種苗法の一部を改正する法律案
参議院 農林水産委員会
令和2年法律第74号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- R2.11.11趣旨説明農林水産委員会 2216
- R2.11.12質疑・参考人招致・参考人質疑農林水産委員会 3237
- R2.11.17質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・附帯決議・修正案農林水産委員会 4122
- R2.11.19委員長報告・採決(修正)本会議 638
参議院農林水産委員会
- R2.11.24趣旨説明及び衆議院修正部分趣旨説明農林水産委員会 3146
- R2.11.26質疑・参考人招致・参考人質疑農林水産委員会 4209
- R2.12.1質疑・討論・採決・附帯決議農林水産委員会 5300
- R2.12.2委員長報告・採決本会議 721
提案理由
野上浩太郎 農林水産大臣 令和2年11月11日種苗法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
種苗法は、品種の育成の振興等を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的として、新品種の保護のための品種登録に関する制度等を設けているところであります。
近年、我が国の優良な登録品種が海外に流出し、他国で生産され第三国に輸出されるなど、我が国からの輸出等に支障が生じる事態が生じております。
こうした中で、我が国の農林水産業の発展を図るためには、登録品種の海外流出等を防止できるようにすることが重要であります。
また、登録品種を実効的に保護するためには、育成者権者が育成者権侵害を立証しやすくすることも重要であります。
こうした観点から、登録品種を育成者権者の意思に応じて海外流出の防止等の措置ができるようにするとともに、育成者権を活用しやすくするための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、育成者権者の意思に応じて登録品種の海外流出の防止等ができるようにするための措置についてであります。
登録品種について、出願時に輸出先国又は栽培地域に係る利用条件が届け出られた場合には、その種苗等が譲渡された後であっても、育成者権者は、その利用条件に違反する行為を制限することができることとしております。
また、譲渡する登録品種の種苗や包装、また広告等を行う場合に、登録品種である旨及び輸出先国又は栽培地域の制限がある旨の表示を義務づけることとしております。
また、農業者が登録品種等の収穫物の一部を次期収穫物の生産のために種苗として用いる自家増殖については、育成者権者の許諾に基づき行うこととしております。
さらに、品種登録の審査を充実させるため、出願者は、栽培試験等に係る手数料を納付することとしております。
第二に、育成者権を活用しやすくするための措置についてであります。
育成者権の侵害立証を行いやすくする観点から、品種登録簿に記載した登録品種の特性を利用して、育成者権が及ぶ品種であるかどうかを推定する規定を創設することとしております。
また、品種登録制度を充実させるため、他の知的財産制度に倣った規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
第203回国会衆議院農林水産委員会議録第2号27頁(令和2年11月11日)〔野上浩太郎農林水産大臣発言・発言番号212〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
近年、我が国の優良な登録品種が海外に流出し、他国で生産され第三国に輸出される等、我が国からの農林水産物の輸出をはじめ、我が国の農林水産業の発展に支障が生じる事態が発生している。こうした事態に対処するため、育成者権の強化を図ることが求められている。一方で、育成者権の強化が農業経営に与える影響にも十分配慮する必要がある。よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。記
一我が国の優良な植物新品種の海外流出の防止を目的とした育成者権の強化が、農業者による登録品種の利用に支障を来したり、農産物生産を停滞させ食料の安定供給を脅かしたりしないよう、種苗が適正価格で安定的に供給されることを旨として施策を講じること。
二稲、麦類及び大豆の種苗については、農業者が円滑に入手し利用できることが我が国の食料安全保障上重要であることに鑑み、都道府県と連携してその安定供給を確保するものとし、各都道府県が地域の実情に応じてその果たすべき役割を主体的に判断し、品種の開発、種子の生産・供給体制が整備されるよう、適切な助言を行うこと。
三各都道府県が、稲、麦類及び大豆の種子の原種ほ及び原原種ほの設置等を通じて種子の増殖に必要な栽培技術等の種子の生産に係る知見を維持し、これを民間事業者に提供するという役割も担いつつ、都道府県内における稲、麦類及び大豆の種子の生産や供給の状況を的確に把握し、必要な措置を講じることができるよう、環境整備を図ること。
四稲、麦類及び大豆については、品種の純度が完全で優良な種子の供給を確保するため、原原種の採種ほ場では育成者が適切な管理の下で生産した種子又は系統別に保存されている原原種を使用するよう指導すること。
五種苗法に基づき都道府県が行う稲、麦類及び大豆の種子に関する業務に要する経費については、従前と同様に地方交付税措置を講じること。
六国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、都道府県等の試験研究機関が育成した登録品種に関する通常利用権の許諾については、その手続等が有機農業をはじめ農業者の負担になることのないよう、適切に運用するとともに、これらの公的試験研究機関に対してガイドラインを提示する等により、その周知徹底を図ること。
七農業者が意図せずに、育成者権者の許諾を得ずに登録品種の自家増殖を行い、不利益を被ることを防止するため、農業者に対して、制度見直しの内容について丁寧な説明を行うこと。
八公的試験研究機関が民間事業者に種苗の生産に関する知見を提供する場合においては、我が国の貴重な知的財産である技術や品種の海外や外国企業への流出を防止するため、適切な契約を締結する等十分留意するよう指導すること。
九登録品種の種苗の海外流出の防止に当たっては、ホームセンター等の販売員等が意図せずに登録品種の種苗を外国人に販売すること等により不利益を被ることを防止するため、ホームセンター等に対して、制度見直しの内容について丁寧な説明を行うとともに、国において適切な運用を図ること。
十新品種の開発は、利用者である農業者の所得や生産性の向上、地域農業の振興につながるべきものであることに鑑み、我が国において優良な植物新品種が持続的に育成される環境を整備するため、公的試験研究機関による品種開発及び在来品種の収集・保全を促進すること。また、その着実な実施を確保するため、公的試験研究機関に対し十分な財政支援を行うこと。
我が国の優良な登録品種は貴重な知的財産であり、これを適切に保護し、農業者の所得向上と地域の発展に寄与することが強く求められている。また、近年、我が国の優良な登録品種が海外に流出し、他国で生産され第三国に輸出される等、我が国からの農林水産物の輸出をはじめ、我が国の農林水産業の発展に支障が生じる事態が発生している。これらの課題に対処するため、育成者権の強化を図ることが求められている。一方で、育成者権の強化が農業経営に悪影響を与えるのではないかとの懸念にも十分配慮する必要がある。よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一我が国の優良な植物新品種の海外流出の防止を目的とした育成者権の強化が、農業者による登録品種の利用に支障を来したり、農産物生産を停滞させ食料の安定供給を脅かしたりしないよう、種苗が適正価格で安定的に供給されることを旨として施策を講じること。
二稲、麦類及び大豆の種苗については、農業者が円滑に入手し利用できることが我が国の食料安全保障上重要であることに鑑み、都道府県と連携してその安定供給を確保するものとし、各都道府県が地域の実情に応じてその果たすべき役割を主体的に判断し、品種の開発、種子の生産・供給体制が整備されるよう、適切な助言を行うこと。
三各都道府県が、稲、麦類及び大豆の種子の原種ほ及び原原種ほの設置等を通じて種子の増殖に必要な栽培技術等の種子の生産に係る知見を維持し、我が国の農業競争力の強化を図ることを目的として、こうした知見を民間事業者に提供するという役割も担いつつ、都道府県内における稲、麦類及び大豆の種子の生産や供給の状況を的確に把握し、必要な措置を講じることができるよう、環境整備を図ること。
四稲、麦類及び大豆については、品種の純度が完全で優良な種子の供給を確保するため、原原種の採種ほ場では育成者が適切な管理の下で生産した種子又は系統別に保存されている原原種を使用するよう指導すること。
五種苗法に基づき都道府県が行う稲、麦類及び大豆の種子に関する業務に要する経費については、従前と同様に地方交付税措置を講じること。
六国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、都道府県等の試験研究機関が育成した登録品種に関する通常利用権の許諾については、その手続等が有機農業をはじめ農業者の負担になることのないよう、適切に運用するとともに、これらの公的試験研究機関に対してガイドラインを提示する等により、その周知徹底を図ること。
七農業者が意図せずに、育成者権者の許諾を得ずに登録品種の自家増殖を行い、不利益を被ることを防止するため、農業者に対して、制度見直しの内容について丁寧な説明を行うこと。
八公的試験研究機関が民間事業者に種苗の生産に関する知見を提供する場合においては、我が国の貴重な知的財産である技術や品種の海外や外国企業への流出を防止するため、適切な契約を締結する等十分留意するよう指導すること。
九国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構種苗管理センターのDNA分析等の技術開発の促進や品種保護対策役の人員体制の拡充等を図るとともに、税関等の水際対策を強化すること。
十登録品種の種苗の海外流出の防止に当たっては、ホームセンター等の販売員等が意図せずに登録品種の種苗を外国人に販売すること等により不利益を被ることを防止するため、ホームセンター等に対して、制度見直しの内容について丁寧な説明を行うとともに、国において適切な運用を図ること。
十一海外での品種登録の取組を支援し、推進すること。
十二新品種の開発は、利用者である農業者の所得や生産性の向上、地域農業の振興につながるべきものであることに鑑み、我が国において優良な植物新品種が持続的に育成される環境を整備するため、公的試験研究機関による品種開発及び在来品種の収集・保全を促進すること。また、その着実な実施を確保するため、公的試験研究機関に対し十分な財政支援を行うこと。さらに、これらの施策を推進する立法措置に関する国会における議論に資するよう、必要な情報を適時適切に提供すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=120101037)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。