健康保険法等の一部を改正する法律案
参議院 厚生委員会
平成6年法律第56号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院厚生委員会
- H6.6.3趣旨説明厚生委員会 6179
- H6.6.8質疑厚生委員会 7107
- H6.6.10参考人招致厚生委員会 856
- H6.6.14質疑厚生委員会 998
- H6.6.17質疑・討論・修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議・修正案厚生委員会 1066
- H6.6.21委員長報告・採決(修正)・附帯決議本会議 2932
参議院厚生委員会
- H6.6.22趣旨説明・質疑・討論・附帯決議・採決厚生委員会 8255
- H6.6.22趣旨説明・質疑本会議 24101
- H6.6.23委員長報告・採決・附帯決議本会議 2547
提案理由
大内啓伍 厚生大臣 平成6年6月3日ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
人口の高齢化の進展や疾病構造の変化、医療サービスに対する国民のニーズの多様化、高度化など、我が国の保健、医療、福祉を取り巻く状況が大きく変化いたしております。こうした中、公的医療保険制度について、疾病、負傷に伴い発生する経済的な不安の解消という基本的な役割を維持しつつ、国民のニーズに対応した医療サービスの多様化や質の向上を図るとともに、老人保健福祉サービスについてその充実に努めることが重要な課題になっております。
今回の改正は、こうした課題にこたえ、医療保険制度を通じ、良質かつ適切な医療を、効率的かつ安定的に提供していくとともに、老人保健福祉施策の総合的推進を図るため、保険給付の範囲、内容等の見直しを行い、必要な措置を講じようとするものであります。
以下、この法案の主な内容について御説明申し上げます。
第一は、健康保険法等の改正であります。
まず、付添看護に伴う患者負担の解消であります。保険医療機関における看護サービスを充実し、保険外負担の中核をなす付添看護を解消するため、入院時の看護サービスは、保険医療機関がみずから提供するものとして法文上明確に位置づけることとしております。ただし、現行の付添看護の費用に対する給付は、原則として、平成七年度末までの間に限り行うことができるものとしております。
次に、在宅医療の推進であります。在宅医療に対するニーズの高まりを踏まえ、居宅における療養上の管理及び看護を保険医療機関の行う療養の給付止して法文上明確に位置づけるとともに、難病や末期がんの患者等が、居宅において訪問看護事業者による訪問看護サービスを受けられるよう新たな制度を導入することとしております。
さらに、入院時の食事に関する給付の見直しであります。
入院時の食事の質の向上を図るとともに入院と在宅との負担の公平を図るため、入院時の食事については、これまでの給付の方式を改め、新たに入院時食事療養費を支給する制度を創設することとしております。これに伴い、低所得者への適切な配慮を行いつつ、入院患者には平均的な家計における食費の状況を勘案した相応の費用として定額の費用の支払いをお願いすることとしております。
また、子供が健やかに生まれ育つ環境づくりを図る観点から、現行の分娩費と育児手当金を包括化し、出産育児一時金として大幅な給付改善を図るとともに、育児休業期間中の保険料の負担軽減を図るため、被保険者負担分を免除することとしております。
このほか、保健福祉事業め推進を図るための規定の整備等を図るほか、船員保険法についても所要の改正を行うこととしております。
第二に、国民健康保険法の改正であります。
健康保険法に準じた改正を行うほか、規制緩和の観点から療養取扱機関等の仕組みを廃止するとともに、市町村間の医療費負担の公平を図るため、特別養護老人ホーム等への入所のため他の市町村に転入した者について、転入前の市町村の国民健康保険の被保険者とすることとしております。
第三に、老人保健法及び老人福祉法の改正であります。
健康保険法に準じた改正を行うほか、平成十一年度末までの間、保険者からの拠出金を財源として、老人保健施設整備に対する助成等の事業を行うこととしております。
また、老人保健福祉サービスについて、市町村による総合的な情報提供、サービスの質の評価等利用者本位のサービス提供体制の整備を図るとともに、高齢者保健福祉のあり方を総合的に審議するため、老人保健福祉審議会の創設を行うこととしております。
最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、平成六年十月一日からとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第129回国会衆議院厚生委員会議録第6号29頁(平成6年6月3日)〔大内啓伍厚生大臣発言・発言番号175〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
一付添看護の解消に伴う基準看護制度の見直しに当たっては、看護・介護職員について診療報酬上遭切な評価を行うとともに、重篤・術後の患者について評価を検討するなど、看護の質の低下を招くことのないよう適切に配慮すること。
二付添看護に係る保険外負担の解消については、看護・介護職員の院内化の円滑な促進が図られるよう適切な配慮を行いつつ、また、付添婦及びその紹介に携わる事業者が院内化の動向に適切に対応できるよう、弾力的な雇用形態に対する診療報酬上の評価など着実な実施のための所要の措置を講ずること。また、必要に応じ付添看護の解消の状況等の実態を調査し、その結果を踏まえ、所要の措置を講ずること。
三入院時食事療養費の定額自己負担を定めるに当たっては、市町村民税非課税世帯に属する者の負担が過重にならないよう、これらの者の入院が長期にわたる場合に配慮しつつ、適切な措置を講ずること。また、一般の食費負担額が、平均的な家計における食費の状況を勘案した額から経過的に六百円に軽減された趣旨を十分に踏まえ、市町村民税非課税世帯に属する者の負担についても、その入院が長期にわたる場合に配慮しつつ、経過措置を講ずること。
四入院医療における栄養指導の重要性に鑑み、栄養士によるベッドサイドでの栄養指導及び栄養管理に対する診療報酬上の評価など所要の措置を講じ、入院時の食事の改善を図ること。在宅医療充実のために訪問栄養指導についても診療報酬上の評価など所要の措置を講ずること。
五訪問看護、在宅歯科医療、在宅薬剤管理など、在宅医療の推進を図るため、診療報酬上の評価など所要の措置を講ずること。
六精神障害者の社会復帰のための各般の施策の拡充及び施設整備の計画的推進を図ること。その一環として診療報酬上の評価について検討を加えること。また、精神医療におけるマンパワーの確保について早急な検討を加えること。
七精神薄弱者の自立と社会参加を促進するため、各般の施策の推進を図るとともに、その障害の発生予防及び療育の推進を図ること。
八難病対策については、患者の実態を十分に踏まえ、施策全般にわたる見直しを行い充実を図ること。
九医薬品の適正な使用の推進を図るため、製薬企業における医薬品情報の収集・提供体制の充実及び医薬情報担当者の資質向上、医療機関における医薬品情報管理室の整備など医薬品情報の有効活用、医薬分業の推進等必要な施策の推進に努力すること。
十今後の高齢者の介護ニーズの増大・多様化等に応えていくため、総合プランとして新しいゴールドプランを策定し、その積極的推進に努めること。また、医療・福祉・年金等社会保障全般にわたる課題として、新たな介護システムの早急な確立に努めること。
対する附帯決議(案)政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努めるべきである。
一付添看護の解消に伴う基準看護制度の見直しに当たっては、看護・介護職員の配置について診療報酬上適切な評価を行うとともに、看護・介護の質の低下を招くことのないよう、事後の状況等の実態を調査し、その結果を踏まえ、所要の措置を講ずること。また、重篤な患者や術後の患者についての看護婦配置の評価を検討するなど、看護の質の向上を図るよう配慮すること。
二付添看護の解消に伴い、付添看護婦・付添婦及びその紹介に携わる事業者が、付添看護の院内化や在宅医療の推進に適切に対応できるよう、弾力的な雇用形態、研修、診療報酬等の経済的評価など、適切な措置を講ずること。
三入院時食事療養費の定額自己負担を定めるに当たっては、一般の食費負担が、平均的な家計における食費の状況を勘案した額から経過的に六百円に軽減された趣旨を十分に踏まえ、市町村民税非課税世帯に属する者の負担についても、経過措置を講ずるとともに、その入院が長期にわたる場合に配慮しつつ、適切な措置を講ずること。
四付添看護の解消により保険外自己負担が解消される一方、入院時食事療養費の定額自己負担が創設されるなど、自己負担のあり方についての見直しにかんがみ、患者の自己負担が必要な受診の阻害要因にならないよう、今後とも格段の配慮を払うとともに、引き続き不合理な保険外自己負担の解消に向けて所要の措置を講ずること。
五入院医療における食事療法及び栄養指導の重要性にかんがみ、栄養士による栄養管理、ベッドサイドにおける栄養指導、在宅医療充実のための訪問栄養指導について、診療報酬上の評価など所要の措置を講ずること。あわせて、入院時の食事の内容や摂食環境の改善を図ること。
六在宅医療の充実・推進を図るため、診療報酬上の格段の評価など、所要の措置を講ずること。
七入院・在宅を通じて、精神障害者や難病患者など長期療養を要する患者に対しては、施策全般にわたる見直し拡充を図ること。とりわけ、精神障害者については、社会復帰のだめの各般の施策の拡充及び施設整備の計画的推進を図ること。その一環として診療報酬上の評価について検討を加え、また、マンパワーの確保を進めるとともに、精神科ソーシャルワーカー等の資格制度について、早急に検討すること。
八医薬品の適正な使用の推進を図るため、製薬企業における安全性に配慮した開発・製造、医薬品の評価・審査体制の充実、医療機関における医薬品情報の活用、医薬分業の推進と薬歴管理等関連施策全般にわたる一層の推進を図ること。
九今後の高齢社会における介護等のニーズの増大・多様化に応えていくため、新たなゴールドプランを策定するとともに、それを国家的施策として展開するため、所要の措置を講ずること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=112901035)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。