って、品質などの要素にも配慮しつつ、責任を持ってときどきの需給変動に対応するという考え方のもとに、政府の米穀の管理の方向づけを明確にする必要があります。

 このため、農林水産大臣は、毎年、米穀の管理に関する基本方針などを内容とする基本計画を樹立し、公表して、米穀の生産、流通、消費に関する基本的な指針とすることとしております。

 また、この基本計画に即して消費者に対する適正かつ円滑な米穀の供給を確保するため、農林水産大臣は、毎年、都道府県知事の意見を聞いて、都道府県段階までの米穀の具体的な供給計画を策定し、その概要を公表することとしております。

 第三は、米穀の流通業者の地位と責任の明確化であります。

 生産者から消費者までの米穀の流通を実際に担うのは集荷業者及び卸、小売の販売業者でありますが、品質面も含めた必要量の確保、価格の安定、流通の円滑化等による国民に対する米穀の安定供給を図る上で、これら流通業者の適正な活動を確保することが重要な意義を有することとなります。このため、集荷業者については農林水産大臣の指定、販売業者については都道府県知事の許可を要することとして、その地位と責任を法律上明確にするとともに、これら流通業者の効率的かつ活発な活動の展開を期待することとしております。

 第四は、これまで申し上げてまいりました主要な改正に伴い、またはこれらと関連して行う改正事項であります。

 すなわち、

 第一条の目的規定につきまして、その用語を今回の改正の趣旨に即したより適切な表現に改めること、

 自主流通制度につきまして、基本計画及び供給計画とも関連づけて法律上の位置づけを明らかにすること、

 政府の米穀の売り渡しの方法につきまして、随意契約を原則といたしますものの、例外的には競争契約にもよることができるという道を開くこと等の改正を行うこととしております。

 以上が、食糧管理法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

    —————————————

第94回国会衆議院会議録第21号4頁(昭和56年4月23日)〔亀岡高夫農林水産大臣発言・発言番号27〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 農林水産委員会昭和56年5月13日

まず案文を朗読いたします。食糧管理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、最近の食糧管理をめぐる諸清勢に的確に対処するため、全量管理を基本とする制度の根幹を堅持し、左記事項に留意しつつその運用に万全を期すべきである。記

一米穀の需給と管理の指針となる基本計画の策定に当たっては、米穀の生産、流通、消費の各方面にわたる関係者の意向を十分反映するよう努めること。なお、基本計画において定める米穀の需給見通しによって生産調整を強制しないこと。また、基本計画における品質別数量の見通し策定に当たっては、需要の動向に留意しつつ生産の地域特性にも十分配慮して行うこと。

二自主流通米については、本制度の基本である政府の全量管理の実効性を阻害しないよう対処するとともに、予約限度超過米の集荷、流通の適正化を図ること。

三政府買入価格の決定に当たっては、従来どおり法律の定めるところにより再生産を確保することを旨として定め、また、政府売渡価格については、同様に消費者の家計の安定を旨として定めること。

四米穀の流通秩序の正常化を図るため、不正規流通を行う者に対しては法の厳正な運用により取締りを強化すること。なお、縁故米・贈答米については、それに名を借りた不正規流通が発生しないよう適切な措置をとること。

五農協、生協等の協調により行われているいわゆる産地直売方式については、自主流通制度の枠内においてその円滑な実施を図ること。

六集荷、販売業者の特定に当たっては、地域の実情等に応じ新規参入を行う必要がある場合には、既存業者の営業にも考慮し混乱が生じないよう措置すること。

七米穀の消費拡大については、米飯学校給食の拡大、純米酒の推進、新規需要の開発等各般の施策を強力に推進すること。

八緊急時に配給制度を発動する場合において、国民が必要とする米穀の集荷に当たっては、生産者の理解と協力を前提として行うこと。

九備蓄については、将来にわたる国民食糧の安定供給に不安なからしめるよう現行方式の見直しを行うとともに適正数量を確保すること。

十食糧自給力強化に関する決議の趣旨をふまえ、食糧の輸入政策の適正な運用を図り、需要の動向に即応した国内生産の拡大を基本として食糧・農業政策の強力な展開を図ること。

十一エサ米の試験研究を促進するとともに、その実用化に努めること。

参議院 農林水産委員会昭和56年6月4日

する附帯決議(案)政府は、食糧管理制度が国民食糧を確保し、国民経済の安定を図る上で重要な役割を担っている実情にかんがみ、今後とも全量管理を基本とした制度の根幹を堅持するとともに、次の事項について万全を期すべきである。

一食糧・農業政策の遂行に当たっては、第九十一回国会における「食糧自給力強化に関する決議」の趣旨をふまえ、需要の動向に即応した国内生産の拡大を基本とし、食糧安全保障体制の確立を旨としてその強力な展開を図るとともに、食糧輸入政策はこれに即して適正に運用すること。

二米穀の管理に関する基本計画の策定に当たっては、米穀の生産、流通、消費の各方面にわたる関係者の意向が十分に反映されるよう適切な措置を講ずること。また、基本計画及び供給計画における米穀の需給見通しについては、それによって米の生産調整を強制することとならないよう定めるとともに、品質刑数量の見通しを定めるに当たっては、米生産の地域特性を十分に配慮すること。

三自主流通米の数量については、本制度の基本である政府の全量管理の実効性を阻害しないよう適正な水準を維持すること。なお、予約限度超過米の集荷、流通の適正化を図ること。

四米穀の政府質入価格の決定に当たっては、従来どおり法の定めるところにより、米穀の再生産を確保することを旨として定めるとともに、標準売渡価格については、同様に消費

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=109401064)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。