高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案
参議院 経済産業委員会
令和4年法律第74号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院経済産業委員会
- R4.4.27趣旨説明経済産業委員会 13236
- R4.5.11質疑・討論・採決・附帯決議経済産業委員会 14228
- R4.5.12委員長報告・採決本会議 2516
参議院経済産業委員会
- R4.5.17趣旨説明経済産業委員会 107
- R4.5.19質疑経済産業委員会 11137
- R4.6.14発言・質疑・討論・採決・附帯決議経済産業委員会 12138
- R4.6.15委員長報告・採決本会議 3252
提案理由
萩生田光一 経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構) 令和4年4月27日高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
我が国の産業保安をめぐっては、近年、革新的なテクノロジーの進展、保安人材の不足、電力供給構造の変化、災害の激甚化、頻発化、気候変動問題への対応の要請など、様々な環境変化が生じています。
今後、保安人材の多くを占める熟練層が大量に退職する一方で、若年層の雇用が困難な状況であり、人材不足によって我が国の産業保安が揺らぎかねません。こうした危機的な状況に対応するため、IoT、ビッグデータ、AI、ドローンなどのテクノロジーの活用を通じて保安面での安全性と効率性の向上を実現するスマート保安を促進することが重要です。
また、昨今、小規模な太陽光、風力発電設備の事故が相次ぐとともに、災害の激甚化、頻発化が顕著となる中、こうした新たな保安上のリスクへの対応の重要性は論をまちません。
さらに、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーや水素の健全な利活用を促すための保安規制面の環境整備も必要です。
以上を踏まえ、安全確保を前提に、産業保安規制体系の転換を図るべく、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨について御説明申し上げます。
まず、高圧ガス保安法の一部改正です。
第一に、スマート保安の促進のための施策を講じます。テクノロジーを活用して、自立的に高度な保安を確保できる事業者を経済産業大臣が認定し、安全確保を前提に、事業者の保安力に応じて保安規制に関する手続や検査の在り方を見直します。ガス事業法及び電気事業法についても同様の措置を講じます。
第二に、燃料電池自動車等の規制の一元化のための施策を講じます。高圧ガス保安法と道路運送車両法の二つの法律が適用されている燃料電池自動車等について、高圧ガス保安法から適用除外し、道路運送車両法に規制を一元化します。
次に、ガス事業法の一部改正です。
都市ガス分野における災害時の事業者間の連携強化のための施策を講じます。一般ガス導管事業者に対して、災害時における事業者間の連携に関する計画を策定し、経済産業大臣に届け出ることを義務づけます。
次に、電気事業法の一部改正です。
第一に、小規模な太陽光、風力発電設備の保安確保のための施策を講じます。小規模な太陽光、風力発電設備を小規模事業用電気工作物と位置づけた上で、設備の設置者に対し、設備の技術基準への適合性の維持、設備の基礎情報の届出及び設備の使用前の安全確認を義務づけます。
第二に、風力発電設備の安全かつ迅速な審査のための施策を講じます。工事計画の審査に高度な技術的知見が必要となる風力発電設備について、経済産業大臣の登録を受けた専門機関が技術基準への適合性を確認する仕組みを導入します。
また、これらの措置に加えて、情報処理の促進に関する法律において、保安に係るサイバーセキュリティーに関する重大な事態が生じた場合等に、経済産業大臣からの要請を受けて、独立行政法人情報処理推進機構が原因究明の調査を行うこととします。
以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
第208回国会衆議院経済産業委員会議録第13号33頁(令和4年4月27日)〔萩生田光一経済産業大臣発言・発言番号234〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。
一本改正が産業保安分野におけるこれまでの事前規制を中心とする規制体系から新たな規制体系への転換を図るものであることを踏まえ、改正事項の運用に当たっては、公衆及び保安作業者に対する安全の確保を大前提とし、我が国の産業保安水準の更なる高度化と持続的な向上を図るために必要な措置について不断に検討を行うこと。
二高圧ガス、都市ガス及び電気事業の各分野における「認定高度保安実施事業者」の認定及び安全管理検査の特例等の運用に際しては、中小事業者であっても電気・ガス等の安定供給に必要な保安の実施、大規模災害等に対する迅速な設備復旧並びに公衆及び保安作業者の安全確保を可能とするための人材・技術基盤を確立することができるよう、保安分野におけるテクノロジーの活用方法及び自律的な検査の実施方法等の周知徹底、技術開発への支援等を通して、我が国全体の産業保安の水準が確保されるために必要な実効性ある措置を講ずること。
三スマート保安の推進に当たっては、テクノロジーの活用と人が担うべき保安とを相互に連携・融合させつつ、より高度で強靱な保安管理体制を目指すものとし、デジタルトランスフォーメーションも見据えた専門人材の活用、熟練した技術者による中央・地方の事業者に対する技術伝達の促進、若年層にとって魅力ある職場環境の形成に向けた支援等の取組を進め、保安人材の持続的な育成・確保に万全を期すこと。
四ガスに係る災害発生時の事業者の連携体制に関して見直しを行い、災害時対応に参画するガス小売事業者についてはその適格性を確認し、技術向上への支援とともに、連携の在り方や役割分担等について検討するなど、より適切な保安体制で災害時対応を実施することができるよう引き続き検討を行うこと。
五太陽光発電及び風力発電に係る小出力発電設備に対する規制の見直しにより、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて有意義な小出力発電設備の導入が必要以上に抑制されることのないよう、再生可能エネルギーの導入と規制の実施とのバランスの取れた運用の在り方について引き続き検討を行うこと。また、基礎情報等の届出手続については、設置者の負担を軽減するとともに、事務処理の効率化を図るため、可能な限りのデジタル技術の活用に努めること。さらに、再生可能エネルギー発電設備の設置状況及び保安の適正化が図られているかについて立入検査等を通して十分に監視し、その是正・改善に努めること。併せて、いわゆる「分割案件」のような規制逃れの抑止、安全規制や立地規制等の法令遵守の徹底等に努めるとともに、改正事項の趣旨・内容について、再生可能エネルギー発電事業者及び地域住民・地方自治体等に対し、十分に周知徹底及び情報提供等を行うこと。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一高圧ガス、都市ガス及び電気事業の各分野における産業保安規制の運用に当たっては、公衆及び保安作業者の安全確保を大前提とし、今後のテクノロジーの進展等に的確に対応しつつ、保安水準の高度化及び持続的向上につながるよう、規制体系の不断の見直しに努めること。
二認定高度保安実施事業者制度の運用に当たっては、重大事故等の防止に向けて、認定審査を厳正に行うとともに、適時適切な立入検査等を通して保安の実施状況を十分に監視し、あわせて、テクノロジーの活用により発生し得るサイバーセキュリティに関するリスクへの対応に万全を期すこと。
三テクノロジーと人が相互に連携・融合したより高度で強靱な保安管理体制の確立に向けて、デジタルトランスフォーメーションも見据えた専門人材の活用、熟練した技術者による技術伝達の促進、女性や若年層にとって魅力ある職場環境の形成に向けた支援等の取組を進め、保安人材の持続的な育成・確保に努めること。
四スマート保安を促進し、我が国全体の産業保安水準を更に高度化する観点から、中小事業者であっても、必要な保安の実施、大規模災害時等における迅速な設備復旧並びに公衆及び保安作業者の安全確保を可能とするための人材・技術基盤を確立することができるよう、保安分野におけるテクノロジーの活用方法及び自律的な検査の実施方法等の周知徹底、技術開発への支援等、必要な実効性ある措置を講ずること。
五ガスに係る災害発生時の事業者の連携体制については、災害時対応に参画するガス小売事業者の適格性の確認及びその技術向上への支援、事業者間等の連携の在り方や役割分担等について検討するなど、より適切な保安体制の確保に向けて引き続き検討を行うこと。
六小規模な太陽光及び風力発電設備に対する規制の見直しにより、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて有意義な再生可能エネルギー発電設備の導入が必要以上に抑制されることのないよう、バランスの取れた規制の運用の在り方について引き続き検討を行うこと。また、基礎情報等の届出手続については、可能な限りデジタル技術の活用を図るとともに、設備点検等に係る適切なマニュアルを整備すること等により、事業者の負担の軽減に努めること。さらに、再生可能エネルギー発電設備の設置状況及び保安の適正化が図られているかについて立入検査等を通して十分に監視し、その是正・改善に努めること。あわせて、いわゆる「分割案件」のような規制逃れの抑止も含めて、事業者による安全規制や立地規制等の法令遵守の徹底等に努めるとともに、改正事項の趣旨・内容について、事業者及び地域住民・地方自治体等に対し、十分に周知徹底及び情報提供等を行うこと。
七本法律案の審査において、改正事項検討の基礎となる認定事業所の法令違反件数に係る政府資料等に度重なる誤りが発覚したことは遺憾である。経済産業省においては、安全確保を大前提とすべき産業保安規制の見直しの検討の中で、かかる事態が生じたことを重く受け止め、再発防止に万全を期すこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=120801050)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。