不正競争防止法等の一部を改正する法律案
参議院 経済産業委員会
平成30年法律第33号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院経済産業委員会
- H30.4.18趣旨説明経済産業委員会 9256
- H30.5.11質疑・討論・採決・附帯決議経済産業委員会 10199
- H30.5.15委員長報告・採決本会議 2626
参議院経済産業委員会
- H30.5.17趣旨説明経済産業委員会 75
- H30.5.22質疑・討論・採決・附帯決議経済産業委員会 8134
- H30.5.23委員長報告・採決本会議 2130
提案理由
世耕弘成 経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構) 平成30年4月18日不正競争防止法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年、第四次産業革命と呼ばれるIT分野における急速な技術革新の進展に伴い、企業の競争力の源泉は、データやそれを活用したサービスへと移り変わりつつあります。こうした状況を踏まえ、データの利活用を促進するための事業環境を整備するほか、知的財産や標準の分野において、ビッグデータ等の情報技術の進展を新たな付加価値の創出につなげるために必要な措置を講ずるべく、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、不正競争防止法の一部改正です。
第一に、ID、パスワード等により管理され、相手方を限定して提供されるデータの不正取得等を、新たに不正競争行為に位置づけ、これに対する差止め請求権等の民事上の救済措置を設けます。
第二に、暗号等の技術的制限手段について、その効果を妨げる機器の提供等だけでなく、その効果を妨げるサービスの提供等も不正競争行為に位置づけます。
次に、工業標準化法の一部改正です。
第一に、標準化の対象に、データ、サービス等を追加します。これに伴い、同法に定められた日本工業規格を日本産業規格に、法律の題名を産業標準化法に改めます。
第二に、標準化に関する専門的な知識、能力等を有する民間団体等を認定し、当該団体等からの産業標準の案の申出については、審議会に付議することなく、主務大臣が産業標準を制定する等の手続を新たに設けます。
第三に、登録認証機関の認証を受けずにJISマークの表示を行った法人等に対する罰金刑の上限を、一億円に引き上げます。
次に、特許法等の一部改正です。
第一に、これまで一部の中小企業に限定されていた特許料等の軽減措置の対象を、全ての中小企業に拡大します。
第二に、裁判所が書類提出命令を発するに際して、非公開で書類を提示させるインカメラ手続において、書類の必要性を判断できるようにするとともに、技術専門家がこれに関与できるようにするなど、知財紛争処理手続を充実させます。
第三に、特許料等のクレジットカード払いを認めるなど、手続の簡素化等を図ります。
第四に、弁理士が、その名称と責務のもとで、データの利活用や規格の案の作成に関する相談に応ずる等の業務を行うことができるようにします。
以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
第196回国会衆議院経済産業委員会議録第9号36頁(平成30年4月18日)〔世耕弘成経済産業大臣発言・発言番号254〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府及び最高裁判所は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一政府は、この法律の施行後三年を目途として、データの適正な流通及び利活用を促進する観点から、データに関連するビジネスの展開、技術革新、経済社会の情勢の変化等を踏まえ、この法律による改正後の不正競争防止法の規定の実施状況を勘案し、当該規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じること。
二政府は、データ取引の安全を図り、データ取引の萎縮を避けるため、ガイドラインにおいて、限定提供データに係る不正競争行為の明確化を図ること。特に、保護されるデータの客体、図利加害目的、限定提供データの管理に係る任務、取引によって取得した権原の範囲等の要件の該当性や、正当な目的での使用で不正競争に該当しない場合等について、考え方や具体例を分かり易く明示すること。また、運用状況を見つつ、適時適切にガイドラインの見直しを行うこと。
三政府は、外国企業が我が国における企業活動を控えたり国内企業とのデータ取引を躊躇したりすることがないよう、諸外国におけるデータ保護制度との整合性の確保に努めること。また、外国企業が行った不正競争行為による国内企業の損害を防止するため、諸外国との連携を通じた国際的なデータ流通環境の整備に努めること。
四政府は、「限定提供データ」を取扱う事業者において、「限定提供データ」が適切に管理、保護及び利活用される環境を構築するため、事業者が、従業員に対してデータの適切な取り扱いに関する教育・啓発活動を適切に行えるよう支援を行うこと。
五政府は、本法に基づく不正競争防止に関する新たな制度及びガイドラインについて、施行まで十分な期間を確保し、広く国民や中小企業を含む産業界に対して、その内容の丁寧な周知に努めること。
六政府は、今般日本産業規格の対象となるサービス分野を始め、今後新たな分野等の標準化に適切に対応するため、省庁の枠を超えた連携体制を構築するとともに、国際標準化を推進するため、専門人材の確保と育成を図ること。また、国際標準を通じた市場優位性の確保のため、官民が一体となった標準化戦略の立案及び実行に努めること。
七政府は、「認定産業標準作成機関」に求める基準を明確に定めるとともに、事前の十分な情報提供に努め、認定された機関が標準化作業を円滑に進めるために必要な支援を提供するよう努めること。
八政府は、中小企業者に対する特許料等の軽減措置の拡充及びその手続の簡素化については、制度が確実に利用されるよう、中小企業者に対して制度の周知徹底を図ること。一方、負担が増加する者に対しては、全体としての知財活動を縮小あるいは停滞させないよう、十分留意すること。
九最高裁判所は、専門委員の任命に当たっては、その適格性及び公平性を確保するとともに、中立の立場であるとの理解を得られるよう努めること。また、人員不足とならないよう専門委員の確保に努めること。
十政府は、本法施行による弁理士の業務範囲拡大に当たっては、新たに対象となる標準化関連業務やデータ関連業務等の知見を有する人材の確保・育成のため、適切な支援を行うよう努めること。また、弁理士が該当業務を行うに当たっては、適正な報酬の獲得とユーザー側の安心感につながるよう適切な報酬体系となるよう促すこと。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一本法施行後三年を目途として、データの適正な流通及び利活用を促進する観点から、データに関連するビジネスの展開、技術革新の動向等を踏まえ、改正後の不正競争防止法の規定の実施状況について検討を加え、所要の措置を講ずること。また、我が国企業が不利益を被らないよう、諸外国におけるデータ保護制度との整合性の確保に努めること。
二データ取引の安全を図り、データ取引の萎縮を避けるため、ガイドラインにおいて、限定提供データに係る不正競争行為の明確化を図ること。特に、保護されるデータの客体、図利加害目的、取引によって取得した権原の範囲等の要件の該当性等について、考え方や具体例を分かりやすく明示すること。また、運用状況を見つつ、適時適切にガイドラインの見直しを行うこと。さらに、本法に基づく新たな制度及びガイドラインについて、十分な周知を行うとともに、特に中小企業者に対して丁寧な説明に努めること。
三技術的制限手段に対する不正競争については、試験・研究目的で行われる行為のほか、リバース・エンジニアリングや情報等が不正に取得される疑いがあるときのフォレンジックのために技術的制限手段を無効化する役務等の正当な目的で行われる行為が、その対象外となることを広く周知すること。
四限定提供データが適切に管理、保護及び利活用される環境を構築するため、事業者が、従業員に対してデータの適切な取扱いに関する教育・啓発活動を適切に行えるよう支援を行うこと。
五サービス分野を始め、新たな分野等の標準化に適切に対応するため、省庁の枠を超えた連携体制を構築すること。また、国際標準化を推進するため、専門人材の確保と育成を図るとともに、国際標準を通じた市場優位性の確保のため、官民が一体となった標準化戦略の立案及び実行に努めること。
六認定産業標準作成機関に求める基準を明確に定めるとともに、事前の十分な情報提供に努め、認定された機関が標準化作業を円滑に進めるために必要な支援を提供するよう努めること。
七中小企業者に対する特許料等の軽減措置の拡充及びその手続の簡素化については、制度が確実に利用されるよう、中小企業者に対して制度の周知徹底を図ること。一方、負担が増加する者に対しては、全体としての知財活動を縮小あるいは停滞させないよう、十分留意すること。
八本法による弁理士の業務範囲拡大に当たっては、新たに対象となる標準化関連業務やデータ関連業務等の知見を有する人材の確保・育成のため、適切な支援を行うよう努めるとともに、適正な報酬の獲得とユーザー側の安心感につながる適切な報酬体系となるよう促すこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=119601030)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。