特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案
参議院 商工委員会
昭和58年法律第53号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S58.3.2趣旨説明・質疑商工委員会 445
- S58.3.9参考人招致商工委員会 6153
- S58.3.22質疑商工委員会 7190
- S58.3.23質疑・修正案趣旨説明・討論・附帯決議・採決・修正案商工委員会 8386
- S58.3.24委員長報告・採決・附帯決議本会議 1450
参議院商工委員会
- S58.4.12趣旨説明・補足説明・質疑商工委員会 7230
- S58.4.19質疑商工委員会 8255
- S58.4.26質疑・修正案趣旨説明・討論・附帯決議・採決・修正案商工委員会 10213
- S58.4.27附帯決議・委員長報告・採決本会議 1234
提案理由
山中貞則 通商産業大臣 昭和58年3月2日特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
特定不況産業安定臨時措置法は、第一次石油危機に起因する大幅な需給の不均衡等の経済的事情の著しい変化に対処するため、いわゆる構造不況産業について過剰設備の処理等を計画的に行うことにより、その不況の克服と経営の安定を図ることを目的として、昭和五十三年五月に制定されたものであり、本年六月末をもって廃止されるものとなっております。
同法の制定以来、対象となった業種においては、設備処理が計画的に実施され、所期の効果を上げつつありましたが、その途上で第二次石油危機が発生したために基礎素材産業を中心として再び設備の過剰が生じ、経営不安定に陥る等構造的問題が顕在化するに至っております。このような基礎素材産業は、優秀な素材を川下の加工組み立て型産業等に供給することを通じて、わが国の産業構造の高度化を支えるとともに、雇用、関連中小企業、地域経済の安定にとっても重要な役割りを果たしており、その直面する構造的な問題を解決し、経済合理性を回復していくことは、今後のわが国経済の発展、国民生活の安定を図るために緊急の課題となっております。このため、特定不況産業安定臨時措置法の廃止期限を五年間延長し、従来より実施してまいりました設備の処理等に関する措置に加え、事業提携、原材料・エネルギーコストの低減のための設備投資等の措置を計画的に行うことにより、早急に基礎素材産業の構造改善を推進する必要があり、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨について御説明申し上げます。
第一に、題名を「特定産業構造改善臨時措置法」と改めるとともに、法の目的を「特定産業の構造改善」に改めることとしております。
第二は、法律による措置の対象となる業種の指定についてであります。
業種の指定については、事業者の自主性を尊重するため、現行法と同様二段階指定方式をとっております。すなわち、まず最初に、対象候補業種として、電炉業、アルミ製錬業、化学繊維製造業、化学肥料製造業、合金鉄製造業、洋紙製造業及び板紙製造業、石油化学工業の七業種を法定するほか、原材料・エネルギー多消費型の業種で構造改善が必要なものを昭和五十九年末までに政令で追加指定することとしております。次に、これらの対象候補業種のうち、大部分の事業者の申し出があったものについては、特定産業として政令で指定し、法律による措置の対象とすることとしております。
第三は、構造改善基本計画の作成についてであります。
主務大臣は、特定産業ごとに、産業構造審議会等関係審議会の意見を聞いて、目標年度における構造改善の目標、設備の処理等に関する事項、事業提携に関する事項、原材料・エネルギーコスト低減のための設備投資に関する事項、雇用の安定のための措置等に関する事項を内容とする構造改善基本計画を定めることとしております。
第四に、主務大臣の指示に従って行われる設備の処理等に係る共同行為を独占禁止法の適用除外とする現行制度を継続することとしております。
第五は、生産、販売の共同化、合併等の事業提携についてであります。
主務大臣は、事業者が構造改善基本計画に従って作成した事業提携計画について独占禁止法上の問題が生ずることのないよう公正取引委員会と意見を調整した上で承認をし、この承認をした事業提携計画に基づく事業提携について、税制上、金融上の特例措置を構ずることにより、事業の共同化等が円滑かつ迅速に進められるようにしております。
第六に、特定不況産業信用基金を「特定産業信用基金」と改称するとともに、その業務を拡充することとしております。
その他、特定産業の構造改善のために必要な資金の確保、課税の特例に係る規定を設けるとともに、雇用の安定、関連中小企業の経営の安定に係る規定、主務大臣と労働大臣の協力規定等について所要の整備を行うこととしております。
これらの施策は、基礎素材産業の構造改善に必要不可欠のものであり、基礎素材産業をめぐる事態の重大性及びその対策の緊急性にかんがみ、ぜひとも早急に本法案の制定を図ることが必要であると信ずる次第であります。
以上が、この法案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
第98回国会衆議院商工委員会議録第4号1頁(昭和58年3月2日)〔山中貞則通商産業大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当たり、現下の基礎素材産業をとりまく経営環境の深刻な事態にかんがみ、今後の情勢の変化をも踏まえ、総合的かつ機動的な経済対策の一層の展開を図るとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一本法による特定産業の構造改善は、開放経済下における産業調整のための臨時的な措置であることにかんがみ、事業者の自助努力を前提として対策を進めるよう留意すること。
二構造改善の効果的な推進を図るため、内外情勢の進展に対応する産業構造の変化を踏まえ、構造改善基本計画、特に目標年度における構造改善の目標については、当該産業の将来展望を基礎とする適確なものを示すよう留意すること。
三構造改善の推進に当たっては、構造改善基本計画の策定に際し、関係審議会において極力広範に関係労働組合の意見を聴くよう努め、当該特定産業の関連中小企業等の労働者をも含めた雇用の安定に最大限の考慮を払い、失業の予防及び離職者対策に万全を期するとともに、地域経済の振興及び雇用の創出に努めること。
四設備の処理に当たっては、業種の実情に応じ、当該産業の再活性化に資するよう、企業の実態、設備の生産性、効率性に考慮を払い、可能な限り画一的な処理を避ける等適切な実施に努めるとともに、設備処理の実効を十分確保するため、共同行為に参加しない事業者に対しても強力な行政指導を行うこと。
五事業提携に関する実施大綱の作成及び計画承認制度の運用に当たっては、独占禁止法及び本法の立法趣旨を踏まえ、当該特定産業をとりまく経済環境、その競争実態、構造改善の必要性等に照らし、厳正かつ適確に行うこと。なお、事業提携計画の申請に際しては、その内容により、当該事業者において関係労働組合の意見を十分聴取するよう指導すること。
六特定産業における合併等事業提携の審査に関する基準を公表するに当たっては、許容される限り明確な基準となるよう努めること。
七原燃料コストの増大が特定産業に重大な影響を与えている事実にかんがみ、総合的観点からその低減化のための適切な措置を講ずること。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な対策を講ずべきである。
一本法による特定産業の構造改善については、事業者の自助努力を前提として進めるとともに、開放経済下における産業調整のための臨時、補完的な措置としてこれを行うこと。
二構造改善を効果的に進めるため、構造改善基本計画、特に目標年度における構造改善の目標については、当該産業の将来展望を基礎とする適確なものとするよう留意すること。なお、内外情勢の進展に対処する産業構造の将来展望をできるだけ速やかに明らかにするよう努めること。
三構造改善の推進に当たっては、構造改善基本計画の策定に際し、審議会は、当該特定産業の関連中小企業等にかかわる労働者の立場をふまえた関係労働組合の意見をきくとともに、当該労働者をも含めた雇用の安定、労働条件の維持、改善に最大限の考慮を払い、地域経済の振興に寄与するものであるよう配慮すること。
四設備の処理に当たっては、業種の実情に応じ、機械的一律的廃棄を避けるなど、適切な実施に努めること。
五事業提携に関する実施大綱の作成及び計画承認の運用に当たっては、独占禁止法及び本法の趣旨を逸脱しないよう、当該特定産業をとりまく経済環境、その競争実態、構造改善の必要性等に照らし、厳正かつ適確に行うこと。なお、事業提携計画の申請に際しては、当該事業者が関係労働組合と十分所要の話し合いを行うよう指導すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=109801030)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。