労働安全衛生法等の一部を改正する法律案
参議院 厚生労働委員会
平成17年法律第108号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院厚生労働委員会
- H17.10.12趣旨説明厚生労働委員会 2218
- H17.10.14質疑・採決・討論・附帯決議厚生労働委員会 3255
- H17.10.18採決・委員長報告本会議 755
参議院厚生労働委員会
- H17.10.19趣旨説明・質疑本会議 719
- H17.10.25質疑・採決・討論・附帯決議厚生労働委員会 6349
- H17.10.26委員長報告・採決・附帯決議本会議 952
提案理由
尾辻秀久 厚生労働大臣 平成17年10月12日ただいま議題となりました労働安全衛生法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
働き方の多様化が進む中で、製造業等における重大な労働災害の頻発、長時間労働に伴う脳・心臓疾患や精神障害の増加など労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化しています。
こうした問題に的確に対処していくため、政府といたしましては、必要な施策を整備充実するための労働安全衛生法等の一部を改正する法律案を第百六十二回国会に提出いたしました。同法案は、審議半ばで衆議院の解散に伴い廃案となり、成立を見るに至りませんでしたが、一刻も早くその実現を図るため、ここにこの法律案を提案し、御審議を願うこととした次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
第一に、労働安全衛生法の一部改正であります。
事業者の自主的な安全衛生活動の促進、危険・有害な化学物質の表示制度の改善、製造業等における元方事業者による作業間の連絡調整の実施など事業者による措置の充実を図るとともに、医師による面接指導の実施等により過重労働・メンタルヘルス対策の充実を図ることとしております。
第二に、労働者災害補償保険法の一部改正であります。
複数就業者の事業場間の移動、単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居の間の移動を、通勤災害保護制度の対象とすることとしております。
第三に、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。
事業の期間が予定されている事業である有期事業に関し、事業場ごとの災害率により保険料を増減させるメリット制について、その増減幅の上限を百分の三十五から百分の四十に拡大することとしております。
第四に、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部改正であります。
全労働者一律の目標に向けた労働時間の短縮を図る法律から、労働者の健康や生活に配慮した労働時間等の設定に向けた関係者の自主的な努力を促進する法律に改めるとともに、指定法人を通じた助成等の仕組みを廃止することとしております。
なお、この法律は、一部を除き、平成十八年四月一日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第163回国会衆議院厚生労働委員会議録第2号40頁(平成17年10月12日)〔尾辻秀久厚生労働大臣発言・発言番号216〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。
一労働時間に着目した健康確保対策の実行とともに、賃金不払残業への厳正な対応や時間外限度基準の遵守の徹底に取り組むこと。また、始業・終業時刻の把握等労働時間管理の徹底を指導するなど、重点的な監督指導を行うこと。
二面接指導制度の適切な実施を図るため、義務規定に違反している場合又は努力義務規定の趣旨を満たしていない場合において、事業者に対し必要な指導等を行うこと。また、労働者の意思を尊重しつつ、確実に申出を行うことができるよう労働者が時間外労働時間数を確認できる仕組みの整備、申出手続の整備、労働者に対する実施体制の周知などについて事業者を指導すること。さらに、メンタルヘルス対策として、地域産業保健センターや精神保健福祉センターにおいて、労働者の家族を含め、相談をしやすい体制を整えること。
三過重労働対策・メンタルヘルス対策を衛生委員会等の調査審議事項に追加するなど、衛生委員会等の機能強化に努めるとともに、小規模事業場における安全衛生管理体制の在り方について調査検討を進めること。また、中小企業に対し過重労働対策・メンタルヘルス対策の必要性について周知徹底を図るとともに、地域における労使の参加と協力を進め、地域産業保健センターの機能と活動の強化を図ること。
四製造業における元方事業者等を通じた請負事業者との安全衛生管理体制に関しては、元方事業者による安全衛生協議会の設置や作業場巡視、教育指導と援助、安全衛生管理指導等一体的な管理体制の普及について、所要の措置を講ずるよう調査検討を進めること。
五労働時間等設定改善指針の策定に当たっては、育児・介護、地域活動、単身赴任、自己啓発等を行う労働者の実情に応じた労働時間等の設定の改善を促進するものとなるよう留意するとともに、年次有給休暇の取得率向上に向けて、計画的付与制度や長期休暇制度の普及促進等実効性ある施策を推進し、一般労働者の労働時間短縮対策を総合的に推進すること。
六労働時間等設定改善委員会の設置を促進するよう周知徹底を含め実効性ある施策を図るとともに、一定要件を満たした衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなすに当たっては、法に定める要件が遵守されるよう、制度運用に万全を尽くすこと。
七二重就業者に係る労災保険給付基礎日額については、その賃金の実態を調査した上で、早期に結論を得ること。
八建設業等の有期事業におけるメリット制の改正に当たっては、いわゆる労災かくしの増加につながることのないよう建設業関係者から意見を聴く場を設けるなど、災害発生率の確実な把握と安全の措置を図るとともに、建設業の元請けの安全管理体制の強化・徹底等の措置を図り、労災かくしを行った事業場に対しては司法処分を含め厳正に対処すること。また、労働安全衛生マネジメントシステムの導入拡大による労働災害の予防を図るとともに、導入企業に対する公共事業の企業評価における優遇措置について調査検討すること。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一労働時間に着目した健康確保対策の実行に万全を期するとともに、賃金不払残業への厳正な対応や時間外限度基準の遵守の徹底に取り組むこと。また、始業・終業時刻の把握等労働時間管理の徹底を指導するなど、重点的な監督指導を行うこと。
二面接指導制度は、事業者に法的に課せられたものであることにかんがみ、その適切な実施を図るため、義務規定に違反している場合又は努力義務規定の趣旨を満たしていない場合において、事業者に対し必要な指導等を行うこと。また、労働者の意思を尊重しつつ、確実に申出を行うことができるよう労働者が時間外労働時間数を確認できる仕組みの整備、申出手続の整備及び労働者に対する実施体制の周知並びに個人情報の保護の徹底などについて事業者を指導すること。さらに、メンタルヘルス対策として、地域産業保健センターや精神保健福祉センターにおいて、労働者の家族を含め、相談をしやすい体制を整えること。
三過重労働対策・メンタルヘルス対策を衛生委員会等の調査審議事項に追加するなど、衛生委員会等の機能強化に努めるとともに、小規模事業場における安全衛生管理体制を強化するため、その在り方について調査検討を進めること。また、中小企業に対し過重労働対策・メンタルヘルス対策の必要性について周知徹底を図るとともに、地域における労使の参加と協力を進め、地域産業保健センターの機能と活動の強化を図ること。
四製造業における元方事業者等を通じた請負事業者との安全衛生管理体制に関しては、製造現場の実情を踏まえ、元方事業者による安全衛生協議会の設置や作業場巡視、教育指導と援助、安全衛生管理指導等一体的な管理体制の普及について、所要の措置を講ずるよう速やかに調査検討を進めること。
五労働時間等設定改善指針の策定に当たっては、育児・介護、地域活動、単身赴任、自己啓発等を行う労働者の実情に応じた労働時間等の設定の改善を促進するものとなるよう留意するとともに、年次有給休暇の取得率向上に向けて、計画的付与制度や長期休暇制度の普及促進等実効性ある施策を推進し、一般労働者の労働時間短縮対策に尽力すること。
六労働時間等設定改善委員会の設置を促進するよう周知徹底を含め実効性ある施策を図るとともに、一定要件を満たした衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなすに当たっては、法に定める要件が遵守されるよう、制度運用に万全を尽くすこと。
七複数就業者に係る労災保険給付基礎日額の算定方法については、その賃金の実態を調査し、早期に結論を得ること。
八建設業等の有期事業におけるメリット制の改正に当たっては、いわゆる労災かくしの増加につながることのないよう建設業関係者から意見を聴く場を設けるなど、災害発生率の確実な把握と安全の措置を図るとともに、建設業の元請けの安全管理体制の強化・徹底等の措置を図り、労災かくしを行った事業場に対しては司法処分を含め厳正に対処すること。また、労働安全衛生マネジメントシステムの導入拡大による労働災害の予防を図るとともに、導入企業に対する公共事業の企業評価における優遇措置など導入促進を図るための多様なインセンティブを与える具体策について調査検討すること。
九企業間競争の激化や働き方の多様化が進む中で、労働者の協力・参加の下で行う事業者の自主的な安全衛生活動の役割が一層重要となることを踏まえ、その促進に向け格別の配慮を行うとともに、学校教育の場においても労働安全衛生の必要性について指導の徹底を図ること。
十本法の内容と密接に関わるILO第一五五号条約の早期批准に向けて、検討を行うこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=116301010)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。