民法の一部を改正する法律案
参議院 法務委員会
平成11年法律第149号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院法務委員会
- H11.6.11趣旨説明・質疑法務委員会 19290
- H11.6.15参考人招致法務委員会 20159
- H11.7.2質疑・附帯決議・採決法務委員会 21230
- H11.7.6委員長報告・採決・附帯決議本会議 4315
- H11.11.26採決法務委員会 910
- H11.12.1委員長報告・採決本会議 728
参議院法務委員会
- H11.8.6趣旨説明法務委員会 26150
- H11.11.16質疑法務委員会 3216
- H11.11.18参考人招致・質疑法務委員会 4184
- H11.11.19採決・附帯決議法務委員会 513
- H11.11.24委員長報告・採決・附帯決議本会議 78
提案理由
陣内孝雄 法務大臣 平成11年6月11日最初に、民法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、高齢社会への対応及び障害者福祉の充実の観点から、痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者等の判断能力の不十分な者の保護を図るため、禁治産及び準禁治産の制度を後見及び保佐の制度に改め、これに加えて補助の制度を創設するとともに、聴覚または言語機能に障害がある者が手話通訳等により公正証書遺言をすることができるようにするため、遺言の方式を改める等の目的から、民法の一部を改正しようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。
まず、禁治産及び準禁治産の制度の改正等につきましては、第一に、禁治産及び準禁治産の制度を後見及び保佐の制度に改め、本人の行為のうち日常生活に関する行為を成年後見人等の取り消し権の対象から除外するとともに、新たに保佐人に取り消し権及び代理権を付与することとしております。
第二に、軽度の精神上の障害がある者を対象とする補助の制度を新設し、本人の申し立てまたは同意を要件として、当事者が申し立てた特定の法律行為について、補助人に同意権・取り消し権または代理権を付与することができることとしております。
第三に、家庭裁判所が適任者を成年後見人等に選任することができるようにするため、配偶者が当然に後見人等となる旨を定める現行の規定を削除し、成年後見人等に複数の者または法人を選任することができるようにするための所要の規定の整備を行うとともに、その選任に当たり家庭裁判所が考慮すべき事情を明記することとしております。
第四に、成年後見人等は、その事務を行うに当たり、本人の意思を尊重し、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないこととしております。
第五に、成年後見監督人に加えて、保佐監督人及び補助監督人の制度を新設することとしております。
次に、遺言の方式の改正につきましては、現行の公正証書遺言の方式を改め、聴覚または言語機能に障害がある者が手話通訳または筆談により公正証書遺言をすることができるようにするとともに、秘密証書遺言、死亡危急者遺言及び船舶遭難者遺言についても、手話通訳によりこれらの方式の遺言をすることができるようにするため、所要の規定の整備を行うこととしております。
第145回国会衆議院法務委員会議録第19号4頁(平成11年6月11日)〔陣内孝雄法務大臣発言・発言番号5〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
一政府は、新しい成年後見制度の実施に当たっては、自己決定の尊重、ノーマライゼーション等の改正の理念が制度の運用に十分反映されるよう、新制度の趣旨・内容について、福祉関係者、司法関係者等の関係者に十分周知徹底されるよう努めること。
二新設の補助の制度に関しては、本人の自己決定を尊重する法の趣旨にかんがみ、補助開始の審判、補助人への同意権・代理権の付与及びその範囲について出来る限り本人の意向を尊重し適正な運用を期するように配慮されたい。
三成年後見人等の選任に当たり、本人との利害関係の有無を考慮事情とする法の趣旨にかんがみ、成年後見人等となる法人及びその代表者と本人との利害関係及び利益相反の有無の確認について適正な運用を期するように配慮されたい。
四政府は、後見等による事務費の負担、NPO等関係諸団体への支援、後見人等の研修など、後見制度がより有効に機能するように実施体制の整備に努めること。
五政府は、後見登記等の利用者の利便の向上に資するため、登記の申請数等を勘案しつつ、利用者にとって利用しやすい登記所の体制の整備に努めること。
六政府は、新しい成年後見制度について、その運用状況、高齢者・障害者をめぐる社会の状況等を勘案し、必要に応じて制度についての見直しを行うこと。
七政府は、聴覚又は言語機能に障害がある者が公正証書遺言をすることを可能とした本改正の趣旨・内容について、周知徹底を図るとともに、その適正な運用につき公証人等を指導すること。
政府及び最高裁判所は、新たな成年後見制度の実施に当たり、次の諸点について格段の努力をすべきである。
一新制度の実施に当たっては、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション等の改正理念が、制度の運用に十分に反映されるよう、制度の趣旨・内容について、関係者を始め広く国民に理解されるよう努めること。
二新制度の運用が柔軟かつ弾力的に行われるためには、家庭裁判所の役割が極めて重要なものとなっていることにかんがみ、家庭裁判所の人的・物的強化及び研修の充実など、体制の整備に努めること。
三新設される補助の制度に関しては、自己決定の尊重の理念に基づき、補助開始の審判、補助人・補助監督人の選任、補助人への同意権・代理権の付与及びその範囲等について、家庭裁判所調査官が本人との面談の機会を利用するなど、本人の意思を最大限に尊重して、柔軟かつ的確な運用に努めること。
四成年後見人等の選任に当たっては、本人との利益相反のおそれのない信頼性の高い者が選任されるよう、成年後見人等となる法人及びその代表者と本人との利害関係の有無等の確認について適正な運用をするとともに、選任後においても、家庭裁判所の監督の充実・強化に努めること。
五成年後見制度について、地域福祉権利擁護事業等の福祉制度と連携を密にして、より有効に機能させるとともに、後見等の事務費用の負担、福祉関係諸団体への支援、後見人等に人材を確保するための研修など、実施体制の整備に努めること。
六後見登記等は、戸籍記載に代わる新たな公示方法であることにかんがみ、戸籍から登記への移行を促進させるとともに、登記事務の運用に当たっては、プライバシーの保護に十分配慮すること。また、利用者の利便の向上に資するため、登記の申請数等を勘案しつつ、利用しやすい登記所の体制の整備に努めること。
七成年被後見人又は被保佐人であることを欠格事由とする百十六件の資格制限規定については、更なる見直しを行うこと。
八新たな成年後見制度について、運用状況、経済的状況、高齢者・障害者をめぐる社会状況等を勘案し、必要に応じて、見直しを行うこと。
九聴覚又は言語機能に障害がある者が公正証書遺言をすることを可能とした改正の趣旨・内容について、周知徹底を図るとともに、視覚障害を含む全ての障害を持つ人の立場に立った適正な運用が行われるよう公証人等の指導に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=114501083)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。