中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
衆議院 社会労働委員会
平成2年法律第39号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- H2.5.25趣旨説明社会労働委員会 6255
- H2.5.29質疑・附帯決議・採決社会労働委員会 7172
- H2.5.31委員長報告・採決・附帯決議本会議 2025
参議院社会労働委員会
- H2.6.1趣旨説明社会労働委員会 5335
- H2.6.14質疑・附帯決議・採決社会労働委員会 8311
- H2.6.15附帯決議・委員長報告・採決本会議 1553
提案理由
塚原俊平 労働大臣 平成2年5月25日ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
中小企業退職金共済法は、中小企業の労働者の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的として、昭和三十四年に制定されたものであります。
その後、本制度は着実に発展し、一般の退職金共済制度に加入している事業主の数は約三十六万、加入労働者数は約二百四十三万人に達しており、本制度は、中小企業の労働福祉対策の主要な柱の一つとなっております。
ところで、我が国における退職金制度の現状を見ますと、大企業ではあまねく普及を見ているものの、中小企業においてはその普及状況及び内容はいまだ必ずしも十分なものとは言いがたい実情にあります。
また、最近における経済社会情勢を見ると、賃金、退職金水準の上昇、短時間労働者の増加、金利情勢の変動、高齢化の進展等の変化が見られるところであります。
このため、このような本制度の経緯及び現状を踏まえ、経済社会情勢の変化に対応しつつ、長期的に安定した制度としてその一層の充実を図ることが必要となっております。
政府は、このような観点から、本制度について所要の改善を行うこととし、先般、中小企業退職金共済審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
第一は、掛金月額の最低額及び最高額の引き上げであります。
現行制度では、掛金月額の最低額は三千円、最高額は二万円となっておりますが、賃金、退職金水準の上昇等を勘案し、退職金給付水準の向上に資するため、掛金月額の最低額を四千円に、最高額を二万六千円にそれぞれ引き上げることとしております。
第二は、短時間労働被共済者に係る掛金月額の最低額の特例の設定であります。
現行制度では、短時間労働者が本制度に加入する場合には通常の労働者と同様の掛金月額の範囲内から掛金月額を選択して加入することとされていますが、通常の労働者を前提として設定された掛金月額の最低額は高過ぎる場合があることから、短時間労働被共済者については掛金月額の最低額を二千円とし、その加入促進を図ることとしております。
第三は、付加退職金制度の導入であります。
現行制度では、退職金の額は、掛金月額及び掛金納付月数に応じて一定の金利の運用収入を前提として計算された現行法別表のみにより定まる額とされていますが、最近における金利情勢等のもとで、共済制度の安定を維持するため、退職金の額は、掛金月額及び掛金納付月数に応じて定まる基本退職金の額に金利の変動に応じて定まる付加退職金の額を加えた額とすることとしております。
第四は、分割支給制度の導入であります。
現行制度では、退職金は一時金として支払われることとされていますが、高齢化の進展の中で、老後生活の安定化に資するため、被共済者の請求により退職金を分割して支給することができるものとすることとしております。
この法律案の主たる改正内容は以上のとおりでありますが、この法律の附則におきましては、この法律の施行の際被共済者である労働者に関して、最低掛金月額までの掛金月額の引き上げについて一定の猶予期間を置くこと及び施行日前に加入した被共済者で施行日以後に退職した者に係る退職金の額は、掛金のうち施行日前における掛金月額の最高額を超える部分について新法により算定した額と、それ以外の部分について従前の算定方法により算定して得た額の合算額とすること等の経過措置を定めるとともに、その他これらの改正が円滑に実施されるよう所要の経過措置を規定しております。
なお、この法律のうち掛金月額の最低額の引き上げに係る規定は平成三年十二月一日から、その他の規定は平成三年四月一日から施行することとしております。
以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第118回国会衆議院社会労働委員会議録第6号24頁(平成2年5月25日)〔塚原俊平労働大臣発言・発言番号253〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、中小企業労働者と大企業労働者との間の労働条件、労働福祉等の面での格差を縮小する必要があることにかんがみ、中小企業労働者の労働条件、労働福祉等を改善・充実するための施策を総合的に推進するとともに、中小企業退職金共済法の改正施行に当たっては、退職金制度が高齢化社会において労働者の老後保障の機能をもつものとして今後一層重要な役割を果たすことに十分留意しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
一中小企業退職金共済制度の適用拡大を図るため、地方公共団体への協力要請、相談体制の整備等加入促進対策を積極的に推進すること。
二増大するパートタイマー等の労働条件及び生活実態を踏まえ、これらの労働者の中小企業退職金共済制度への加入促進対策を積極的に推進するとともに、制度の改善に関する研究を進めること。
三中小企業退職金共済制度の安定・充実のため、資産運用については、その安全の確保に留意しつつ、効率化を図ること。
四特定業種退職金共済制度についても加入促進策を強化するとともに、引き続き共済手帳の交付及び共済証紙の貼付の履行確保に必要な措置を講ずること。
政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
一高齢化の進展を踏まえ、重度障害者等に対する介護に係る補償のあり方を含め被災労働者の介護施策について、積極的に検討を進めること。
二長期療養者に対する給付については、これまでの国会における審議の経過を踏まえ、個々の被災者の症状の推移に即し、主治医の意見を尊重して、適切に行うこと。
三治ゆ後の医療措置を対象とするアフターケア制度、社会復帰援護制度等の拡充等を図るとともに、職業安定機関、職業能力開発機関等との連携のもとに、被災労働者の早期社会復帰の促進に努めること。
四給付基礎日額の最低保障額を最近の賃金水準の上昇の推移にかんがみ早急に引き上げるとともに、引き続きその改善に努めること。また、各種給付における被災時年齢等による不均衡の問題については、年功賃金体系にない労働者や高齢者の問題に留意しつつ、引き続き検討を進めること。
五業務に起因する脳・心疾患による突然死を予防する観点から、業務との関連について医学的な調査・研究を進めるとともに、職場における健康管理施策及び労働時間の短縮を積極的に推進すること。また、脳・心疾患に係る突然死の業務上外の認定については、医学的知見の動向に十分注意を払いつつ、適切な運用に努めること。
六労働組合の一人専従役員については、特別加入できるよう検討を進めること。
七労働災害の防止、強制適用事業における未手続事業の解消、保険給付の認定・審査請求処理の迅速化等を図るため、関係職員の増員を含め行政体制の充実強化を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=111801040)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。