特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案
参議院 商工委員会
昭和61年法律第4号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S61.2.12趣旨説明・質疑・採決・修正案趣旨説明・附帯決議・修正案商工委員会 2234
- S61.2.13委員長報告・採決・附帯決議本会議 647
参議院商工委員会
- S61.2.14趣旨説明・質疑・修正案趣旨説明・附帯決議・採決・修正案商工委員会 2224
- S61.2.15附帯決議・採決・委員長報告本会議 530
提案理由
渡辺美智雄 通商産業大臣 昭和61年2月12日特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年の中小企業を取り巻く環境は、国際面におきましては、新興工業国等における国際競争力の向上、諸外国の保護主義の高まり等によりその厳しさを増しております。また、国内面においても急速な技術革新、情報化の進展等著しく変化してきております。これらに加えまして、近時の円相場の高騰は、輸出型産地中小企業を中心に極めて大きな影響を与えるとともに、外国製品に関する市場開放の促進とも相まって競合品の輸入を増大させ、中小企業に大きな影響を与えることが予想されます。
政府といたしましては、中小企業が持ち前の活力を発揮し、このような環境変化に積極的に対応していけるよう所要の対策を講ずることにより、我が国経済の国際経済環境と調和のある健全な発展を図っていくことが重要であると認識しております。このような観点から、昨年十二月二日以来、とりあえず、円相場の高騰により大きな影響を受ける中小企業の経営を緊急に安定させるため、特別融資制度を柱とする中小企業特別調整対策を実施し、また、本年に入り特別融資制度の貸付金利を五・五%とする等その充実を図ってまいりました。
しかしながら、さらに、この中小企業の緊急経営安定対策を一層拡充強化して、中小企業の環境変化への対応に時間的余裕を与えるとともに、かかる厳しい環境変化への適応を円滑にするため、中小企業に対する人材の養成等の近代化施策の推進に加え、特に中小企業の事業転換への自主的努力を強力に支援する必要があると判断し、本法案を提案申し上げた次第であります。
次に、この法案の要旨を御説明申し上げます。
まず、貿易構造その他の経済的事情の著しい変化によって影響を受けている中小企業者を「特定中小企業者」として定義し、かかる「特定中小企業者」に対して事業転換、緊急経営安定等のための対策を講ずることとしております。
第一に事業転換対策であります。特定中小企業者が事業の転換を行おうとする場合または特定中小企業者を構成員とする組合等が構成員の事業転換を円滑化するための事業を行おうとする場合には、それぞれ事業転換計画、事業転換円滑化計画を作成し、都道府県知事の承認を受けることができることとし、かかる承認を受けた特定中小企業者及び組合等に対して金融上及び税制上の措置を講じます。措置の具体的内容は、付保限度額の別枠設定等中小企業信用保険の特例措置、組合等及びその構成員に対する試験研究関連税制の特例措置並びに特定中小企業者に対する事業所税等の特例措置であります。
第二に緊急経営安定対策であります。特定中小企業者が円相場の高騰等最近の貿易事情その他の国際経済に係る事情の急激な変化によって影響を受けている場合には、都道府県知事の認定を受けることができることとし、かかる認定を受けた特定中小企業者に対して、経営を緊急に安定させるため金融上及び税制上の措置を講じます。措置の具体的内容は、中小企業設備近代化資金の償還期間の延長措置、付保限度額の別枠設定等中小企業信用保険の特例措置及び法人税の繰り戻し還付についての特別の措置であります。
このほか、特定中小企業者が国際経済環境等の変化に円滑に適応できるよう、近代化施策の推進、資金の確保、雇用の安定、事業転換等の実施に関する指導及び助言について規定するとともに、特に影響の大きい産地について施策面での配慮を行うこととしております。
なお、現下の国際経済情勢にかんがみ、この法律に基づく措置を実施するに当たっては、国際経済環境等に対し十分配慮することとしております。
以上が、この法案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
第104回国会衆議院商工委員会議録第2号6頁(昭和61年2月12日)〔渡辺美智雄通商産業大臣発言・発言番号17〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当たり、昨年来の急激、かつ、大幅な円相場の高騰等、内外の厳しい環境下にある中小企業、とりわけ輸出型産地中小企業者の深刻な実情にかんがみ、情勢の推移に応じ施策の見直しを行い、その拡充強化に努めるとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一特定中小企業者に関する業種指定等に当たっては、今後さらに事業転換が要請される構造的要因の変化をふまえ、実態に即しできる限り広い範囲の中小企業者が対象となるよう配慮すること。
二事業転換の円滑な遂行とその成果を期するため、転換計画の承認について弾力的な運用を行うとともに、転換に当たっては、当該中小企業者に雇用される労働者の意見が反映されるよう指導すること。
三緊急経営安定対策の対象となる特定中小企業者に関する業種の指定等に当たっては、輸出産地や業種の実情に応じ、弾力的な基準に基づいて行うよう配慮するとともに、認定を受ける特定中小企業者の認定基準についても弾力的に定めるよう留意すること。
四特定中小企業者の金融の円滑化を図るため、国際経済調整対策等特別貸付制度の貸付条件の緩和に努めるとともに、中小企業高度化資金貸付金、政府系中小企業金融機関等の貸付金の返済猶予についても中小企業者の実情に応じ弾力的に措置するよう検討すること。
五特定中小企業者の事業転換及び円高等による経営への影響は、当該特定中小企業者に雇用される労働者の利害に重大な関係を有するものであることにかんがみ、雇用の安定、生活の安定等に最大限の措置を講ずるよう努力すること。
政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一近年における経済的事情の著しい変化によって深刻な影響を受けている中小企業者に対する振興・助成施策の一層の拡充、推進を図ること。
二本法第二条及び第九条による業種の指定にあたっては、弾力的、機動的に対処すること。
三政府系中小企業金融機関等による国際経済調整対策等特別貸付が行われるにあたっては、その担保条件等について弾力的運用がなされるとともに、融資手続等の迅速化が図られるよう指導すること。
四今後とも国際経済調整対策等特別貸付制度の貸付条件の緩和に努めるとともに、政府系中小企業金融機関等の貸付金の返済猶予についても中小企業者の実情に応じ弾力的に措置するよう検討を加えること。
五特定中小企業者が事業の転換を行いあるいは事業活動の縮小を余儀なくされた場合に必要な雇用安定対策については万全の努力を傾けるとともに、事業転換計画の承認にあたっては、できる限り労働者の意見が反映されるよう都道府県を指導すること。
六事業の転換の実施について必要な指導及び助言を行うにあたっては、関係機関の協力を得て総合的に実施するよう都道府県を指導するとともに、これに対する国の助成を充実するよう努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110401012)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。