TaiLexi AI日本の判例・法令
← ホーム
最高裁第三小法廷判決棄却民集20巻5号1052頁収録判例内の被引用 1

最三小判 昭和41年6月21日

昭和39年(オ)第436号 約束手形金請求

裁判所
最高裁判所第三小法廷
裁判年月日
昭和41年6月21日 (1966-06-21)
事件番号
昭和39年(オ)第436号
事件名
約束手形金請求
裁判の種類・結果
判決 棄却
判例集等
民集20巻5号1052頁
集民83号843頁
原審
広島高等裁判所 昭和35年(ネ)第148号 昭和39年1月23日
分野
民事

判示事項

一市長と約束手形振出権限の有無

二市長がその権限をこえて約束手形を振り出した場合において当該振出行為を民法第四四条第一項にいう職務を行なうについてされたものと認めた事例

裁判要旨

一市長は、市を代表して、約束手形を振り出す権限を有する。

二市長がその権限をこえて自己のために市長名義の約束手形を振り出した場合において、市が市議会の議決に基づき市長名義の約束手形により金融機関から一時借入をしていたなど原判決確定の諸事実(原判決理由参照)のもとにおいては、市長の前記振出行為は、民法第四四条第一項にいう職務を行なうについてされたものというべきである。

参照法条

地方自治法147条地方自治法170条地方自治法239条の2民法44条

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人小河虎彦、同塚田守男、同松永芳市の上告理由第一点について。所論は、まず、地方公共団体の長たる市長には約束手形を振り出す権限がない旨をいう。

しかし、約束手形は一定金額を一定期間後に支払うことを約束するものであるから、その振出は、現金の支払自体ではなく、出納官吏の権限に属するものとはいえず、その現金支払の原因たるべき行為として、地方公共団体の長の権限に属するものと解するのが相当であり、市長たるDは、法定の制限のもとに、上告人(山口市)を代表して約束手形を振り出す抽象的権限を有するというべきであるから、この点に関する原判決の判断は、当審も、正当として是認することができる。つぎに、所論は、D市長のした本件約束手形の振出は同市長の職務の執行についてなされたものでない旨をいう。

しかし、原判決が、その挙示の証拠により、適法に認定した事実、とくにD市長が法定の制限のもとに、上告人(山口市)を代表して約束手形を振り出す抽象的権限を有し、かつ、上告人(山口市)においては市議会の議決にもとづき市長名義の約束手形により金融機関から一時借入をしていた等の事実関係のもとでは、D市長のした本件約束手形の振出行為は、同市長が職務の執行についてしたものであるとの原判決の判断は、当審も正当としてこれを肯認しえないわけではない。原判決には、所論のような違法があるとはいいがたく、所論は採用しがたい。同第二点について。

原判決挙示の証拠によると、所論の点に関する原判決の認定した事実は肯認しえないでもなく、右認定した事実関係のもとでは、Dの不法行為により被上告人において合計金二七一万九、〇〇〇円相当の損害を蒙つた旨の原判決の説示は、当裁判所も正当としてこれを是認することができる。

この点について、原判決には、所論のような違法はなく、所論は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨・選択、事実の認定を非難するか、または、原審の認定しない事実を前提としてこれを非難するものであり、採用しがたい。

同第三点について。

不法行為による損害賠償額の算定に当り過失相殺をする場合において、過失をしんしやくして減ずべき損害賠償額の範囲は事実審たる原審の裁量に属すると解すべきである(当裁判所第一小法廷判決昭和三二年(オ)八七七号、同三四年一一月二六日民集一三巻一二号一五六二頁)。そして、原判決の認定した事実関係のもとでは、原審が過失相殺により算出した損害賠償額を違法であるということはできない。所論は、採用しがたい。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横田正俊

裁判官 五鬼上堅磐

裁判官 柏原語六

裁判官 田中二郎

裁判官 下村三郎

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/57762/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
出典:国立国会図書館「次世代デジタルライブラリー」(https://lab.ndl.go.jp/dl/)のOCRテキストデータ(原資料:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1674035)。TaiLexi AIが編集・加工(OCRの誤りを含む場合があります)。原データ(OCRテキスト)はパブリック・ドメイン・マーク(PDM)付きで、自由に二次利用できます。個人の氏名・住所等はTaiLexi AIがアルファベット等に置き換えています。