銀行法案
参議院 大蔵委員会
昭和56年法律第59号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
- S56.4.24趣旨説明大蔵委員会 2690
- S56.4.24趣旨説明・質疑本会議 2242
- S56.5.6質疑大蔵委員会 27230
- S56.5.8質疑大蔵委員会 28236
- S56.5.12参考人招致大蔵委員会 29234
- S56.5.13質疑・討論・採決・附帯決議大蔵委員会 30281
- S56.5.15委員長報告・採決・附帯決議本会議 2563
参議院大蔵委員会
- S56.5.15趣旨説明大蔵委員会 2120
- S56.5.18参考人招致大蔵委員会 22102
- S56.5.21質疑・討論・採決・附帯決議大蔵委員会 23449
- S56.5.25附帯決議・委員長報告・採決本会議 2056
提案理由
渡辺美智雄 大蔵大臣 昭和56年4月24日ただいま議題となりました銀行法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
わが国経済の安定成長への移行に伴う金融構造の変化等、銀行をめぐる経済社会情勢の変化は、著しいものがあります。このような変化に対応して銀行の健全経営の一層の確保を図るとともに、国民経済的、社会的に要請される銀行の機能の適切な発揮に資するよう銀行制度の整備改善を図ることが必要となっております。
このような状況を踏まえ、金融制度調査会は、昭和五十年以降四年間にわたる審議を行い、昭和五十四年六月に「普通銀行のあり方と銀行制度の改正について」の答申を行い、銀行法を全面的に改正するよう提言されました。この答申を受け、その後、政府部内において検討を進めてまいりました結果、今般、昭和二年に制定された現行銀行法の全部を改正することとし、ここに、この法律案を提出することとした次第であります。
以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
まず、第一に、目的規定を設けることとしております。
すなわち、この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、その健全かつ適切な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とすることとしております。また、この法律の運用に当たりましては、銀行の業務の運営についての自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならないことを明らかにしております。
第二に、銀行が営むことができる証券業務につきまして、所要の規定を設けることとしております。
銀行が営む証券業務につきましては、現行銀行法に明文の規定がないこともあって従来種々の議論があったところでありますが、金融制度、公社債市場、国債管理政策等の種々の面からの総合的な検討を踏まえ、銀行が、国債、地方債及び政府保証債、すなわちいわゆる公共債につきまして各種の証券業務を営むことができる旨を規定することといたしました。
第三に、大口信用供与規制に関する規定を設けることとしております。
銀行に対する大口信用供与規制は、昭和四十九年以降行われてきたところでありますが、この規制が銀行の資産運用の安全性の確保と銀行信用の広く適正な配分のために重要な役割を果たしていることにかんがみ、今回この規制に関し、所要の規定を設けることとするものであります。
第四に、銀行の休日に関する規定を弾力化することとしております。
これは、今後の経済社会情勢の推移に弾力的に対応できるよう、銀行の休日を、日曜日その他政令で定める日とするものであります。
第五に、銀行の営業年度につきまして、一年決算制を採用することとしております。
これは、昭和四十九年の商法改正以後、一般企業では、一年決算制を採用するものが大勢を占めるようになっておりますので、銀行につきましても、現行の半年決算制を一年決算制に改めることとするものであります。
第六に、業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧に関する規定を設けることとしております。
すなわち、銀行が業務及び財産に関する説明書類を主要な営業所に備え置き公衆の縦覧に供するものとすることにより、自主的かつ創造的な努力を通じ、銀行が社会的要請に適切に対応するよう促すものであります。
第七に、外国銀行に関する規定を整備することとしております。
近年、金融面におきまして急速に国際交流が進み、これを背景に外国銀行のわが国への進出が増加している状況にかんがみ、外国銀行支店等に対する銀行法の適用の仕組みを明らかにし、もって関係者の理解に便ならしめるとともに、外国銀行について適正な規制を行おうとするものであります。
このほか、本法案におきましては、監督、合併または営業の譲渡、廃業及び解散等につきましても、それぞれ規定の整備を図ることとするとともに、この全部改正の機会に、現行のかたかな書きの法文をひらがな書きに改めることとしております。
第94回国会衆議院大蔵委員会議録第26号12頁(昭和56年4月24日)〔渡辺美智雄大蔵大臣発言・発言番号86〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
銀行法の改正問題につきましては、金融制度調査会が大蔵大臣から「経済金融情勢の推移にかんがみ、銀行に関する銀行法その他の法令及び制度に関し改善すべき事項並びにこれらに関連する事項について、」意見を求める旨の諮問を受け、審議を開始して以来、実に六年、答申が出されてからでも二年を経過した今日、昭和二年に制定されて以来半世紀にわたり機能してまいりました現行銀行法の全文を改正することとする銀行法案が、ようやくここに、当委員会において可決されました。この間、国民各層、各界から多くの意見が開陳され、また、当委員会におきましても、あらゆる機会を通じて、金融制度のあり方等について論議を重ねてきたところであります。今回の法案審議に当たりましても、銀行の公共性と社会的責任、大口信用供与規制の適正な実行、ディスクロージャー制度のあり方、銀行の証券業務の意義と認可の時期等について熱心な質疑応答が交わされてきました。ただいま可決されました新銀行法が成立、施行されることによりまして、銀行が、金融構造の変化等に対応して、健全経営を一層確保しながら、国民経済的、社会的要請に適切にこたえていくことが期待されるのでありますが、何と申しましても、新銀行法の目的とするところを適確に実現していくためには、一に、この法律が、いかに適時、適切に執行されるかにかかっていると申しても過言ではなかろうと考える次第であります。本附帯決議案は、かかる観点から、政府において、銀行法その他の関係法律の運用に当たって特に配慮すべき諸点を取りまとめたものであります。個々の事項の内容につきましては、案文の文言で十分御理解いただけるものと考えますので、その朗読によって内容の説明にかえさせていただきます。銀行法案に対する附帯決議(案)近年における我が国の経済社会構造の変化、国際化の進展等に伴い、銀行その他の金融機関は、その健全かつ効率的な業務の運営を通じ、公共的機能を一層適切に発揮することが緊要である。よって銀行法その他関係法律の運用に当たっては、次の諸点に特に配慮すべきである。
一国民の社会的ニーズにこたえるよう個人金融の拡大を図るとともに、中小企業金融の円滑化のため、引き続き条件整備に努めること。
一証取法上の認可に当たっては、国民経済的視点に立ち、直接金融・間接金融の現状、今後の見通しなどを検討し、混乱のないよう慎重に措置すること。
一大口信用供与規制については、制度の趣旨を踏まえ、適正な実行を確保すること。
一業務及び財産の状況に関する開示制度の充実強化に努め、自主的かつ積極的な対応を促進ずること。
一金融機関の週休二日制を速やかに実施するため、郵便局・農協等預貯金業務を行う諸機関を含め必要な体制を具体的に整え、金融機関利用者の理解を得られるよう積極的に努力すること。
一国際化の進展にかんがみ、金融商品の多様化を図る観点から、コマーシャル・ペーパー等についても前向きに法制面、実務面の検討を進めること。
金融制度の整備改善に伴い、銀行その他の金融機関にあっては、健全かつ適切な経営に徹し、もって預金者の保護をはじめ、各般の国民経済的、社会的な要請に十分に応える必要がある。よって、政府は、金融機関の監督指導に当たり、次の諸点に特に配慮すべきである。
一社会的公正の確保に資するため、個人、中小企業等との取引の適正化を進めるとともに、これらの者に対して融資を受ける機会が公正に提供されるよう配慮すること。
一証券業務については、国民経済的な見地に立ち、制度の趣旨に即して適正にその運用を行うこと。
一大口信用供与規制については、制度の趣旨を踏まえ、適正な実行を確保すること。
一業務及び財産の状況に関する開示制度については、銀行業務の大衆化・多様化の現状にかんがみ、資産の運用の状況等について適正な開示が行われるよう十分に配慮すること。
一金融機関の週休二日制については、今後その早期実施を図るため、積極的に経済・社会環境の整備に努めること。
一金融の国際化の進展に対処して、国際業務に関する既存の指導基準を適時適切に見直すこと等をも含め、わが国の諸制度・慣行と調和のとれた健全な内外交流の推進に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=109401066)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。