TaiLexi AI日本の判例・法令
国会審議›第146回国会›閣法第64号
閣法第146回国会 第64号成立修正あり

民事再生法案

平成11年法律第225号 民事再生法
提出平成11年11月8日 内閣
付託衆議院 法務委員会
参議院 法務委員会
成立
平成11年法律第225号
審議会議 8回・発言 855(政府答弁等 259)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院法務委員会

  1. H11.11.19趣旨説明・質疑法務委員会 795
  2. H11.12.1質疑法務委員会 10157
  3. H11.12.3参考人招致・質疑・修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議・修正案法務委員会 11244
  4. H11.12.7委員長報告・採決(修正)・附帯決議本会議 875

参議院法務委員会

  1. H11.12.9趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明法務委員会 910
  2. H11.12.10質疑法務委員会 10107
  3. H11.12.13質疑・修正案趣旨説明・採決・附帯決議・修正案法務委員会 11275
  4. H11.12.14委員長報告・採決・附帯決議本会議 1432

提案理由

臼井日出男 法務大臣 平成11年11月19日

民事再生法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 現行の倒産法制におきましては、経済状態の悪化した債務者がその再建を図る倒産処理手続として、会社更生法上の会社更生手続、商法上の整理手続及び和議法上の和議手続の三つがございます。

 このうち会社更生手続と整理手続とは、株式会社のみを対象とするものであり、株式会社以外の法人や個人は利用することができないものであります。また、会社更生手続は、大規模の株式会社を想定した複雑な手続であるため、中小規模の株式会社が利用することは事実上困難となっており、整理手続も、原則としてすべての債権者が再建計画案に同意しない限り再建ができない仕組みの手続であるため、利用することができる場合が限定されております。

 そこで、株式会社以外の法人や個人あるいは中小規模の株式会社が再建型の倒産処理手続を利用しようとする場合は、すべての法人及び個人を対象とする和議手続によることが大部分を占めております。

 しかし、和議手続についても、破産状態に陥らなければ手続を開始することができないこと、再建計画の履行を確保するための有効な手段が用意されていないこと等、多くの制度的な問題点が指摘されております。

 また、和議法は、大正十一年に制定され、その後の大きな社会経済構造の変化及び発展にもかかわらず、制度の見直しがされていないことから、公平かつ迅速な倒産事件の処理という現在の社会の要請に十分にこたえていないという指摘もされているところであります。

 そこで、この法律案は、現行の和議法にかわる再建型倒産処理手続の基本法を制定し、経済的に窮境にある債務者について、その事業または経済生活の再生を合理的かつ機能的に図ろうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、手続開始前の債務者財産の保全のための制度を充実させたことであります。

 倒産手続の申し立てがされますと、債権の回収を図ろうとする債権者の権利行使等により、手続が開始されるまでに債務者の財産が散逸してしまうおそれがあります。これを防止するため、現行の倒産手続においても保全処分の制度が設けられておりますが、民事再生手続につきましては、債権者の強制執行等を全面的に禁止する包括的禁止命令の制度を創設するなど、保全処分の制度を充実させ、債務者財産の散逸防止を図っております。

 第二は、手続の開始原因を緩和したことであります。

 現行の和議手続は、債務者に破産原因があることを開始原因としているために、経済的な破綻の状態が深刻にならなければ手続を開始することができないものとなっておりますが、民事再生手続につきましては、債務者が破産状態に陥るおそれがある段階で手続を開始することができることとし、その事業または経済生活の再生が容易になるようにしております。

 第三は、簡素かつ合理的な債権の調査及びその確定手続並びに再生計画の成立手続を整備したことであります。

 再建型の倒産処理手続におきましては、債権の総額を調査、確定し、これを前提として再建計画を立案した上でその成立を図るという一連の手続が必要となりますが、民事再生手続につきましては、これらの手続を簡素かつ合理的なものとすることにより、迅速な処理を図っております。

 第四は、再建計画の履行確保の手段を設けたことであります。

 現行の和議手続は、再建計画の履行確保の手段が不十分であり、この点が制度の信頼性を損なう要因となっておりましたが、民事再生手続につきましては、再生計画の認可後も裁判所による監督等を継続することができるものとするほか、再生計画に執行力を与えること等により、その履行確保について適切な措置を講じております。

 なお、この法律の制定に伴い、最高裁判所規則の制定等所要の手続を必要といたしますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、また、現行の和議法等を廃止するほか、民法等の関係法律につき所要の整備をし、必要な経過措置を定めております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

第146回国会衆議院法務委員会議録第7号1頁(平成11年11月19日)〔臼井日出男法務大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 法務委員会平成11年12月3日

この法律の施行に伴い、関係者は、次の点につき格段の配慮をされたい。

一再生債務者の経済的・社会的評価並びに債権者の利益及び従業員の地位・利益が不当に害されないよう、新制度の趣旨・内容について、経済団体、労働団体、司法関係者等に十分周知徹底がなされるよう努めること。

二迅速かつ機能的な手続とする法の趣旨にかんがみ、再生手続の開始決定があった場合は、再生債権の調査・確定、再生計画案の作成等の一連の手続が速やかにされるべきであることが周知徹底されるよう努めるべきこと。

三第四十二条の規定による営業譲渡について、再生債務者の事業の再生に資する場合にのみ行われるものであることを周知徹底し、この制度が適正に運用されるよう配慮すること。

四企業組織の再編に伴う労働関係上の問題への対応について、法的措置を含め検討を行うこと。

五倒産手続における賃金債権・退職金債権・社内預金債権を含めた労働債権、担保付債権、租税債権、公課債権等の各種の債権の優先順位について、更に諸外国の法令等を勘案するなど検討をし、所要の見直しを行うこと。

六破産法等いわゆる倒産法を改正するに当たっては、労働債権について、特に再生手続から破産手続等に移行した場合にその優先性が維持されるようにするなど、格別の配慮をすること。

七第八十五条に規定する中小企業者の有する再生債権の弁済等に関し、再生債務者を主要な取引先とする中小企業者の事業の継続とその従業員の労働債権の確保に配慮がされるよう周知徹底がなされるよう努めること。

八新しい再生手続について、その運用状況、中小企業等の倒産をめぐる経済・社会の状況等を勘案し、必要に応じて制度の見直しを行うこと。

参議院 法務委員会平成11年12月13日

政府並びに最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一本法が、再建型倒産手続の基本法として幅広く利用されるよう、その趣旨、内容、他の倒産手続との違い等について、司法関係者、経済団体、労働団体等のほか、一般国民にも十分周知徹底がなされるよう努めること。

二社会・経済的観点から、民事再生手続が真に適正かつ迅速に運用されるよう、裁判所の人的・物的体制の整備に遺漏なきを期すること。

三第四十二条の規定による営業譲渡に関しては、再生債務者の事業の再生に資する場合にのみ行われることについて周知徹底し、この制度が適正に運用されるよう格段の配慮をすること。

四企業組織の再編に伴う労働関係上の問題への対応について、法的措置を含め検討を行うこと。

五倒産法制全体の手続における労働債権、担保付債権、租税債権、公課債権等の各種の債権の優先順位について、諸外国の法令等も勘案し、所要の見直しを行うとともに、賃金の重要性にかんがみ、労働債権について、特に再生手続から破産手続に移行した場合に、その優先性が維持されるようにするなど、格段の配慮をすること。

六第八十五条に規定する中小企業者の有する再生債権の弁済等に関し、再生債務者を主要な取引先とする中小企業者の事業の継続とその従業員の労働債権確保に十分配慮がなされるよう周知徹底に努めること。

七本法が和議法を廃止して制定された経緯を踏まえ、民事再生手続の運用状況等を勘案して、必要に応じて、更なる制度の見直しを行うこと。

八今後の倒産法制の見直しに当たっては、倒産法制の統一性・整合性の確保に努めるとともに、破産法の抜本見直しを始め、個人債務者更生手続、国際倒産手続、倒産実体法など、倒産法制の改革を進めること。

九民事再生手続が円滑に機能するよう、その手続に要する費用等の負担を含め、関連諸施策の整備、充実に努めること。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=114601064)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。