漁業法案
参議院 水産委員会
衆議院 水産委員会公聴会
昭和24年法律第267号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院水産委員会・水産委員会公聴会
- S24.5.9趣旨説明・質疑水産委員会 1028
- S24.5.12質疑水産委員会 1245
- S24.5.16質疑水産委員会 1479
- S24.5.18質疑水産委員会 15100
- S24.5.20質疑水産委員会 16175
- S24.5.21質疑水産委員会 1729
- S24.5.23質疑水産委員会 1864
- S24.5.27質疑水産委員会 1937
- S24.5.31質疑水産委員会 2040
- S24.9.5派遣委員報告・質疑水産委員会 2117
- S24.9.6質疑水産委員会 2213
- S24.9.7質疑水産委員会 23125
- S24.9.8質疑水産委員会 24113
- S24.9.9質疑水産委員会 25174
- S24.9.10質疑水産委員会 2679
- S24.9.12質疑水産委員会 27140
- S24.9.13質疑水産委員会 2874
- S24.9.28質疑水産委員会 2961
- S24.9.29質疑水産委員会 3033
- S24.10.27質疑水産委員会 116
- S24.10.29質疑水産委員会 26
- S24.11.16公聴会水産委員会公聴会 166
- S24.11.16参考人招致水産委員会 996
- S24.11.17公聴会水産委員会公聴会 267
- S24.11.17参考人招致水産委員会 1048
- S24.11.18公聴会水産委員会公聴会 342
- S24.11.18参考人招致水産委員会 1131
- S24.11.19公聴会水産委員会公聴会 486
- S24.11.19参考人招致水産委員会 1259
- S24.11.22質疑水産委員会 134
- S24.11.25派遣委員報告・小委員長報告・修正案水産委員会 1411
- S24.11.27修正案趣旨説明・質疑水産委員会 1534
- S24.11.28討論・採決(修正)水産委員会 1637
- S24.11.28委員長報告・討論・採決(修正)本会議 19125
提案理由
森幸太郎 農林大臣 昭和24年5月9日次に漁業法案及び漁業法施行法案につきまして、その提案理由の大体を御説明申し上げたいと思います。
今日わが國の当面する最大の問題は、國内各分野における民主化を達成し、この基盤の上に生産力を発展させ、日本経済の再建と、その自立化をはかることにあります。農業とともにわが國産業構造の基盤をなす漁業にして、その生産力の発展は停滞し、その内部に多くの封建的な残滓を包藏したままにとどまりますならば、再建日本の基盤はまことに脆弱にして、日本の民主化はもちろん、経済自立もまたゆがめられざるを得ないでありませう。
政府におきましては、終戰以來漁業問題の全面的解決につき鋭意考究を進め、その一環として漁業團体制度の改革をなすべく、去る第三國会に水産業協同組合に関する法律を提出し、その成立を見、すでに本年二月十五日より施行いたしておりますが、根本的には漁業生産に関する基本的制度、すなわち漁業制度の改革を断行することが不可欠なのであります。
現行漁業制度は、明治三十四年の旧漁業法において初めて法制化され、同四十三年の全面的改正によつて確立されたものでありますが、これは旧來の慣行をそのままに固定したものであり、その後の諸般の情勢の変化、特に漁業生産力の発展にもかかわらず、基本的部分については何ら改正を見ずに今日に至つたものであります。
その内容の根本的欠陥といたしましては、個々の漁業権を中心に漁場の秩序が組み立てられているために、漁業生産力をあげるに不可欠な相当廣い水面を単位とした総合的な計画性を持ち得ないこと、また適当な調整機構を伴わず漁業権を物権としたことの弊害面として、権利者に不当に強い力が與えられ、漁場の秩序が漁民の総意によつて民主的に運用されておらぬこと等があげられるのでありまして、これが漁業生産力の発展を阻害し、また漁村の封建性の基盤をなしているのであります。從つて漁業生産力を発展させ、漁業の民主化をはかるためには、この行き詰つた漁場関係を全面的に整理し、新たに漁業生産に関する基本的制度を定め、民主的な漁業調整機構の運用によつて、水面の総合的高度利用をはかる必要があるのであります。これが漁夫制度改革を実施するため必要な漁業法案及び漁業法施行法案を提出したゆえんであります。
申すまでもなく、この一片の法律によつて、ただちに生産力が発展し、漁業の民主化が達成されるものではなく、政府といたしましては、この改革の基盤の上に立つて、各般の施策、なかんづく漁業経営の安定と、漁民生活の確保に関する施策を、総合的に推進せしめる所存でありますが、漁村の封建性の根の深さを思うとき、この改革に対する全図漁民の積極的な関心が切望され、改革の成否もまたこれにかかると思うのであります。
以下両法案の主要な内容について概略御説明申し上げます。両法案はその内容が一体をなすものでありますので一括して御説明申し上げます。
第一は沿岸漁場の全面的整理であります。この法律施行の際現に存する漁業権は、二年以内にほぼ一齊に消滅させ、同時に計画的に新漁業権の免許を行います。この漁場整理のため消滅する漁業権等には、漁業権補償委員会の計画に従いまして補償することとし、この補償の財源は免許料、許可料及び内水面における料金に求めることにいたしております。補償金の算定方法は、おおむね財産税の場合の許價方法にならつて定めております。補償金は、現下の財政金融事情にかんがみまして、政府発行の証券をもつて交付することといたしております。
第二は、新漁業権についてでありますが、漁業権は定置漁業権、区画漁業権及び共同猟業権の三種とし、その内容は從來と多少違えております。存続期間は從來より大分短縮し、期間の延長は区画漁業権以外には認めないこととし、漁場の固定化を防ぎ、事情の変化に應じて最も合理的に漁場を利用し得るようにいたしております。
漁業権の免許方法は、都道府縣知事が漁業調整委員会の意見を聞いて、水面の総合的高度利用の見地から、事前に免許の内容をきめ、法定の適格性及び優先順位に從つて免許することとし、従来のごとき行政廳の独断的決定を避け、法律の定める基準に從つて民主的に決定することといたしました。
免許する相手方は、原則として自ら漁業を営む者であり、漁業権の賃貸は禁止しております。但し、漁業権の性質上、その行使に團体的規制が必要なものは、自営でなくても一定の條件を備えた漁業協同組合またはその連合会が免許を受け、組合員の内部規制により、組合員が漁業を営み得るように措置いたしております。このような漁業権及び独占排他性の弊害の強く現われる漁業権については、一定の民主的要件を備えた地元の漁民團体に優先的に免許するようにいたしております。漁業権を物権として第三者の侵害から保護する点は從來と同様でありますが、権利者の恣意的な行使は制限し、また賃貸を禁止し、譲渡性及び担保性を制限して、単なる私権ではなくて、水面の総合的高度利用のためという公的性格を強めております。入漁権は慣行制度を廃止して、すべて設定行為によらしめることとし、漁業調整委員会の裁定によつて調整しうるようにいたしております。
第三は、指定遠洋漁業であります。これについては、許可の定数を定め、また適格性の規定に反しない限り、船舶の使用権に実質上許可が伴うように措置いたしました。そして、漁業権の場合とやり方は多少違いますが、この法律施行の際現に指定遠洋漁業の内容たる漁業の許可を受けている者については、一定期間内に再審査を行うことといたしております。
第四は、免許料及び許可料でありまして、毎年沿岸漁業に関する補償及び漁業制度改革費をまかなうため、沿岸漁業者から免許料または許可料を徴収し、沿岸漁業以外の漁業者からは沿岸漁業者とほぼひとしい負担度の許可料を徴収することにいたしております。
第五は、漁業調整委員会であります。漁場の総合的高度利用及び漁業に関する紛争の調整をはかる民主的な機構として、新たに漁業調整委員会を設けることとし、行政廳で漁業の免許等重要な行政処分をする場合には、必ずこの委員会の意見を開かねばならないこととし、さらにまた漁業調整上必要な指示をするという廣汎な権限を有して、漁業制度改革の眼目をなすものであります。これには、海区ごとに設置する、海区漁業調整委員会と、海区にまたがる特定の問題を処理するために、臨時に設けられる連合海区漁業調整委員会とがあります。また中央には漁業法の施行に関する重要事項を審議するため、中央漁業調整審議会を設置することといたしております。
第六は、土地及び土地の定着物の使用についてでありまして、海草乾場、船揚場、漁舎等漁業上の施設として必要な不可欠な土地、または土地の定着物を漁業者が使用し得るように措置いたしたのであります。
第七は、内水面漁業であります。内水面の中でも海に準ずるようなものは別といたしますが、通常の内水面については、その特殊性に即應し、増殖事業を積極的に展開するため、海面と異なる特殊規定を設けることといたしました。すなわち内水面においては、原則として、料金を納めなければ、水産動植物の採捕または養殖をすることができないこととし、政府はこの料金の収入をもつて、補償及び漁業制度改革費のうち、内水面漁業に関する分をまかなうとともに、内水面における基本的増殖事業を行うのであります。この内水面における民主的な調整機構としては、都道府縣に内水面漁場管理委員会を設置いたします。
第八は、瀬戸内海漁業についてであります。瀬戸内海における資源の維持と複雑な入会関係の調整を期するため、特に瀬戸内海漁業調整事務局を設置し、漁業法の施行に関する事務に一部を分掌させることといたしました。これに対應して連合海区漁業調整委員会も、普通は臨時のものでありますが、瀬戸内海には常設のものを設置いたすこととしております。
第九は、漁業制度改革に伴う関係法律の改正でありまして、特に水産業協同組合法関係の規定を改正いたしております。
以上が両法案の主要な内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御協賛あらんことを切望する次第であります。
第5回国会衆議院水産委員会議録第10号21頁(昭和24年5月9日)〔森幸太郎農林大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100501186)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。