医療法及び医師法の一部を改正する法律案
衆議院 厚生労働委員会
平成30年法律第79号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院厚生労働委員会
- H30.4.17趣旨説明厚生労働委員会 10423
- H30.4.19質疑厚生労働委員会 11294
- H30.5.15参考人招致・参考人質疑・質疑厚生労働委員会 12255
- H30.5.17質疑・討論・採決・附帯決議厚生労働委員会 13351
- H30.5.18委員長報告・採決本会議 2059
衆議院厚生労働委員会
- H30.7.10趣旨説明厚生労働委員会 348
- H30.7.11質疑厚生労働委員会 35365
- H30.7.13参考人招致・参考人質疑・質疑・討論・採決・附帯決議厚生労働委員会 36340
- H30.7.18委員長報告・採決本会議 4327
提案理由
加藤勝信 厚生労働大臣・内閣府特命担当大臣(拉致問題) 平成30年4月17日ただいま議題となりました医療法及び医師法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
医師数については、戦後一貫して増加している一方、地域間や診療科間の医師の偏在については今日なおその解消に至っておりません。患者の医療アクセスの向上、医師の勤務負担の軽減等の観点から、これまで以上に実効性のある医師偏在対策が早急に求められている状況を踏まえ、医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設、都道府県における医師確保対策の実施体制の整備や医師養成過程を通じた医師確保対策の充実等を通じて、医師偏在の解消等を図り、地域における医療提供体制を確保するため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、医師少数区域等における一定の勤務経験を通じた地域医療に関する知見等を有する医師を厚生労働大臣が認定する仕組みを創設し、一定の病院の管理者はこの認定を受けた者であることとします。
第二に、医療計画における医師の確保の方針、目標及びその目標の達成に向けた施策から成る実効的な医師確保計画の策定、都道府県と大学等が連携して医師確保施策を実施すること等を目的とした地域医療対策協議会の機能強化、効果的な医師の配置調整等のための地域医療支援事務の見直しなど、都道府県における医師確保対策の実施体制を整備します。
第三に、臨床研修病院の指定権限及び研修医定員の決定権限の都道府県への移譲、都道府県の意見を踏まえ国から医師の研修を行う団体に対して地域医療の観点から必要な措置の実施を意見する仕組みの創設など、医師養成過程を通じた医師確保対策の充実を図ります。
第四に、地域の外来医療機能の偏在、不足等に対応するため、医療計画における外来医療の提供体制の確保に関する事項の策定、地域ごとの外来医療関係者の協議の場の設置、当該協議の場における協議結果の公表等の措置を講じます。
第五に、地域医療構想の達成を図るため、医療機関の開設や増床に係る都道府県知事の権限の追加等を行います。
最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成三十一年四月一日としています。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。
第196回国会参議院厚生労働委員会会議録第10号41頁(平成30年4月17日)〔加藤勝信厚生労働大臣発言・発言番号421〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一医師偏在対策を進めるに当たっては、医療の高度化と専門分化、医療安全対策、医師の働き方改革、新たな専門医制度など、今後の医療の供給に影響を与え得る事項を総合的に勘案した上で、関係者の意見を尊重しながら、実効性ある対策を継続的に講ずること。
二地域における医療提供体制の確保については、居住する地域によって受けることができる医療に格差が生じないよう配慮し、医療従事者の過度の負担に依存するのではなく、限りある医療資源を有効に活用するとともに、その課題認識が社会において共有されるよう必要な対策を講ずること。
三病院勤務医の夜間・休日勤務や待機時間の実態を調査した上で、医師等の過労死・過労自殺等を防止する観点から、医師の地域偏在解消に向けた対策を強力に推進するとともに、「医師の働き方改革に関する検討会」において取りまとめられた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」の周知・徹底を図ること。
四大学病院の大半が高度の医療の提供等を目的とする特定機能病院であることに鑑み、勤務する医師が経営上の観点から本来担うべき役割に専念できないような事態が生じないよう、大学病院に対する財政上の措置を含む適切な支援を行うこと。
五医師が不足している地域においては看護師等の医療従事者も不足していることが多いと考えられることから、当該地域においては医師以外の医療従事者の実効性ある確保策も同時に講ずること。
六医師少数区域等で勤務した医師に対する認定の創設に当たっては、認定を受けた医師や医師派遣の要請に応じて医師を派遣する病院に対する効果的な経済的インセンティブの付与について検討すること。
七都道府県が医師少数区域等を設定するための医師偏在指標を定めるに当たっては、地域住民の年齢構成の推移、患者の流出入の状況、昼夜人口の変化など、地域の実情やニーズを適切に反映する客観的なデータを用いて検討を行うこと。
八都道府県の地域医療対策協議会の機能強化及び外来医療の提供体制を協議する場の新設に当たっては、地域医療構想調整会議等の既存の会議と並立して非効率に陥ることのないよう配慮し、都道府県に対して既存の会議との一体的な運用を促すこと。
九医師偏在対策は大学医学部における医師養成段階から実施すべきものであることから、厚生労働省と文部科学省が連携して具体的施策を検討し、実施すること。
十医師偏在対策に携わる都道府県職員が医療政策に精通し、医師養成を行う大学や地域の医療機関等と協力・連携しながら地域の実情に即した対策を進めることができるよう、都道府県に対し適切な支援を行うこと。
十一地域における外来医療の需要は短期間で大きく変化し得ることから、外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項について行う調査、分析及び評価は、地域の実情に即し、六年を待たず都道府県が主体的に実施できるようにすること。
十二離島や山間部等の、医師が不足している地域や病院へのアクセスに困難を伴う地域の医療においては、遠隔医療が大きな役割を果たすことから、遠隔医療に係る規制や仕組みの在り方について、安全・安心の確保を前提に検討を行うこと。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一医師偏在対策を進めるに当たっては、医療の高度化と専門分化、医療安全対策、医師の働き方改革、新たな専門医制度など、今後の医療の供給に影響を与え得る事項を総合的に勘案した上で、関係者の意見を尊重しながら、実効性ある対策を継続的に講ずること。
二地域における医療提供体制の確保については、居住する地域によって受けることができる医療に格差が生じないよう配慮し、医療従事者の過度の負担に依存するのではなく、限りある医療資源を有効に活用するとともに、その課題認識が社会において共有されるよう必要な対策を講ずること。
三病院勤務医の夜間・休日勤務や待機時間の実態を調査した上で、医師等の過労死・過労自殺等を防止する観点から、医師の地域偏在解消に向けた対策を強力に推進すること。
四外科、産婦人科、小児科、救急等の医師が不足する診療科の勤務医に対する勤務環境改善を更に促進すること。また、特に医師が不足する診療科の女性医師に対しては、出産・育児等のライフイベントについて特段の配慮が行われるよう必要な措置を講ずること。
五大学病院の大半が高度の医療の提供等を目的とする特定機能病院であることに鑑み、勤務する医師が経営上の観点から本来担うべき役割に専念できないような事態が生じないよう、大学病院に対する財政上の措置を含む適切な支援を行うこと。
六医師の地域間及び診療科間の偏在を是正するため、平成二十八年以降に新設された医学部を卒業した医師に対して、その創設の趣旨に則った進路が選択されているか検証すること。
七過疎地域等の医療を守るため、関係地方自治体と協議の上で、自治医科大学医学部の入学定員の更なる拡充を促すよう必要な対応をとること。
八医師が不足している地域においては看護師等の医療従事者も不足していることが多いと考えられることから、当該地域においては医師以外の医療従事者の実効性ある確保策も同時に講ずること。また、医師がその高度な医学的専門性を発揮し、本来担うべき業務に専念できるよう、抜本的なタスクシフトを進めるための具体的取組を検討すること。
九医師少数区域等で勤務した医師に対する認定の創設に当たっては、認定を受けた医師や医師派遣の要請に応じて医師を派遣する病院に対する効果的な経済的インセンティブの付与について検討すること。
十都道府県が医師少数区域等を設定するための医師偏在指標を定めるに当たっては、地域住民の年齢構成の推移、患者の流出入の状況、昼夜人口の変化など、地域の実情やニーズを適切に反映する客観的なデータを用いて検討を行うこと。
十一都道府県の地域医療対策協議会の機能強化及び外来医療の提供体制を協議する場の新設に当たっては、地域医療構想調整会議等の既存の会議と並立して非効率に陥ることのないよう配慮し、都道府県に対して既存の会議との一体的な運用を促すこと。
十二地域医療対策協議会の運営が円滑に行われ、都道府県の医師確保対策が実効性のあるものとなるよう、同協議会の運営を支える都道府県の組織の機能強化などについて必要な支援を行うこと。
十三医師偏在対策は大学医学部における医師養成段階から実施すべきものであることから、厚生労働省と文部科学省が連携して具体的施策を検討し、実施すること。
十四地域医療に志のある学生の入学を推進し、地域枠の医師を当該地域に確実に定着させる観点から、地域枠については、地域枠以外の入試枠と峻別した上で学生の募集を促すことによって必要な地域枠学生の確保が確実になされるよう、厚生労働省と文部科学省が連携して大学及び都道府県に対して必要な対応を行うこと。
十五専門医制度を運営する一般社団法人日本専門医機構については、特に専門医の質の維持向上を図るため、その独立性に配慮すること。
十六厚生労働大臣が一般社団法人日本専門医機構に対し意見を述べ又は必要な措置を要請した場合には、速やかにその内容を公表すること。
十七平成三十年度に開始した専門医制度については、医療を受ける立場である国民の視点に立ち、国においても地域医療への影響と専門医の質との両面から検証を行い、一般社団法人日本専門医機構等と協力し、必要な対応を行うこと。
十八専門医制度については、プロフェッショナルオートノミーに十分に配慮しつつ、国も医療提供体制の確保等を図る観点から、適切にその責任を果たすこと。
十九医師偏在対策に携わる都道府県職員が医療政策に精通し、医師養成を行う大学や地域の医療機関等と協力・連携しながら地域の実情に即した対策を進めることができるよう、都道府県に対し適切な支援を行うこと。
二十地域における外来医療の需要は短期間で大きく変化し得ることから、外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項について行う調査、分析及び評価は、地域の実情に即し、六年を待たず都道府県が主体的に実施できるようにすること。
二十一地域医療構想の実現に向けては、地域医療構想調整会議において、都道府県がその役割を発揮できるよう好事例を横展開することや、公立・公的医療機関等と民間医療機関がそれぞれ適切な役割を果たしつつ、医療機能の見直しの検討を進め、地域の実情を踏まえた構想となるよう、国として支援すること。
二十二離島や山間部等の、医師が不足している地域や病院へのアクセスに困難を伴う地域の医療においては、遠隔医療が大きな役割を果たすことから、遠隔医療に係る規制や仕組みの在り方について、安全・安心の確保を前提に検討を行うこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=119601060)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。