TaiLexi AI日本の判例・法令
国会審議›第162回国会›閣法第52号
閣法第162回国会 第52号成立

刑法等の一部を改正する法律案

平成17年法律第66号 刑法等の一部を改正する法律
提出平成17年2月25日 内閣
付託参議院 法務委員会
衆議院 法務委員会
成立
平成17年法律第66号
審議会議 10回・発言 1,068(政府答弁等 406)

審議経過

右の数字は会議の発言数

参議院法務委員会

  1. H17.4.8趣旨説明・質疑本会議 1541
  2. H17.4.12趣旨説明法務委員会 1188
  3. H17.4.14質疑法務委員会 12195
  4. H17.4.19参考人招致・参考人質疑法務委員会 1348
  5. H17.4.21質疑・採決・附帯決議法務委員会 14145
  6. H17.4.22委員長報告・採決・附帯決議本会議 1822

衆議院法務委員会

  1. H17.6.8趣旨説明法務委員会 21258
  2. H17.6.10参考人招致・参考人質疑・質疑法務委員会 22239
  3. H17.6.14質疑・採決・附帯決議法務委員会 23174
  4. H17.6.16採決・委員長報告本会議 3111

提案理由

南野知惠子 法務大臣・内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策) 平成17年4月8日

刑法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 人身の自由を侵害する行為の典型であります人身取引については、国連において、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書、いわゆる人身取引議定書が採択されていますが、近年、我が国でも、人身取引やこれに関連する反社会的行為が発生していることがうかがわれます。

 政府としても、人身取引が重大な人権侵害であるとの認識の下、その防止・撲滅と被害者保護に向けた総合的な対策を進めており、平成十六年十二月には同議定書を早期締結すべきことも盛り込んだ人身取引対策行動計画を策定しております。

 加えて、人身の自由を侵害する行為としては、長期間の監禁事案や悪質な幼児略取誘拐事案、国境を越えた略取誘拐事案など、現行の罰則では適正な処罰が困難な事案も見られます。

 また、同様に国連で採択された国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する陸路、海路及び空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書、いわゆる密入国議定書は、他人を不法入国させることを可能にする目的で行う不正な旅行証明書の製造等の犯罪化等について規定しており、我が国においてもこれに沿った国内法を整備する必要があります。

 なお、政府は、平成十六年十二月、テロの未然防止に関する行動計画を策定しましたが、その中でも、テロリストを入国させないための対策の強化が求められているところです。

 この法律案は、両議定書の締結に伴い、また近年における人身取引その他の人身の自由を侵害する犯罪の実情等にかんがみ、刑法、出入国管理及び難民認定法等を改正し、所要の法整備を行おうとするものです。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、刑法を改正して、人身取引議定書の締結に伴い必要となる罰則の新設等を行うものであります。すなわち、同議定書が定める人身取引の処罰を可能とするため、人身売買の罪を新設するほか、臓器摘出目的を含む生命若しくは身体に対する加害の目的で行う略取等や、被略取者引渡し等の行為の処罰規定を整備することとしています。また、国外移送目的略取等の罪の構成要件を日本国外移送から所在国外移送に拡大するほか、逮捕及び監禁の罪並びに未成年者略取及び誘拐の罪の法定刑を引き上げることとしています。

 第二は、出入国管理及び難民認定法を改正して、人身取引議定書及び密入国議定書の締結並びにテロリストの入国防止のための規定の整備を行うものであります。

 まず、人身取引された者の保護に関し、これらの者につき、一部の上陸拒否及び退去強制の対象から除くとともに、上陸特別許可及び在留特別許可の対象となることを明示し、他方、人身取引の加害者につき、新たに上陸拒否及び退去強制事由を設けることとしています。また、不法入国等を容易にする目的で行う旅券等不正受交付等の罪を新設するほか、船舶等の運送業者に対する外国人の旅券等の確認義務や、外国入国管理当局に対する情報提供に係る規定の整備を行うこととしています。

 第三は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律を改正して、今回新設する罪等を犯罪収益等の前提犯罪とするものであります。

 その他所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)

    ─────────────

第162回国会参議院会議録第15号1頁(平成17年4月8日)〔南野知惠子法務大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム

立法資料のある条文

この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)

附帯決議

参議院 法務委員会平成17年4月21日

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一人身売買罪の創設など人身取引の撲滅等を図るための法整備が行われたことを踏まえ、人身取引の処罰の実効性が一層高まるよう、内外の関係機関との連携強化の下に、捜査体制の充実・強化に努めること。

二人身取引対策行動計画に掲げる各施策を推進するに当たっては、その実効性を一層高めるため、責任体制を明確にし、政府が一体となって取り組むとともに、被害の実態や対策が国民に十分周知されるよう努めること。

三人身取引対策の推進に当たっては、被害実態の正確な把握が極めて重要であることにかんがみ、NGO等の民間団体及び各国大使館等の関係機関と緊密に連携しつつ、積極的かつ継続的に実態調査を行うとともに、各施策についても適宜検証を行い、その結果が効果的に対策に反映されるよう努めること。

四外国人被害者に対する情報提供に当たっては、被害者の置かれた状況にかんがみ、周知のための一層の工夫を凝らすこと。

五人身取引の被害者が安心して保護や救済を求めることができるよう、警察、入国管理局等に適切な通訳人を確保するとともに、被害者の保護に当たっては、婦人相談所、民間シェルターなどの保護機関と十分協力して行うよう努めること。特に、被害者と接する職員に対しては、人身取引が重大な人権侵害であることを十分認識し、被害者保護を最優先させるなど被害者の視点に立った対応を行うよう、教育、研修を通じて徹底を図ること。

六人身取引の被害者の適切な保護が図られるよう、婦人相談所の人的物的体制の拡充に努めるとともに、民間シェルターに対する実態に即した的確な財政上の措置を含め必要な措置について十分に配慮すること。

七外国入国管理当局に対する情報提供に当たっては、人身取引の被害者や難民認定申請者等を危険にさらしたり、その個人情報が濫用されることのないよう特に配慮すること。

八運送業者による旅券等の確認に当たっては、恣意的な運用がされることのないよう指導の徹底を図ること。

九人身取引の被害者保護には、人権に十分配慮した多面的、きめ細やかな対応が求められることから、専門的な保護機関の設置、被害者の生活の保護などを含めた総合的・包括的な法整備について更に検討すること。

衆議院 法務委員会平成17年6月14日

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一人身取引被害者の保護については、人身取引被害実態の正確な把握が重要であることにかんがみ、内外の関係機関と十分な情報交換を行うとともに、婦人相談所・民間シェルター・NGO等に対する財政支援についても、検討すること。

二人身取引被害者の保護については、被害者の置かれた状況を十分斟酌し、人権に配慮した、きめ細やかな対応を行うよう、婦人相談所及び民間シェルターとの連携に努めるとともに、多言語ホットラインの設置、適切な通訳人の確保、医学的・心理的専門員の育成、雇用・教育・訓練の機会提供なども含め、総合的な法整備について、検討すること。

三人身取引の被害者の保護及び支援のため、必要があれば、被害者の保護及び支援、被害者の法的地位、帰国、情報交換、法施行機関等の職員に対する教育訓練、被害予防、国及び都道府県の基本計画策定、NGO等との協力について、法整備も含め、検討すること。

四運送業者による旅券等の確認に当たっては、庇護希望者の立場や家族的結合等に特に留意し、決して恣意的な運用が行われないよう、関係機関と密接な連携を図り、指導の徹底に努めること。

五外国入国管理当局に対する情報提供に当たっては、人身取引被害者及び関係者の安全確保を最優先に、提供情報の目的・範囲・方法等を定めた基準の作成や公表の可否について、検討すること。

六人身取引を撲滅するため、人身取引送出国及び経由国に対し、我が国における人身取引に関する情報を広く提供するとともに、我が国の性産業の法的規制のあり方についても、検討すること。

七在留特別許可、上陸特別許可、仮放免、在留資格更新などの出入国管理制度の運用については、今後も引き続き、その基準の作成や公表の可否について検討し、透明性の高い運用に努めること。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=116201052)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。