自然再生推進法案
参議院 環境委員会
平成14年法律第148号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院環境委員会
- H14.11.8趣旨説明環境委員会 2153
- H14.11.12質疑環境委員会 3170
- H14.11.15参考人招致・質疑環境委員会 479
- H14.11.19修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・修正案環境委員会 518
- H14.11.19委員長報告・採決(修正)本会議 1140
参議院環境委員会
- H14.11.26趣旨説明環境委員会 36
- H14.11.28参考人招致環境委員会 465
- H14.12.3質疑・修正案趣旨説明・採決・附帯決議・修正案環境委員会 5225
- H14.12.4委員長報告・採決本会議 1135
提案理由
谷津義男 議員(発議者) 平成14年11月8日本会議が近づいておりますものですから、秒読みみたいな状況になりますけれども、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
ただいま議題となりました自然再生推進法案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
我が国は、国土が南北に長く、地形の起伏に富む上、四季の変化も相まって、多様で豊かな生態系を有しています。
しかしながら、ここ数十年の間に、経済成長により国民の生活水準の向上が実現された一方で、湿原、干潟などの減少が進み、かつては身近な存在であった動植物までが絶滅危惧種となるなど、我が国の生態系は衰弱しつつあります。
こうしたことから、今ある自然を守ることはもちろんですが、それだけでなく、過去に損なわれた生態系その他の自然環境を積極的に再生、修復することが現在の我が国の重要課題であります。
そこで、生物多様性の確保を通じて自然と共生する社会の実現を図るとともに、地球環境の保全に寄与するため、自然再生についての基本理念を定め、及び自然再生事業の実施者等の責務を明らかにするとともに、自然再生基本方針の策定その他の自然再生を推進するために必要な事項を定めることにより、自然再生に関する施策を総合的に推進する必要があります。以上が本法律案を提出する理由であります。
次に、本法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、この法律において自然再生とは、過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すため、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、NPO、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が参加して、自然環境の保全、再生、創出等をすることと定義しております。さらに、自然再生についての基本理念を明らかにするとともに、政府は、自然再生に関する施策を総合的に推進するための自然再生基本方針を定めなければならないこととしております。
第二に、この法律においては、自然再生事業を、自然再生を目的として、地域の多様な主体が連携するとともに、透明性を確保しつつ、自主的かつ積極的に取り組んで実施される地域主導の事業と位置づけ、事業の着手後も自然再生の状況を監視し、その結果を当該事業に反映させるという順応的な方法により実施されなければならないものと定めております。自然再生事業を実施するに際しては、その実施者が、地域住民、専門家、行政機関等とともに自然再生協議会を組織することとし、その協議会における協議結果に基づき、自然再生事業を実施するという仕組みとしております。
第三に、さきに述べたような地域主導の取り組みを支援するための措置についても規定しております。まず、国及び地方公共団体の責務として、地域住民、NPO等が実施する自然再生事業について必要な協力をするよう努める旨を定めております。次に、この法律の主務大臣である環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣が、NPOを初めとする実施者の相談に応じる体制の整備を図ることとしております。また、国及び地方公共団体は、自然再生を推進するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努める旨を定めております。
第四に、自然再生に関し関係省庁間の連携を確保するため、環境省、農林水産省、国土交通省その他の関係行政機関の職員で構成する自然再生推進会議を設け、自然再生の総合的、効果的かつ効率的な推進を図るための連絡調整を行うこととしております。また、その際には、自然環境に関し専門的知識を有する者によって構成する自然再生専門家会議の意見を聞くものとしております。
その他、自然再生に関して行われる自然環境学習の振興、自然再生に関する広報活動の充実、自然再生に関する情報提供、自然再生に関する科学技術の振興、地域の環境と調和のとれた農林水産業の推進等について定めることとしております。
なお、この法律は、平成十四年十二月一日から施行することとし、施行後五年を経過した場合において、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。
以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいまするようお願い申し上げます。ありがとうございました。
第155回国会衆議院環境委員会議録第2号20頁(平成14年11月8日)〔谷津義男議員発言・発言番号149〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一本法に基づく自然再生事業は、従来からの公共事業の延長として行われるものではなく、過去に行われた事業や人間活動等によって損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として実施される旨を周知徹底すること。また、全ての自然再生事業において、工事等を行うことを前提としない自然の回復力に任せることにより自然再生を行う方法も十分考慮すること。
二自然再生における客観的かつ科学的知見に基づく評価の重要性にかんがみ、自然再生全体構想の作成に当たっての調査及びその評価方法を自然再生基本方針に明記すること。また、自然再生協議会は、自然再生が地域における自然環境の特性、自然の復元力及び生態系の微妙な均衡を踏まえて、かつ、科学的知見に基づいて実施されるよう十分留意すること。さらに、当該自然再生事業の事前・事後を通じ、その科学的評価結果を踏まえた自然再生事業実施計画の作成又は見直しに関する事項について自然再生基本方針に明記すること。
三自然再生協議会の組織・運営の適正化を図るため、同協議会の組織化に当たっての幅広い参画機会の確保及び外部からの意見聴取や情報公開の徹底等、透明性確保に関する事項を自然再生基本方針に明記すること。
四自然再生事業の対象となる区域については、あらかじめ当該区域の自然環境の特性について専門家の参加のもと適切かつ十分な調査が行われ、自然再生の必要性が客観的かつ科学的に明らかにされた区域とすること。
五自然再生専門家会議においては、個々の自然再生事業の実施状況についても把握するとともに、外部からの幅広い意見聴取に努めること。また、同専門家会議及び自然再生推進会議においては、情報公開の徹底を図ることによって、その透明性の確保に努めること。
六自然再生事業の実施に当たっては、自然再生協議会へのNPO等の参加についてその公平性の確保に努めるとともに、NPO等の主体的役割の確保を図り、NGO等が従来から地域で行っていた自然再生に関する取組についても十分尊重すること。また、その自主性を尊重しつつ、NPO等に対する財政的・技術的支援措置を講ずるよう努めること。
七地方公共団体が地域の自然環境の特性等に応じた自然再生に関する施策を策定し、及び実施することにつき、これを十分尊重するとともに、必要な支援措置を講ずるよう努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=115402046)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。