水産資源枯渇防止法案
参議院 水産委員会
昭和25年法律第171号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
坂本實 政府委員(農林政務次官) 昭和25年4月3日水産資源枯渇防止法案につきまして、その提案理由の大体を御説明申し上げたいと思います。
言うまでもなく、資源の保護、愛護ということは、いかなる産業にとつても大切なことであります。特に漁業の方面においては、制限された漁場の内部において多数の経営者が漁業に従事し、すでに飽和状態に達している状況にあるのでありまして、遠洋漁業、近海漁業、沿岸漁業を問わず、稚魚探捕等によつて濫獲の弊を生じ、または無許可船の操業等により漁場の紛争が絶えないありさまで、その結果は漁場内の水産資源を枯渇させ、ひいてはやむにやまれず制限漁区違反というような事態が起るに至つたのであります。
由来、総司令部天然資源局におきましては、水産資源愛護策を水産施策の重要な眼目として来たのでありまして、従来、日本の漁業者か侵略的な漁業という悪い印象を国際間に持たれておる点にかんがみ、漁業に関する規律を自主的に守り、また資源を愛護することと継続的実行によつて証明しなければ、漁区制限の撤廃の問題も論議に上せ得ない旨をたびたび声明して来たのであります。政府におきましては、さきに支那東海、黄海における機船底びき網漁業及び汽船トロール漁業につきまして、資源枯渇の弊害が特に著しいことを認め、当業者の自主的な体制において、操業漁船の約三割を減船することを決定いたしたのでありますが、ただにこれらの漁業種類にとどまらず、全般的に重要な水産資源について科学的な調査を実施し、資源の量に適応した最高の漁獲率を維持して漁業の利益を永久に継続させ、かつ国際信義を高めることの必要を痛感する次第であります。そして資源枯渇のおそれのある種類の漁業につきましては、他に濫獲防止の方法を講じて、やむを得ない場合には、むしろ直載に減船なり操業区域の変更の措置をとつて参りたいと存ずるのであります。このためには、許可の取消し、国家の補償といつた面において、法律的根拠が必要でありまして、講和條約を控えた現在、このような法律を制定して、わが国の漁業者がかくしてまで資源愛護の目的を達成しようと努めていることを、国の内外にさし示すことは、わが国水産業の将来にとつて最も適切なことと信ずるのであります。
以上が水産資源枯渇防止法案を提案したゆえんでありますが、以下この法案の主要な内容について概略御説明申し上げます。
まず第一に、水産資源の枯渇のおそれがあると認められる漁業について、資源の関係その他を見合いまして、漁業種類及び海域別に、操業漁船の最高隻数を定めるのであります。
第二に、この最高隻数を定めた場合に、これと比較して、現実に許可を受けている漁船の数がその限度を越えている場合には、越える数の漁船について、許可の取消しまたは漁業区域の変更の措置を行のうであります。この措置をとるためには、当該漁業の操業状況、労働條件その他のことを勘案した一定の基準によつて行つて参ろわけであります。なお必要がある場合には、この限度内の漁船についても同時に操業区域を変更する場合があります。
第三に、以上のような措置をとつたことによる通常の損失に対しては、予算の関係から現金で拂うことの困難な事情もありますので、交付の方法については、政令で定めることといたしております。
なお、これらのことを実施するために必要な科学的な資源調査をこの法律を基礎にして、確実にやつて参りたいと存ずるのであります。
以上がこの法案の主要な内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御決議あらんことを切望する次第であります。
第7回国会衆議院水産委員会議録第27号2頁(昭和25年4月3日)〔坂本實政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100701149)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。