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最高裁第三小法廷判決棄却民集20巻5号1078頁収録判例内の被引用 2

最三小判 昭和41年6月21日

昭和39年(オ)第437号 約束手形金請求

裁判所
最高裁判所第三小法廷
裁判年月日
昭和41年6月21日 (1966-06-21)
事件番号
昭和39年(オ)第437号
事件名
約束手形金請求
裁判の種類・結果
判決 棄却
判例集等
民集20巻5号1078頁
集民83号859頁
原審
広島高等裁判所 昭和35年(ネ)第148号 昭和39年1月23日
分野
民事

判示事項

一第三者が市長振出の約束手形を取得するさいの調査について過失があるとして過失相殺を認めた事例

二不法行為を理由とする損害賠償請求における過失相殺と当事者による主張の要否

裁判要旨

一第三者が、市長振出の約束手形に関して当該市に対し損害賠償を求める場合に、その手形を取得するさい、単に右市長に対し手形振出の有無を確かめたのみで、市議会の議決の有無などに関し、当該の市の吏員、市議会などについて調査をしなかつたなど原判決の確定した事実関係(原判決理由参照)のもとでは、右第三者について過失のあることを理由として、過失相殺をしたのは相当である。

二不法行為を理由とする損害賠償請求訴訟において、被害者に過失があると認めるときには、裁判所は、当事者からの主張を要しないで、過失相殺をすることができる。

参照法条

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人小林寛、同久保井一匡の上告理由第一点について。

不法行為による損害賠償の額を定めるにあたり、被害者に過失のあるときは、裁判所がこれをしんしやくすることができることは民法七二二条の規定するところである。この規定によると、被害者の過失は賠償額の範囲に影響を及ぼすべき事実であるから、裁判所は訴訟にあらわれた資料にもとづき被害者に過失があると認めるべき場合には、賠償額を判定するについて職権をもつてこれをしんしゃくすることができると解すべきであつて、賠償義務者から過失相殺の主張のあることを要しないものである(大審院判昭和二年(オ)八〇二号・同三年八月一日民集七巻六四八頁参照)。

したがつて、これと異なり、過失相殺にもいわゆる弁論主義の適用のあることを主張する論旨は、失当として排斥を免れない。

同第二点について。

地方公共団体の長のする約束手形の振出権限については、法定の制限があるのであるから、控訴人(上告人)Aが本件各手形の振出についてD市長本人に確かめただけで、市議会の議決の有無などに関し、山口市吏員、山口市議会などについて調査をしなかつたなど原判決の認定した事実関係のもとでは、所論の過失相殺をした原判決の判断は、当審も正当として是認することができる。

原判決には、所論のような違法はなく、所論は採用しがたい。

同第三点について。

民法四四条の規定は、同条一項の理事その他の代理人がその職務を行うについて不法行為により他人に損害を加えた場合に法人に賠償責任を負わしめることを定めたものであるから、その賠償責任について、不法行為に関する民法七二二条二項の規定が適用されるのは当然である。

これと異なる論旨は、独自の見解であり、排斥を免れない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横田正俊

裁判官 五鬼上堅磐

裁判官 柏原語六

裁判官 田中二郎

裁判官 下村三郎

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/57763/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
出典:国立国会図書館「次世代デジタルライブラリー」(https://lab.ndl.go.jp/dl/)のOCRテキストデータ(原資料:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1674035)。TaiLexi AIが編集・加工(OCRの誤りを含む場合があります)。原データ(OCRテキスト)はパブリック・ドメイン・マーク(PDM)付きで、自由に二次利用できます。個人の氏名・住所等はTaiLexi AIがアルファベット等に置き換えています。